目次
■シビック、アコードに続いたホンダ初のスペシャリティカー
1978年(昭和53)年11月24日、ホンダからスペシャリティクーペの初代「プレリュード」が登場しました。
ホンダが、コンパクトカー「シビック」と「アコード」のヒットに続く3本目の柱として投入したスペシャリティカーのプレリュード。後にデートカーとして一世を風靡する2代目、3代目の布石となったモデルです。
●日本では地味な印象だったが、米国では人気を獲得した初代プレリュード
初代プレリュードは、直線基調のワイド&ローのオーソドックスなクーペスタイルで、若者というよりは落ち着いた大人をターゲットにしたクーペとして登場しました。
パワートレインは、アコード1800と共通のCVCCを組み込んだ1.8L直4 SOHCエンジンと5速MTおよびホンダマチックATの組み合わせ、駆動方式はFF。サスペンションは、前後ともマクファーソンストラットの4輪独立で、FFを得意とするホンダらしい優れた操縦安定性と走行安定性が実現されました。
そのほかにも、国産車初の電動式サンルーフ、速度計や回転計を同心円状に並べた独特の集中ターゲットメーター、ロータリー式のラジオなど、多くの先進かつ個性的な装備が魅力でした。
車両価格は116万円~140万円。当時の大卒の初任給は10.3万円(現在は約23万円)程度と比較的安価な設定でしたが、FRのトヨタ「セリカ」や日産自動車「シルビア」の人気に押され、日本での販売は期待ほど伸びませんでした。しかし、米国では優れた走りが評価されて人気モデルとなりました。
●デートカーとして一世を風靡した2代目、3代目プレリュード登場
プレリュードは、1982年に初めてのモデルチェンジで2代目に移行。初代のコンセプトを継承しつつも、リトラクタブルヘッドライトによってノーズを下げ、超ワイド&ローのスポーティなスタイリングに変貌。スタイリッシュなフォルムに、先進技術を採用した2代目プレリュードは、若者層を中心に大ヒットを記録しました。
デートカーの元祖と呼ばれた2代目の後を継いだ3代目は、1987年に登場。ワイド&ローのスタイリングとリトラクタブルを継承しながらも、さらなる最新技術を採用。なかでも最大のアピールポイントは、世界初を謳った4WS(4輪操舵)でした。
大ヒットした2代目プレリュードに磨きをかけた3代目は、2代目を凌ぐ人気を獲得し、バブル時代の申し子であるデートカーを象徴する車となったのです。
●当時流行ったサンルーフ、現在はパノラマルーフとして復活の兆しも
国産車で初めて電動式サンルーフを標準装備(1つのグレード除く)したのは、前述の通り初代プレリュードでした。
開放感が得られるサンルーフは、1980年代から1990年代にかけてバブル景気の後押しもあり、一躍人気アイテムになりました。ところが、2000年を迎える頃には、重量が増えて燃費が悪化し、コストがかかるサンルーフは徐々に市場から消え去りました。
ところが最近になって、ガラス材料やボディ構造の進化によって、ガラス(解放)面積を拡大したパノラマルーフという形で復活し、採用モデルが増えています。パノラマルーフは、その名が表すように広い景色が見えるように解放面積をより大きくし、圧倒的な解放感を実現しているのが特徴です。
トヨタの新型「ハリアー(2020年)」やホンダの新型「ヴェゼル(2021年)」、日産の「アリア(2022年)」など、オプション設定やハイグレードモデルにパノラマルーフが搭載されています。
車名のプレリュードは「前奏曲」という意味です。初代は大ヒットとはいきませんでしたが、大ヒットした2代目と3代目プレリュードのまさに前奏の役割を果たしたようです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)