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■トヨタ「JPN TAXI」ベースの自動運転タクシーが体験試乗会を開催
2022(令和4)年11月25日~27日に西新宿で開催された「スマートシティフェスタ」の自動運転体験プログラムで、トヨタ「JPN TAXI」ベースの自動運転タクシーが公道を走行し、体験試乗もできました。
自動運転タクシーはインフラ設備に頼らない自律型の自動運転車でした。
●自動運転体験プロジェクトの自動運転システム
トヨタ「JPN TAXI」を利用した自動運転サービスプロジェクトは、
システム・車両開発:ティアフォー
リスク評価・保険:損保ジャパン
3Dマップ:アイサンテクノロジー
5Gなどの通信環境構築:KDDI
インフラ協調:日本信号
事業計画・トンネル内インフラ協調:大成建設&大成ロテック
遠隔トラブルサポート:プライムアシスタンス
運行管制システム:三菱電機
と、多くの企業から構成されています。
JPN TAXIには、オートウェアの制御システムを中心に、LiDARが6個、物体認識用カメラ6台、信号確認用カメラ2台、GNSS(測位衛星システム)1個、IMU(慣性計測装置)1個が装備されました。
走行コースは、新宿中央公園と新宿駅西口地下ロータリーを結ぶ中央通りを1往復するルート。ほぼ直線ですが、新宿駅に地下1階部分のトンネルがあります。トンネル内では衛星からの位置情報などに頼れず、インフラ側のトンネル走行支援が必要ですが、今回はインフラ側の設備に頼らず、車側の LiDAR やセンサー情報だけで走行するように制御されました。
試乗会は、他の車と上手く同調してスムーズに走り、好評だったそうです。
●自動運転タクシー成立のための必要な条件
現在、世界中で自動運転タクシーの公道での実証試験が行われ、限定的に運営もされています。走行地域がある程度限定されるタクシーでは、自動運転レベル4以上の技術で十分な安全が担保できれば、基本的にはタクシーは無人で運行することが可能です。
また運営に際しては、無人化すればドライバーがいなくなることから、安全性を高めるために遠隔監視システムが必須です。車両には万一に備え、乗客が停止させる手動の緊急ボタンが設置されますが、さらに遠隔監視システムで運行状況を常時監視して、必要に応じて制御しなければいけないのです。
自動運転タクシーのサービスが普及すれば、スマホの配車アプリでタクシーを呼び、乗降場所を指定して降りて決済するというシンプルな方法で利用できます。また、将来的にはタクシー料金が大きく下がるポテンシャルもあります。
●米国・中国が自動運転タクシーサービスで先行
自動運転タクシーの有料サービスを世界で最初に始めたのは、米国Waymo(ウェイモ)です。2018年12月に米・アリゾナ州フェニックスで、乗客を実証実験参加者らに限定し、運転席にスタッフが同乗した状態で運行を開始。その後、スタッフなしの無人運行も開始し、2020年には一般ユーザーを対象にした無人運行にも着手しました。
そのほかにも、GMとその関連会社も限定地域ながら運用を進めており、最近は中国で普及が加速しています。
一方日本では、ロボットベンチャー企業「ZMP」とタクシー会社「日の丸交通」が初の実証実験を行ったり、今回のJPN TAXIの自動運転タクシーのプロジェクトや、日産自動車とDeNAの「Easy Ride」サービスの共同開発など、東京や愛知などで実証試験は進められています。とはいえまだ、実際のサービスの運用にまでは至っていません。
また2023年10月には、ホンダとGMが2026年に東京都心を皮切りに自動運転タクシーのサービスを開始すると発表しました。実用化されれば、日本初の自動運転タクシーのサービス開始となります。
日本の狭い、路地の多い道路事情では、より高い精度の自動運転技術が求められると言われています。ホンダとGMの自動運転タクシーが、どの程度の限定条件のもとで運行されるのか、注目です。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)