レクサス「UX」がマイナーチェンジ。ハイブリッド車のシステム出力を向上、先進安全装備も強化

■バッテリーEVのUX300eは急速充電時間を約25%短縮

2023年12月19日、コンパクトクロスオーバーSUVのレクサスUXがマイナーチェンジを受けました。販売を終了したトヨタC-HRと、同じプラットフォームを使って仕立てられています。

マイナーチェンジ後のUX300hは、2024年1月上旬頃、UX300eは1月下旬頃の発売予定になっています。

「UX300h“version L”」。カラーは「ソニックイリジウム」
「UX300h“version L”」。カラーは「ソニックイリジウム」

今回の改良では、従来の「UX250h」のハイブリッドシステム出力が146kW(199PS)に向上し、上質ですっきりと奥深い走りの進化により、「UX300h」に車名も改められています。

「UX300e」の充電イメージ
「UX300e」の充電イメージ

また、レクサス初のバッテリーEVである「UX300e」は、2023年3月の改良で実現した走りの進化や航続距離512kmに加え、急速充電時間を約25%短縮。使い勝手に優れたBEVになっています。

ハイブリッド・BEVともに、最新の予防安全技術へのシステム進化やコクピットの機能性もアップデートされ、より上質なドライブが楽しめます。

「UX300h“F SPORT”」の走行シーン
「UX300h“F SPORT”」の走行シーン

走りの強化では、ラジエターサポートブレース追加、ロアバックパネル下端のガゼット追加などにより、ドライブフィールをより高めるとともに、操縦安定性や上質な乗り心地の両立も盛り込まれていてます。ライントレース制御やフラットボディ制御を織り込むことで、操縦安定性を強化。

さらに、ブレーキ前後制動力配分制御(各輪独立制御によるピッチ/ロール制御)が採用され、ブレーキペダル操作初期に対するリニアな制動感、ブレーキペダルを強めに踏み込んだ際の高い接地感と安心感が得られる制動姿勢を実現。

「UX300e」のラジエーターサポートブレース
「UX300e」のラジエーターサポートブレース

加えて、ショックアブソーバー、EPS(電動パワーステアリング)制御、「F SPORT」専用AVSなどが再適合され、「Toyota Technical Center Shimoyama」で走り込みを実施。シーンを問わず、減速、操舵、加速がシームレスにつながる気持ちよさなど、ドライバーの意図に忠実でリニアな応答性が得られるそうです。

「UX300e」のボディ構造(イメージ)
「UX300e」のボディ構造(イメージ)

こうしたドライバーの志向に合わせた走りを実現するため、加速度センサーでドライバーの意図を読み取り、制動力と駆動力を制御。スポーツ走行を継続している場合、アクセルオフ時の減速アシスト増加やエンジンの待機回転数維持による再加速アシストをすることで、車との一体感をより感じられるコントロール性も盛り込まれていてます。

また、アクセルオフ時の減速度を高めることで、アクセルペダルで車速コントロール性がしやすくなり、ブレーキ操作負荷を軽減。加えて、登降坂制御により路面勾配に応じて、加減速をアシストすることで、勾配路でのアクセルやブレーキ操作を軽減させ、スムーズでレスポンスの良い走りに寄与します。

■先進安全装備の「Lexus Safety System +」が進化

「UX300h」のリヤまわり
「UX300h」のリヤまわり

ほかにも、スムーズなブレーキフィーリングとペダル質感を向上するブレーキシステムにより、ペダル操作時の上質なブレーキコントロール性を実現。

ボディ制振材、遮音材を適正配置することで、ロードノイズなどを低減し、静粛性も引き上げられています。ルーフ減衰材を高減衰タイプへ置き換えられ、ダッシュパネルやリヤホイールハウスなど、適材適所に制振材を追加。走行時のノイズを低減、車両の減衰効果を高め、さらなる静粛性向上に貢献しています。

「UX300h“version L”」のコックピット
「UX300h“version L”」のコックピット

また、ハイブリッドモデルは、高出力モーターとリチウムイオンバッテリーが組み合わされた新開発のハイブリッドシステムにより、26.3km/Lの低燃費を達成しています。次世代ハイブリッドシステムの導入により、出力は135kWから146kWに向上。AWDモデルは、リヤモーターの出力が30kWに高まり、滑りやすい路面での発進に加え、ドライ路においても旋回性能を高めています。

「UX300h」のメーター表示例
「UX300h」のメーター表示

先進装備の進化では、最新の予防安全技術「Lexus Safety System +」が進化。衝突被害軽減ブレーキである「プリクラッシュセーフティ(PCS)」の検出対象、機能が拡大されています。

ミリ波レーダーと単眼カメラを組みわせたセンサーにより高い認識性能と信頼性を確保することで、作動対象を拡大。自動二輪車(昼)や自転車運転者(夜)の検出対象に拡大。

また、交差点衝突回避支援(出会い頭車両)機能も新たに備わり、従来のPCSの作動範囲に加えて、交差点で交差する車両、自動二輪車に対しても衝突回避支援が行われます。

●車内のアクセサリーコンセントを新設定

「UX300e」のメーター
「UX300e」のメーター

液晶メーターが12.3インチに大型化され、ドライバーが運転に集中できるように運転支援情報をわかりやすく表示できます。大型液晶を活かした表示グラフィックも選択可能になっています。ハイブリッド車もエレクトロシフトマチックになり、操作性の向上が図られています。

「UX300h“F SPORT”」の専用本革スポーツシート
「UX300h“F SPORT”」の専用本革スポーツシート

そのほか、車内のアクセサリーコンセント(AC100V・1500W/非常時給電システム付)の新設定もトピックスです。停電などの非常時に、車内外で消費電力の合計が1500W以下の電気製品を使用できます。また、外部給電アタッチメントを利用することで、窓を閉めたまま電源コードを出して給電が可能。車内への虫などの異物の侵入、雨天時の水の侵入を低減することができます。

「UX300e」の外部給電アタッチメント
「UX300e」の外部給電アタッチメント

駆動用まわりでは、走行と急速充電を繰り返しても電池の上限温度に達しないように調節し、充電性能や電池寿命が確保できるようになっています。

外気温が下がる冬場などでも、よりすばやく満充電になるようバッテリー温度を調整する駆動用電池ヒーターを搭載するなど、高出力、高効率な充電システムにさらに磨きをかけ、従来型に比べ、充電時間を25%短縮し、利便性の向上が盛り込まれていてます。

「UX300h“F SPORT”」の専用本革スポーツシート
「UX300h“F SPORT”」の専用本革スポーツシート

●価格帯
「UX300h」:455万9000円〜565万7000円
「UX300e」:650万円〜705万円

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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