BMW伝統の冒険バイクに新型「R1300GS」登場。新型ボクサーエンジンは史上最強の145PSを発揮

■電子制御サスペンションもより進化

BMWのバイクブランド「BMWモトラッド」が、大型アドベンチャーモデルの新型「R1300GS」を国内導入することを発表しました。

新型R1300GSの走り
新型R1300GSの走り

1980年に登場した初代モデル「R80G/S」以来、40年以上もの歴史を誇ることで、高速道路などオンロードでの快適性とオフロードでの高い走破性を両立した、アドベンチャーバイクというジャンルを牽引してきたのがGSシリーズ。

その最高峰モデルとなる新型R1300GSは、伝統の水平対向2気筒・通称「ボクサー」エンジンを新設計。排気量を1300ccに増大させるなどで、最大出力をGSシリーズ最高の145PSにアップし、様々な道で余裕ある走りをアップデートしていることがポイントです。

また、フレームも新型とするなどで軽量化を図った他、足まわりにも新しい電子制御式のダイナミック・サスペンション(DSA)を装備することで、より走破性や快適性を向上させています。

●LEDヘッドライトに新デザインを採用

世界で最も過酷なラリーと評されるパリ-ダカールラリー(現在のダカールラリー)で数多くの勝利を獲得し、世界中で高い評価を受けた伝説のバイクR80G/Sの直系となるのがGSシリーズです。

R1300GSのフロントビュー
R1300GSのフロントビュー

舗装路はもちろん、悪路でも高い走行性能を誇るアドベンチャーバイクと呼ばれるジャンルを確立した立役者で、日本でも根強いファンが多いBMW伝統のモデルといえます。

ラインアップには、313ccや750cc、800ccや900ccなど、豊富な排気量のモデルを揃えますが、その最高峰となるのが新型のR1300GSです。

LEDヘッドライトには新デザインを採用
LEDヘッドライトには新デザインを採用

新型モデルでは、スタンダードの「R1300GS」、スポーツ仕様の「R1300GS・GSスポーツ」、ロングツーリングに快適な装備を持つ「R1300GSツーリング」といった3タイプで展開します。

いずれも、外観にはGSシリーズ共通のシャープなフォルムを継承しつつ、フロントフェイスなどを刷新。特に、LEDヘッドライトには新デザインを採用し、ロービームとハイビーム用の2つのLEDユニットに、デイタイムランニングライトとコーナリングライト用といった、計4つのLEDユニットを装備します。

ハンド・プロテクターにはターン・インジケーターを内蔵
ハンド・プロテクターにはターン・インジケーターを内蔵

なお、R1300GSツーリングに採用している「ヘッドライト・プロ」では、コーナーリング中にバイクがバンクする(傾く)ポジションに応じ、LEDヘッドランプのビームが稼働する機構を採用。常に、バイクの進行方向内側を照射することで、夜間走行などでの優れた視認性に貢献します。

他にも、ハンド・プロテクターにはターンインジケーター(ウインカー)内蔵タイプを採用。燃料タンクも新型のアルミ製とするなど、細部をアップデートしています。

●伝統のボクサーエンジンは排気量を1300ccへアップ

パワートレインには、前述の通りBMW伝統のボクサーエンジンを採用。新型ではクランクシャフトの下にギアボックスを配置したほか、新しいカムシャフト駆動機構を採用することで、これまで以上にコンパクト化を実施しています。

伝統のボクサーエンジンは排気量を1300ccへアップ
伝統のボクサーエンジンは排気量を1300ccへアップ

それでいて、排気量は従来モデル「R1250GS」の1254ccに対し1300ccへアップさせるなどで、最高出力を136PSから145PSへ大幅に増大。今までGSシリーズとして生産されたモデル中で、最もパワフルなBMWボクサーエンジンを搭載します。

一方、新型のパワートレインは、ボクサーエンジンの課題だった左右シリンダーのシンメトリ(左右対称)化が図られていることもポイントです。

2つのシリンダーが水平で真横に出ているボクサーエンジンには、従来、左右シリンダーの位置がズレていることで、たとえば、ステップ位置が左右でやや違うなどの課題もありました。慣れてしまえば操作性などに問題が出るほどのレベルではないですし、そもそもボクサーエンジンは、重心が低いなどで高い走行安定性を誇ることが魅力です。

エンジンも負荷分担に利用することで、高い剛性と軽量化を実現
エンジンも負荷分担に利用することで、高い剛性と軽量化を実現

一方、新型のボクサーエンジンでは、シンメトリ(左右対称)化が図られていることもポイント。シリンダー内のタイミングチェーンを、右側はシリンダーの前へ、左側はシリンダー後方に配置するレイアウトを採用することで、ボクサーエンジンの課題解消を図っているといいます。

車体では、エンジンを負荷分担に利用する板金シェル構造の新型フレームを採用し、前モデルと比較して高い剛性を確保。

また、それにつながるリヤフレームは、従来採用していた鋼製のチューブ状構造からダイキャスト・アルミニウム製の構造へ変更するなどで、車体全体で12kgもの軽量化(欧州仕様車の場合)も図られています。

●サスペンションには最新のDSAを搭載

足まわりには、新型の電子制御式ダイナミックサスペンション(DSA)を装備することもトピックです。

新型の電子制御式ダイナミック・サスペンション(DSA)で、タンデム時なども高い快適性を実現
新型の電子制御式ダイナミック・サスペンション(DSA)で、タンデム時なども高い快適性を実現

新型のDSAでは、選択したライディングモード、ライディング条件、ライダーの操作などに応じ、スプリングプリロード(縮み量)を自動調整することで、すべての路面でより安全なライディングが可能。また、1人乗り時はもちろん、タンデムや大きな荷物を載せた際など、様々なシーンで高い安全性や快適性を向上しています。

加えて、R1300GSツーリングには、アダプティブ車高制御機能も採用。ライダーの操作条件などに応じて、車高を完全に自動調整する機能です。

たとえば、停止時および低速走行時はシート高が約30mm下がって820mmとなることで、足着き性などが向上。一方、走行速度が上がるとシート高は標準の850mmへ戻ることで、走行安定性や快適性を高次元で実現します。

オフロードでの高い走破性も魅力
オフロードでの高い走破性も魅力

さらに、R1300GS・GSスポーツには、スポーツサスペンションを採用。他のタイプと比べ、+20mmの豊かなサスペンションストロークを持たせることで、よりスポーティな走りを楽しむことができます。

●ACCなど先進の安全運転支援システムも装備

最新の電子制御システムでは、ライディングモードに「Rain(レイン)」「Road(ロード)」のほかに、燃費に配慮した設定となる「ECO(エコ)」、オフロードでの使用に特化した設定となる「Enduro(エンデューロ)」を用意。さらに、よりハードな悪路走行にも対応する「Enduro Pro(エンデューロプロ)」では、リヤのABSを一時的にカットするなどの調整も可能となっています。

ブラック・ストーム・メタリック
ブラック・ストーム・メタリック

また、先進の安全運転システムでは、高速道路などで前車との距離を保ちながら設定速度で追従するACC(アクティブクルーズコントロール)を採用。車線変更時に他のレーン後方に他車がいる場合、ミラーへ警告を表示するレーンチェンジワーニング(SWW)など、ライダーの運転をアシストする機能も満載です。

車体色は、R1300GSに「レーシングブルーメタリック」「ブラックストームメタリック」の2色を設定。

R1300GS・GSスポーツは「レーシングブルーメタリック」の1色設定。

アウレリウス・グリーン・メタリック
アウレリウス・グリーン・メタリック

R1300GS・ツーリングでは、「レーシング・ブルー・メタリック」「ブラック・ストーム・メタリック」「アウレリウス・グリーン・メタリック」の3色を用意します。

価格(税込)は

R1300GSが284万3000円〜286万6000円
R1300GS・GSスポーツが297万1000円
R1300GS・ツーリングが318万5000円〜336万8000円

で、2023年11月23日に発売される予定です。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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