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■光りが当たる角度で色調が変わるカスタムカラー採用
イギリスの「トライアンフモーターサイクルズ(以下、トライアンフ)」は、120年以上の歴史を誇る老舗バイクブランド。
ラインアップには、長い伝統を継承する「モダンクラシック」というシリーズがありますが、その2024年モデルとして特別なカラーを採用した限定車「ステルス・エディション(Stealth Edition)」が登場します。
1950年代に一世を風靡したボンネビル・シリーズを筆頭に、かつての名車たちの雰囲気をオマージュしたのがモダンクラシック・シリーズ。
そのなかの8機種に新しく追加された限定車では、トライアンフのペイントチームが開発した革新的な新技術を用いた特殊塗装を施していることがポイントです。
特殊塗装で「ステルス」というネーミングが付いているというと、レーダー探知が難しいことで知られる「ステルス戦闘機」を思い浮かべますが、今回の限定車も、そんな軍事技術が投入されているのでしょうか? ちょっと調べてみました。
●伝統のバーチカルツイン搭載モデルに採用
モダンクラシックとは、トライアンフ伝統の並列2気筒エンジン、通称「バーチカルツイン」を搭載し、クラシカルなスタイルを持つシリーズです。
今回追加されたステルス・エディションは、それらのなかの8機種に特別なペイントを施したもので、1年限だけ販売する限定車だといいます。
ステルス・エディションの設定があるのは、まず、1200ccエンジンを搭載する
「ボンネビルT120」
「ボンネビルT120ブラック」
「ボンネビル スピードマスター」
「ボンネビル ボバー」
「スピードツイン1200」
また、900ccエンジンの
「ボンネビルT100」
「スピードツイン900」
「スクランブラー900」
にも追加されます。
各モデルで採用されるカラーは異なり、
スピードツイン1200とボンネビル スピードマスターは「レッド」系
ボンネビル ボバーは「パープル」系
ボンネビルT120とボンネビルT100は「ブルー系」
スピードツイン900は「グリーン」系
スクランブラー900は「オレンジ」系
ボンネビルT120ブラックは「マットシルバー仕上げ」
になるといいます。
●燃料タンクに特別な塗装をハンドペイント
これらステルス・エディションには、いずれも、トライアンフのペイントチームが燃料タンクに特別なカスタムペイントを施すことがポイント。独自の新技術を用いた塗装は、光の加減で様々な色合いに変化することが特徴だといいます。
全て手作業で行われるという塗装技術の概略は、まず燃料タンクに下地として、鏡面仕上げのメタリック「シルバーアイス」をペイント。
次は、その上から燃料タンクの前方から後方へかけ、継ぎ目なく「サファイアブラック」カラーのグラファイト塗装を実施。このグラファイトとは、炭素の結晶のことで、グレーがかったメタリック仕上げになることが特徴です。これにより、最終的に仕上がった際に暗い色から明るい色へドラマチックに変わるグラデーション効果が生まれるそうです。
そして最後に、半透明で鮮やかなキャンディーカラーのラッカー塗料を何層にも塗り重ねることで深みを出して完成。暗いグラファイトから発色の良い明るいカラーまで光に当たると様々な色合いとなり、どの角度から見ても色味が異なって見える独特なカスタムカラーになるといいます。
ちなみに前述したステルス戦闘機の塗装は、レーダー探知機に検知されにくくするためにレーダー波吸収材を含んだ塗料が用いられているといいますから、今回の塗装とは別もののようですね。
おそらく、トライアンフがステルス・エディションという言葉を使ったのは、英語の「stealth」という言葉には、「隠密」とか「こっそり行う」といった意味があるからでしょう。
濃い色調や明るい色調が、燃料タンクの奧に隠されているような印象の塗装であることで、こうしたネーミングにしたのかもしれません。
なお、ステルス・エディションの価格(税込)は
「ボンネビル スピードマスター」「ボンネビル ボバー」194万3000円
「スピードツイン1200」179万3000円
「ボンネビルT120」「ボンネビルT120ブラック」172万3000円
「スクランブラー900」143万3000円
「ボンネビルT100」140万3000円
「スピードツイン900」122万3000円
となっています。
(文:平塚直樹)