■ステップワゴンに搭載されるHonda SENSING
ステップワゴンのリアル試乗第3回めは、このクルマに搭載されたホンダの安全デバイス「Honda SENSING」を見ていきます。
●少しずつ進化を遂げる「Honda SENSING」
「Honda SENSING」も2020年2月の現行フィットで世代交代を果たし、フィットではどのクルマを買ってもその内容に区別はなし、追加デバイスが機種別でオプション用意される・されないといった、見落としたら後悔するようなことはなく、この点が好感だとフィットの試乗記事で書いた覚えがあります。
Honda SENSING自体はその後も進化を続けており、このステップワゴンではブラインドスポットインフォメーションやアダプティブクルーズコントロールへの渋滞追従機能とは別のトラフィックジャムアジャスト(渋滞運転支援)などを追加、昨年2022年10月の改良版フィットをはじめ、多少の有無はありますが、最新ホンダ車も追従しています。
そのHonda SENSING、今回のステップワゴンに搭載されている機能は次のとおりです。
ここでは取扱説明書に準じて列記します。
【ステップワゴンのHonda SENSING機能】
1.衝突軽減ブレーキ(CMBS)
2.踏み間違い衝突軽減システム
3.歩行者事故低減ステアリング
4.渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)
5.車線維持支援システム(LKAS)
6.トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)
7.路外逸脱抑制機能
8.先行車発進お知らせ機能
9.標識認識機能
10.オートハイビーム
11.パーキングセンサーシステム
12.ブラインドスポットインフォメーション
13.アダプティブドライビングビーム
ややこしいのですが、取扱説明書上では1~9がHonda SENSINGに属し、カタログ装備表では1~12までのすべてがHonda SENSINGに勘定されています。
また、「踏み間違い衝突軽減システム」は、「誤発進抑制機能」「後方誤発進抑制機能」「近距離衝突軽減ブレーキ」3機能の総称です。
ひとつひとつを解説していきます。
1.衝突軽減ブレーキ(CMBS:Collision Mitigation Braking System)
車両や歩行者、ひとが乗車して動く自転車を検知し、衝突の危険がある際には音やメーター表示で警告。衝突の危険がなおも続いているとシステムが判断すると強いブレーキをかけ、停止または減速させることで衝突回避・被害軽減をアシストする。
2.踏み間違い衝突軽減システム
次の3機能から構成される。
2-1.誤発進抑制機能
前方に障害物があるにもかかわらずアクセルペダルが踏み込まれた際、パワーシステム出力を抑制して急発進を防止。併せて音とメーター表示にて警告する。
2-2.後方誤発進抑制機能
後方に障害物があるにもかかわらずアクセルペダルが踏み込まれた際、パワーシステム出力を抑制して急発進を防止。併せて音とメーター表示にて警告する。
2-3.近距離衝突軽減ブレーキ
壁など、障害物の見落としで衝突するおそれがあるとき、ドライバーのブレーキ操作を支援し、停止または減速させることで衝突回避・被害軽減をアシストする。
3.歩行者事故低減ステアリング
走行中に車線を外れ、路側帯の歩行者に衝突しそうな際、音とメーター表示にて警告するとともに、ハンドル制御も行って回避操作を支援する。
4.渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)
先行車不在のときは設定車速を維持した自動走行をし、先行車がある場合は適度な車間距離を維持した走行の支援をする。先行車が停止すればこちらも停車する渋滞追従機能もある。
5.車線維持支援システム(LKAS:Lane Keep Assist System)
高速路道路または自動車専用道走行時、車線の中央を走行するようハンドル操作をアシストする。車線から外れそうになればメーター表示、ハンドル振動、音の吹鳴で警告して注意を促す。
6.トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)
高速路などでの渋滞時、自車位置を走行車線をキープするよう、ハンドル操作をアシストする。前述ACCと併せ、渋滞時のドライバーの運転操作を軽減する。
7.路外逸脱抑制機能
車線や草、砂利など、道路との境目をはみ出しそうな際、または対向車に接近して車線から外れそうになったとき、逸脱を防ぐようハンドル操作をコントロールして回避操作をアシストするとともに、メーター表示とハンドル振動、音で警告する。
8.先行車発進お知らせ機能
先行車が発進したことを音とメーター表示にてドライバーに知らせる。
9.標識認識機能
走行中に捉えた道路標識内容をメーターに表示。速度を超えた場合はメーターにてその表示を一定時間点滅させ、安全運転をアシストする。
10.オートハイビーム
フロントカメラで先行車や対向車、街灯の有無を検知し、状況に応じてライトのロー/ハイを自動で切り替える。
11.パーキングセンサーシステム
車両前方のフロントセンターセンサー&フロントコーナーセンサー、車両後方のリヤセンターセンサー&リヤコーナーセンサーで障害物を検知し、自車と障害物との距離を警報音と表示にてドライバーに知らせる。
12.ブラインドスポットインフォメーション
隣り車線の後方に他車の存在をドライバーに知らせるとともに、車線変更時などに注意を促す。
13.アダプティブドライビングビーム
フロントカメラで先行車や対向車、街灯の有無を検知し、ライトのロー/ハイを自動で切り替えるとともに、周囲車両への幻惑軽減のため、ハイビームの配光を自動調整する。また、40km/h以下ではロービームの照射範囲を広げ、左右の視認性を向上させる。
というわけで、数え方にもよりますが、ステップワゴンのHonda SENSINGに与えられた機能数は全13。とはいえ、オートハイビームとアダプティブドライビングビームを両方持つことはないので、13すべて備えるステップワゴンは存在せず、最大12となります。
ステップワゴン全3機種に対するHonda SENSINGにはいくらか差異があり、Honda SENSINGの標準機能は「ステップワゴンAIR」「ステップワゴンスパーダ」「ステップワゴンスパーダPREMIUM LINE」全機種に初手から与えられ、ここにブラインドスポットインフォメーションがスパーダ、スパーダPREMIUM LINEに加わり、さらにアダプティブドライビングビームがスパーダPREMIUM LINEにのみ上乗せされる・・・3機種間の違いはせいぜいこれくらいですが、安全デバイスの面でもスパーダ並みの安全デバイスを持つ「AIRII」があればと思わせられます。
いざ使う段になって操作が不要な機能・必要な機能が取扱説明書で整理されているのは親切。スイッチ操作が必要なものはACC、トラフィックジャムアジャスト、LKASの3つで、他は操作不要。正確にいうと機能ON/OFFを含む細かなセッティングはカスタマイズ機能でできますが、日常的には勝手に機能してくれます。
駐車スペースを把握し、画面タッチひとつで駐車操作を自動でやってのける機能や、クルマ自ら(に近く)車線変更をしてくれるといった「お、すげえ!」と感嘆する機能こそ持ち合わせてはいませんが、いまどきのクルマに必要というか、商品として順当な機能が与えられており(これでも1990年代から見たら充分未来的)、ステップワゴンAIRでも不足を感じることはないと思います。
さて、今回の試乗車「ステップワゴンスパーダ」で試したのは次の7機能です。
4.渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)
5.車線維持支援システム(LKAS)
6.トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)
8.先行車発進お知らせ機能
9.標識認識機能
10.オートハイビーム
12.ブラインドスポットインフォメーション
本来ならここから実践編で話を進めるところですが、それは次回に。
(文:山口尚志(身長176cm) 写真:本田技研工業)
【試乗車主要諸元】
■ホンダステップワゴン スパーダ〔5BA-RP6型・2022(令和4)年5月型・FF・CVT(自動無段変速機)・ミッドナイトブルービーム・メタリック〕
●全長×全幅×全高:4830×1750×1840mm ●ホイールベース:2890mm ●トレッド 前/後:1485/1500mm ●最低地上高:145mm ●車両重量:1740kg ●乗車定員:7名 ●最小回転半径:5.4m ●タイヤサイズ:205/60R16 ●エンジン:L15C型(水冷直列4気筒DOHC16バルブ直噴ターボ) ●総排気量:1496cc ●圧縮比:10.3 ●最高出力:150ps/5500rpm ●最大トルク:20.7kgm/1600~5000rpm ●燃料供給装置:電子制御燃料噴射(PGM-FI) ●燃料タンク容量:52L(無鉛レギュラー) ●モーター:- ●最高出力:- ●最大トルク:- ●動力用電池(個数/容量):- ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):13.7/10.4/14.3/15.3km/L ●JC08燃料消費率:15.4km/L ●サスペンション 前/後:マクファーソン式/車軸式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク ●車両本体価格:325万7100円(消費税込み・除くメーカーオプション)