ヤマハと英雄ロッシがタッグを組んだMoto2世界選手権チームに、2024年からジェレミー・アルコバが加入。日本人ライダー佐々木歩夢とタッグ

■アルコバ選手と佐々木選手の活躍に期待

ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、9度の世界王者に輝く英雄バレンティーノ・ロッシさんが運営に関わる、Moto2世界選手権チーム「コレオス・プレパゴ・ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム(Correos Prepago Yamaha VR46 Master Camp Team)」に、2024年シーズンからスペイン人ライダーのジェレミー・アルコバ選手が加入することを発表しました。

2021年シーズンに陰萎した英雄バレンティーノ・ロッシさん
2021年シーズンに陰萎した英雄バレンティーノ・ロッシさん

若手ライダー育成を目的に、2022年からMoto2へ参戦しているのが同チーム。2024年シーズンには、すでに日本人ライダーの佐々木歩夢選手が下位クラスのMoto3からステップアップし、チームに加入することが発表されていますが、そのチームメイトとなるのがアルコバ選手です。

2年間のMoto2経験がある実力派のアルコバ選手と、2023年シーズンのMoto3でランキング2位に輝いた佐々木選手のタッグが、2024年シーズンにどんな活躍を見せてくれるのかが注目です。

●ヤマハがサポートするMoto2チーム

コレオス・プレパゴ・ヤマハVR46マスターキャンプ・チームは、元々、ヤマハの若手ライダー育成プログラム「ヤマハVR46マスターキャンプ」出身ライダーで構成するチームです。

「タイ・ヤマハモーター(Thai Yamaha Motor Co. Ltd.)」「ヤマハモーター・ヨーロッパ(Yamaha Motor Europe N.V.)」「ヤマハモーターレーシングSrl(Yamaha Motor Racing Srl.)」がサポートを担当。MotoGPで長年ヤマハ製マシンを駆り、数々の栄光を収めた伝説のライダー、ロッシさんが運営するVR46がマネジメントを行っているのがこのチームです。

野左根航汰選手
野左根航汰選手

世界最高峰の2輪レース・MotoGPの登竜門といえるMoto2には、2022年から参戦。2022年シーズンには、タイ人のケミン・クボ選手とスペイン人のマヌエル・ゴンザレス選手を起用。2023年シーズンはゴンザレス選手が継続参戦すると共に、日本人ライダーの野左根航汰選手も加入し、その活躍が期待されていました。

ところが、野左根選手は第1戦ポルトガルGPで負った怪我により、長期に渡りレースを欠場。その後も思うような結果を出せず、残念ながら2023年シーズン限りでチームとの契約を終了することになりました。

また、2023年シーズンのゴンザレス選手は、第19戦カタールGPでチーム初の表彰台に上がるなどで、年間ランキング8位と大活躍。ところが2024年シーズンには、同じMoto2のグレシーニレーシングへ移籍することに。

ヤマハは、2023年9月に2023年シーズンのMoto3でチャンピオン争いを展開した佐々木選手との契約を発表。コレオス・プレパゴ・ヤマハVR46マスターキャンプ・チームに加入し、Moto2で闘うことを明らかにしていますが、ゴンザレス選手に代わるライダーは未公表だったため、その動向が注目されていました。

●アルコバ選手と佐々木選手ってどんなライダー?

そんなアルコバ選手と佐々木選手。アルコバ選手は、2020年から、Moto2の下位クラスとなるMoto3にフル参戦を開始。その年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得し注目を集めました。続く2021年も、Moto3で2度の表彰台に上がるなどの活躍をみせ、2022年からMoto2へ昇格します。

ジェレミー・アルコバ選手(左)
ジェレミー・アルコバ選手(左)

Moto2の1年目、アルコバ選手は毎戦のようにポイント圏内を走行し、3回の6位フィニッシュなどで健闘。2年目となる2023年シーズンも、第3戦アメリカズGPと第16戦オーストラリアGPで4位となるなどで活躍しますが、年間ランキングは18位と今一歩。2024年シーズンは、Moto2初の表彰台を目指して奮闘するといいます。

一方の佐々木選手は、2016年にMoto3に代役参戦。2017年にレギュラー参戦を果たし、ルーキーながらも8度のポイント獲得を果たすなどで、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。

佐々木歩夢選手(右)
佐々木歩夢選手(右)

その後も、Moto3で活躍した佐々木選手は、2018年と2019年はいずれもランキング20位。2020年は、ポイント圏内に8回、トップ10に3回入り、ランキング16位に。2021年は、アクシデントによる怪我で欠場したレースもあるものの、第13戦アラゴンで3位表彰台を獲得するなどで、ランキング9位となります。

そして、2022年シーズン、Sterilgarda Husqvarna Maxに移籍した佐々木選手は、オランダとオーストリアでの2勝を含む9回の表彰台に立ち、238ポイントを獲得してランキング4位と大活躍。

2023年シーズンには、常にランキングトップ争いを繰り広げるまでに成長し、第20戦バレンシアGPでは今季初優勝を果たすなどで、自身最高のランキング2位を獲得しています。

さて、佐々木選手とアルコバ選手が加入するコレオス・プレパゴ・ヤマハVR46マスターキャンプ・チームが、2024年シーズンにどんな活躍を見せてくれるのか、今からとっても楽しみですね。

(文:平塚 直樹)

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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