60年の伝説に終止符。トライアンフのカフェレーサー「スラクストンRS」に限定車「ファイナルエディション」が登場

■歴史的なバイクの最後を飾る特別限定車

イギリスのバイクメーカー「トライアンフ モーターサイクルズ(以下、トライアンフ)」は、1964年に一世を風靡したレーサーをオマージュした「スラクストン(Thruxton)」シリーズの生産を、2024年に終了することを発表。

スラクストン ファイナルエディションのリヤビュー
スラクストン ファイナルエディションのリヤビュー

60年に及ぶ伝説の最後を飾るモデルとして、最終生産分となる限定車の「スラクストン ファイナルエディション(Thruxton Final Edition)」を発売することを明らかにしました。

ベースとなるのは、1200cc・パラレルツインエンジンを搭載する現行モデルの「スラクストンRS」で、コンペティショングリーンのボディカラー、ゴールドのラインなどが施された燃料タンクなど、特別な装備を施した仕様になるといいます。


●ルーツは1964年に登場したレーシングマシン

1960年代などのレーシングマシンをオマージュしたカスタムスタイル「カフェレーサー」を彷彿とさせるスタイルを持つのが、トライアンフのモダンクラシック・シリーズに属するスラクストンです。

ルーツは1964年に登場したレーシングマシン
ルーツは1964年に登場したレーシングマシン

そのルーツは、1964年に登場した同名の限定版レーサー「スラクストン」。登場直後から数多くの耐久レースで輝かしい戦績を残した市販マシンで、1969年にイギリスで開催された「スラクストン500マイルレース」では表彰台を独占。また、当時、世界最高峰の公道レースとして有名だった同じイギリスの「マン島TT」でも、1969年に量産モデルとして初めて平均時速100マイル(平均約160km/h)という記録を樹立するなど、数々の成功を収めたことで世界中のバイク好きを虜にしたといいます。

そんなスラクストンをオマージュし、往年のカフェレーサー・スタイルを採用したスラクストン・シリーズ。2004年にリリースされた「スラクストン900」、2016年にはモデルチェンジを受けた「スラクストン1200R」などが登場。

2019年には、それらの後継として現行モデルの「スラクストンRS」が発売。2022年には燃料タンクなどにクロームを施した「スラクストンRSクロームエディション」も登場し、クラシカルでレーシーなスタイルなどで人気を博しています。

●ハイパワーな1200ccエンジン搭載

そんな伝統を誇るモデルの最終バージョンとなるのが、今回発表された「スラクストン ファイナルエディション」です。

スタンダードのスラクストンRS
スタンダードのスラクストンRS

ベースとなるのは、前述の通り、現行モデルのスラクストンRSです。エンジンには、最高出力105PS・最大トルク112Nm(11.4kgf-m)を発生するハイパワーな1200cc・水冷SOHC並列2気筒を搭載。1959年に登場したトライアンフの伝説的マシン「ボンネビル」が搭載した空冷エンジンを継承することで、「ボンネビルエンジン」の愛称で親しまれているパワートレインです。

足まわりでは、フルアジャスタブルのショーワ製USDビッグピストンフォークと、オーリンズ製ピギーバック式ツインリアサスペンションユニットを採用。レースでも多くの実績を誇るサスペンションが、軽快なハンドリングに貢献します。

ファイナルエディションの基本的な装備は、スラクストンRSを継承する
ファイナルエディションの基本的な装備は、スラクストンRSを継承する

また、軽量な17インチのアルミ32本スポークホイールや、メッツェラー製レーステックRRタイヤも装着。高い走行安定性と確かなグリップ力などを生み出します。

また、最新の電子制御システムも搭載し、「ロード」「レイン」「スポーツ」といった3タイプのライディングモードを用意。走行状況や好みに応じて、スロットルマップとトラクションコントロールの設定を簡単に変更することができます。

ほかにも、特徴的なDRL(デイタイム・ランニングライト)を備えた丸目一灯ヘッドライトや、コンパクトなテールライトなどを採用。クラシカルなスタイルながら、最新の装備もマッチングさせることで、高い安全性や利便性なども誇ります。

●往年の英国製レーサーを彷彿させるカラーを採用

そんなスラクストンRSをベースに、数々の専用装備を施したのがスラクストンファイナルエディション。まず、ボディには、往年の英国製レーシングマシンを彷彿とさせるコンペティショングリーンメタリックを採用。

燃料タンクやシートカウルには、手描きのゴールドラインなども入る
燃料タンクやシートカウルには、手描きのゴールドラインなども入る

燃料タンクやシートカウルには、アーティストのイニシャルも入った手描きのゴールドラインが入るほか、エンジンカバーなどにはブラックパウダーコーティングも実施。サイドパネルやマッドガードにもブラックを採用することで、レーシーなグリーンのボディに絶妙なコントラストを演出します。

ほかにも、1台1台のバイクに、固有の車体番号を記した証明書も付属。デザインチームのメンバーやトライアンフCEOのニック・ブロアのサインも入っており、この最終仕様にコレクターアイテムとしての付加価値を高めてくれます。

ボディカラーにはコンペティショングリーンメタリックを採用
ボディカラーにはコンペティショングリーンメタリックを採用

価格(税込)は、215万円。スタンダードのスラクストンRSが201万5000円〜205万4600円ですから、9万5400円〜13万5000円のアップとなります。

なお、国内の受注はトライアンフ正規販売店で実施し、2024年春以降に入荷する予定だそうです。

(文:平塚直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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