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■先進技術を投入したブルーバード最後のFRモデル
1979(昭和54)年11月2日、日産自動車の「ダットサン・ブルーバード」がモデルチェンジを行い、6代目がデビューしました。
ライバルのトヨタ「コロナ」に圧倒された4代目と5代目の後を引き継いだ6代目は、先進技術を搭載した完成度の高いセダンとして人気復活を果たしました。
●コロナから2年遅れで初代ブルーバード(310型)がデビュー
初代ブルーバードは、1957年に登場したトヨタの中型大衆車「トヨペットコロナ」に対抗するため、1959年に誕生しました。当時は、「トヨペットクラウン」や「スバル360」が誕生した自動車黎明期で、日本のモータリゼーションに火が付いた頃でした。
ブルーバードは、当初は4ドアセダンのみで親しみやすい丸みを帯びたフォルムを採用。パワートレインは、4気筒OHCの1.0Lおよび1.2Lエンジンと3速MTの組み合わせ、駆動方式はFRでした。サスペンションは、フロントをダブルウィッシュボーン独立懸架として、家族が乗って楽しめる乗り心地が実現されました。
初代ブルーバードは、大々的な発表会を行ったこともあり、1ヶ月で8,000台を受注。ライバルのコロナを圧倒し、連続64ヶ月、小型乗用車のトップに君臨しました。
これを機に、“BC(ブルーバード×コロナ)戦争“と呼ばれる熾烈な大衆車のトップ争いが始まったのです。
●その後のブルーバードとBC戦争
・2代目(410型:1963年~1967年)
人気を獲得した初代をモノコック構造にした2代目。ピニンファリーナ社に依頼した尻下がりデザインが不評で、首位の座をコロナに譲りました。ただし、追加されたスポーツモデル「SS(スポーツセダン)」や「SSS(スーパースポーツモデル)」は好評でした。
・3代目(510型:1967年~1972年)
スーパーソニックラインと呼ばれるシャープなフォルムを採用し、プラットフォームやエンジンなどを一新。1.6L高性能エンジンを搭載した「ブルーバード1600SSS」は、1970年のサファリラリーで総合優勝を果たしたこともあり、大ヒットして再びコロナから首位を奪回しました。
・4代目(610型:1971年~1976年)
ブルーバード Uとサブネームをつけ、大型化・高級化を図るも人気は低迷。特にフロントフェイスがサメに似ていることからサメブルと呼ばれて、再び首位から陥落しました。
・5代目(810型:1976年~1979年)
不人気だった4代目のデザインを見直し、シンプルなスタイルに原点回帰。しかし、オイルショックや排ガス規制の対応に追われて、商品力強化が上手くいかず首位奪還とはなりませんでした。
●最新技術を投入してトップの座に返り咲いた6代目
6代目は、大きな角型ヘッドライトを組み込んだ直線基調のシャープなスタイリングが特徴でした。注目の新機構として、走行安定性を高める“ハイキャスター・ゼロスクラブ・サスペンション”や新型“ラック&ピニオン式ステアリング”、“ベンチレーテッド・ディスクブレーキ”が採用されました。
エンジンは、1気筒あたり2本の点火プラグを配置した1.6L/1.8L/2.0L直4 OHCが設定され、トランスミッションは4速/5速MTおよび3速ATと、豊富なバリエーションを用意。翌年3月には、1.8Lターボエンジンが追加され、ターボ搭載の「1800SSS/2000SSS」は、圧倒的な走りで多くの若者の人気を獲得。駆動方式はFRですが、ブルーバードにとってはこの6代目が最後のFRモデルとなりました。
車両価格は、人気の1800SSSが124.3万円、2000SSSが144.7万円。ちなみに当時の大卒の初任給は、11万円(現在は約23万円)程度でした。
シャープなスタイリングとスポーティな走りの6代目ブルーバードの人気は爆発。販売台数は、27ヶ月連続で小型乗用車トップに君臨し続け、ライバルのコロナを圧倒したのです。
3代目以来のビッグヒットとなった6代目ブルーバード。ブルーバード最後のFRモデルであり、またダットサンの冠が付いた最後のブルーバードとして、今も数多くの愛好家が存在します。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)