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■TNGAの思想から生まれた新世代プリウス
2015(平成27)年12月9日、トヨタは「プリウス」のモデルチェンジを行い、4代目プリウスの発売を開始しました。
1997年に量産初のハイブリッドモデルとして登場したプリウスですが、その後も2代目、3代目と進化を続け、4代目は驚異の燃費、40.8km/Lを達成しました。
●プリウスの誕生と4代目までの進化
・1代目(10系:1997年~)
世界初の量産ハイブリッド車プリウス(10系)は、1997年12月にデビューしました。1.5L直4エンジンと2つのモーター/発電機、動力分割機構を組み合わせた“THS(トヨタハイブリッドシステム)”を採用し、他車を圧倒する燃費28.5km/L(10・15モード)で世界に衝撃を与えました。
・2代目(20系:2003年~)
2代目プリウスは、駆動電圧の高電圧化やモーター出力を33kWから50kWに高めた新世代“THS II”を搭載。最高レベルの燃費35.5km/L(10・15モード)を達成。さらに、課題であった走りも改善した2代目は、初代の10倍の販売台数を記録する大ヒットとなりました。
・3代目(30系:2009年~)
3代目プリウスは、ハイブリッドシステムの90%以上を新規開発し、エンジン排気量を1.8Lに拡大し、THS IIを進化させた“リダクション付きTHS II”を搭載。空力特性の改善などと組み合わせて、燃費は38.0km/L(10・15モード)まで向上し、同時に2.4L並みの動力性能も達成しました。
●驚異の燃費40.8km/Lを達成した4代目
そして登場した4代目プリウス(50系)は、TNGA(トヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャー)の第1号として投入され、低重心の躍動感溢れたスポーティなスタイリングに変貌しました。
エンジンは、3代目と同じ1.8L直4のアトキンソンサイクルエンジンを改良して熱効率40%を達成。また、組み合わせたハイブリッドTHS-IIも20%の損失低減を実現。その結果、燃費は世界トップレベルの40.8km/L(JC08モード)を記録したのです。
さらに低燃費だけでなく、TNGAをベースにした高剛性ボディや、リアにダブルウィッシュボーンサスペンションの採用などで、走行性能や快適性、静粛性も一段と向上。車両価格は、手頃なEグレードが242.9018万円。3代目のEグレードが205万円でしたので、40万円近く高くなっています。
4代目プリウスは、大ヒットした3代目同様に好調な販売を続け、2016年と2017年、2019年は販売トップの座を獲得しました。
●エモーショナルなクーペスタイルに変貌した新型プリウス
2023年1月、5代目(60系)となる新型プリウスがデビューしました。注目は、4代目よりさらに低重心のスポーティでエモーショナルなクーペスタイルとなったことです。
新型プリウスには、1.8Lハイブリッドと2.0Lハイブリッドの2つの設定があり、ハイブリッドシステムの最適設計と小型、軽量、効率化で、1.8Lが32.6km/L、2.0Lが28.6km/L(WLTCモード)の低燃費を実現。さらに、全車“Toyota Safety Sense”、コネクティッド機能、トップマウントメーターなど、安全性能や快適性などの装備の充実ぶりも目を見張るものがありました。
これまで燃費性能を追求してきたプリウスが、5代目でデザインや優れた走りも追求することで、新生プリウスをアピールしたのです。そして多くの評価を得てつい先日、2023年度の日本カー・オブ・ザ・イヤー 2023-2024に輝くことになりました。これでプリウスは、初代、3代目に続き、3度目の受賞となります。
プリウスは、3代目までに世界的な普及を実現し、エコカーのリーダーとしての確固たる地位を築きました。4代目は、それまでの燃費のプリウスでなく、優れた燃費性能ととともに走行性能を両立したスタイリッシュなプリウスへと舵を切るという重要な役目を果たしたと思われます。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)