■車両外部のモニターも移動と連動させ、周囲の人も楽しめる新しいモビリティサービス
2023年10月19日、ヤマハ発動機とソニーグループは、エンターテインメント車両による複合現実サービスの「Zoromo(ゾロモ)」を開始しました。
「ゾロモ」は、新たな移動体験を提供するエンターテインメント車両「Sociable Cart(ソーシャブルカート)」の「SC-1」を使って、人と車が一緒に散策をし、車外から楽しめる新しい複合現実(Mixed Reality)サービスです。
さらに、従来から提供されていた乗員向けのMRサービス「MR:Ride(エムアールライド)」にも新たなコンテンツが追加されます。
両サービスともに、上野恩賜公園で同日から開催されている「上野恩賜公園開園150周年総合文化祭」で公開され、その後も各地で展開される予定。
「ゾロモ」と「MR:Ride」に使われる「SC-1」には、人の視覚能力を超えるイメージセンサーが車両前後左右に搭載されています。人が周囲を視認、認知しながら運転する一般的な車と違い、360度全方向にフォーカスが合った映像で周囲の環境を把握できます。
センサーには、超音波センサーと二次元ライダー(LiDAR:レーザー画像検出と測距)も搭載されています。
ネットワーク接続されたクラウド側に走行情報が蓄積され、ディープラーニングで解析。最適な運行アシストにつなげるとともに、車両に搭載された複数のセンサーからの情報をエッジ・コンピューティングで判断し、安全な走行がサポートされます。
搭載されたイメージセンサーの超高感度な特性、内部に設置された高解像度ディスプレイにより、乗員が夜間でもヘッドライトなしに視認できます。また、クラウドを介して映像を確認することで、遠隔地からの操作による走行も可能。
不要になった窓の代わりに、高精細ディスプレイを配置することで、広告や様々な映像を車両の周囲にいる人に対して映し出すことができるのも特徴です。
また、ソニーが開発したMR技術が搭載され、乗員がモニターで見る周囲の環境を捉えた映像に、様々なCGを重ねることで、従来、景色を見るだけであった車窓がエンターテインメント空間に変貌。移動をより楽しめるようになります。
先述したように、「ゾロモ」は、「SC-1」とともに散策するサービスで、車両周囲に展開される関連映像や音声が楽しめるのが最大の特徴です。「SC-1」は、従来、複合現実で乗員向けに移動中のエンターテインメントが提供されてきました。「ゾロモ」では、車両外部のモニターも移動と連動させることで、周囲の人も楽しめる新しいモビリティサービスに進化を遂げています。
また、従来から展開されていた複合現実の「MR:Ride」は、「SC-1」に乗車するサービス。今回は、上野恩賜公園の歴史や各所の説明を聞きながら楽しむ「バーチャル乗馬ツアー」、上野恩賜公園が海の世界になったかのようなMR体験ができる「上野アクアリウム」の2つから選択できます。乗車時間は約10分。
ヤマハ発動機とソニーグループは、「SC-1」による今回の新サービスを、2024年3月までに国内各所(群馬県楽歩堂前橋公園、沖縄県首里城公園、海洋博公園、東南植物楽園)でも開催する予定です。なお「SC-1」は、体験を提供するもので、車両としての一般販売は予定されていないそうです。
さらに両社は、移動をエンターテインメント体験の場に変える「SC-1」を大規模公園や各種アミューズメント施設、商業施設などで展開することで、新たな楽しみを提供することになります。
■SC-1のスペック
●サイズ:全長3135×全幅1306×全高1830mm
●乗車定員:5名「ゾロモ」
●走行速度:0~19km/h
●駆動方式:DCモーター
●バッテリータイプ:リチウムイオンポリマー電池
■上野恩賜公園開園150周年総合文化祭でのSC-1のサービス
●場所:上野恩賜公園内(上野駅と上野動物園間の交番付近にSC-1受付)
●開催日:2023年10月19日(木)~22日(日)
●開催時間:10:00~17:00※19日のみ13:00~17:00
●サービス:MR馬車ツアー(10:00~11:30、15:00~16:30)/MRアクアリウム(12:30~14:00)
●料金:Zoromo 1回500円 SC-1ペーパークラフト(1/27サイズ)付/MR:Ride 1回1,000円~
※運営および予約サイトは、クラブツーリズムと台東区の協力のもと実現
(塚田勝弘)
【関連リンク】
上野恩賜公園開園150周年総合文化祭のSC-1サービス(予約サイト)
https://www.kkday.com/ja/product/150488