秋山豊寛氏が日本人初の宇宙飛行に成功【今日は何の日?12月2日】

■ソ連(現、ロシア)の「ソユーズTM11号」に搭乗して宇宙へ

ロケットのイメージ(引用:photoAC)
ロケットのイメージ(引用:photoAC)

1990(平成2)年12月2日、当時TBSの記者だった秋山豊寛氏を乗せたソ連の「ソユーズTM11号」が打ち上げられ、日本人として初めて宇宙飛行を行いました。

秋山氏は、日本人初の宇宙飛行士であるとともに、世界で初めて宇宙に行ったジャーナリストでした。

本来は、毛利衛氏が秋山氏より先に1988年に打ち上げ予定であった米国のスペースシャトル「エンデバー」に搭乗するはずでしたが、1986年の「チャレンジャー」の空中爆発事故が発生したため、延期されたのです。その後、毛利氏は1992年の「エンデバー」に搭乗して、日本人で2番目の宇宙飛行士になりました。

●ロケットエンジンと車のエンジンは何が違う

ロケット用エンジンと車のエンジンは両方とも内燃機関ですが、もちろんその形態は大きく異なります。

車のエンジンはレシプロエンジン(往復機関)で、燃焼室でガソリンや軽油などの燃料を燃焼(爆発)させた、そのエネルギーでピストンを押し下げる力をクランクで回転運動に変換して出力を得る原動機です。

ロケット噴射のイメージ(引用:photoAC)
ロケット噴射のイメージ(引用:photoAC)

一方、ロケットエンジンも、燃焼室の中の燃料が燃焼するエネルギーを利用します。ただし、ロケットエンジンは燃焼室で高圧の燃焼ガスを大量に作り、それをノズルから後方に高速で噴射、その反力を推進力として飛び立つのです。膨らませたゴム風船を空中で手を離すと、空気を吹き出しながら勢いよく飛んでいく原理ですね。

ジェット機のジェットエンジンも同じような原理ですが、ジェット機は大気中を飛行するので、大気中から酸素を取り込むことができるのに対し、ロケットは大気圏を飛び越え、酸素がない宇宙で飛行するため、燃料の液体水素と液体酸素を搭載するか、酸素の代りになる酸化剤を含んだ個体燃料を搭載する必要があるのです。

●ロケットエンジンを使った車があった

ロケットエンジンを使った車の歴史は古く、今から100年ほど前の1929年に、最初のロケットカー「オペルRAK.1」が誕生し、線路上を時速74km/hで走行。同年に「オペルRA.2」が24本の固体燃料ロケットエンジンで238km/hを記録したそうです。

1970年には、米国の「ブルーフレーム」が当時の世界記録655.431km/hを記録し、ロケットカーのドラッグレースも人気となりました。その後1980年代には、過酸化水素を動力源とするロケットカーが、ドラックレースで活躍しましたが、ロケット自動車は安全上の問題等で下火となっているようです。

●トヨタとJAXAが燃料電池(FC)の月面装甲車を開発中

トヨタは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で、月面での有人探査活動に必要な有人与圧ローバ(愛称「ルナクルーザー」)の共同研究を2019年から行っています。

トヨタとJAXAで共同開発中の有人与圧ローバ(愛称「ルナクルーザー」)
トヨタとJAXAで
共同開発中の有人与圧ローバ(愛称「ルナクルーザー」)

動力源には、太陽光発電による水分解で燃料の水素と酸素を供給する「再生型燃料電池(RFC)」を採用。RFCは、日照時に水素と酸素を作り、夜間にFCで電力を供給するというもので、この技術は打ち上げを見込む2029年よりも前の時期に、地上でのモビリティに活用する予定です。

ルナクルーザーは、マイクロバス2台分の大きさで、4人の飛行士が乗車でき、航続距離は1000kmが可能ということです。


宇宙に飛び立つロケットと地上を走る車、全く異なるようですが、意外と接点があり、互いの技術が生かされていることが分かりますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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