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■第二次世界大戦下に待望の戦艦「大和」が完成
1941(昭和16)年12月16日、当時世界最大で最強と謳われた戦艦「大和」が竣工しました。
全長263m、全幅38.9m、排水量63000t。当時の技術の粋を尽くした、世界最大の戦艦でした。
しかし、大和が完成した時には、戦艦で大砲を撃ち合うのではなく、航空機で戦う時代に移っており、その実力を発揮する機会に恵まれませんでした。
●登場が遅かったのか戦艦大和
第二次世界大戦(太平洋戦争)以前の戦争では、敵の軍艦をより遠くから強力な大砲で攻撃できる軍艦が、特に海に囲まれた日本では必要でした。
太平洋戦争が開戦した直後の1941年12月、日本の期待を一身に背負って誕生した戦艦大和。当時の最先端技術が盛り込まれた世界最大・最強と謳われ、米国艦隊に対抗するための最終兵器として開発されました。
全長263m、全幅38.9m、排水量63000tながら最大速度27ノット(50km/h)で航行でき、主砲は世界最大の46cm砲を9門備え、その砲弾は高さ11.9km、到達距離41kmに達し、まさしく世界最大・最強と呼ぶにふさわしい戦艦でした。
完成後、大和は艦隊決戦の最終兵器として温存され、ほとんど海戦で活躍する機会はなく、1945年4月7日、水上特攻として沖縄に向かっている最中に、魚雷と砲弾の集中攻撃を受けてあえなく沈没しました。
本格的な太平洋戦争となった頃には、空母と航空機を主体にした攻撃に代わり、巨大戦艦大和の活躍の場はなかったのです。
●大和の原動機は、15万馬力を発生する蒸気タービンエンジン
現在、一般のフェリーやタンカーは、大排気量のディーゼルエンジンを搭載しています。また軍艦は、ディーゼルエンジンかガスタービンエンジンを使っています。
ガスタービンエンジンは、ジェットエンジンのことで、飛行機の翼に付いているエンジンと同じです。ただし、ジェット機のように高速噴流(燃焼)ガスを高速で噴出してその反動で推進するのではなく、プロペラシャフトと連結する羽根車に噴流ガスを噴射して回転させ、スクリューを回します。そのため、エンジン音は飛行機と同じような“キーン”という甲高い音がします。
一方、大和に代表されるような戦時下の船では、ガスタービンでなく蒸気タービンが使われていました。
蒸気タービンは、燃料を燃やしてボイラーで発生した高温高圧の蒸気の流れで直接羽根車を回しスクリューを回転させます。戦時中の軍艦では、燃料として重油を用いていましたが、古くは石炭も使われており、様々な燃料が使用できます。大和は、4基のプロペラで15万馬力の蒸気タービンエンジンを搭載していたのです。
●初期の自動車にも使われていた蒸気エンジン
19世紀末、カール・ベンツとルドルフ・ダイムラーがガソリン自動車を発明する前までは、蒸気自動車が自動車の原動機として使われていました。
蒸気自動車は、ボイラーで発生した蒸気で直接タービンを回すのではなく、高温高圧の蒸気をピストンが組み込まれたシリンダに送り込みます。シリンダーに装着した弁の開閉によって、蒸気の圧力を切り替えてピストンに往復運動させ、この往復運動をピストンロッドで回転運動に変換し、動力とする外燃機関です。
日本でも最初の国産自動車は、1904年に製作された「山羽式蒸気自動車」でした。もちろん、簡便さや小型、効率面で優れるガソリンエンジンやディーゼルエンジンに淘汰されましたが、一時期はバス用として多用された時期もありました。
電動化の波は、船にも広がっています。電動小型観光船の実験的な運行や、EVの約100台分のバッテリーを搭載した世界初の電動タンカーも運行しています。EV同様、コストと航続距離が課題ですが、脱炭素社会に向けて船でも電動化の動きが加速することは、確かなようです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)