■第二種免許の中でも特に特殊な存在が……
バスやタクシー、そしてハイヤーなど、旅客を乗せて運ぶ自動車を「旅客自動車」と呼び、これらの旅客自動車を運転する場合に必要な免許を「第二種運転免許」といいます。第二種運転免許には、第一種免許と同じ区分で分けられた各種免許があります。
そして、この中でもレアなのが「けん引第二種免許」が必要なトレーラーバス。運転席のあるトレーラートラクタが、分離されたトレーラーを引っ張るけん引車で、かつそのトレーラーがシートがついた客車。つまり「旅客業務に使用するけん引車両」ということです。
国内でトレーラーバスが定期運行しているのは、武蔵五日市駅から日の出町の「生涯青春の湯 つるつる温泉」間を往復する機関車バスのみでした。ちなみに「機関車バス」の愛称で親しまれたこのトレーラーバス、車体の老朽化を受けて、残念ながら2023年3月に運行を終了しています。
ちなみに、京成バスが運行し幕張メッセなどを巡回している、途中に蛇腹の接続部分がついたようなバスは連節バスと呼び、分割できない車体構造から、大型自動車第二種免許で運転が可能だそう。
なお、いずれの第二種免許も受験年齢は21歳以上。また普通〜大型自動車もしくは、大型特殊自動車の第一種免許を通算して3年以上(免許停止期間などの期間を除き)所持していることが必要で、第二種けん引免許に関しては、これに加えて第一種けん引免許を保持していることが必要となります。
[2023年10月20日追記] 道路交通法の一部を改正する法律等の施行により、令和4年(2022年)5月13日から、一定の教習を修了することにより、19歳以上で、かつ、大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許又は大型特殊免許のいずれかの運転免許を受けていた期間が1年(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)以上あれば受験することができます。
受験資格には準中型以上の自動車免許と同様に、視力検査が普通自動車免許と異なり、両眼で0.8以上(1眼で各0.5以上)の視力があることのほか、深視力検査をクリアしなければなりません。
また、2016年(平成28年)4月1日から、聴覚障害者に係わる運転免許制度が変わり、補聴器を使用すれば10mの距離で90dBの警音器の音が聞こえる場合、第二種免許を取得できるようになりました。
ちなみに、第二種免許が必要なのは、旅客を運ぶとき。ですから、民間の救急車や、自動車運転代行業の場合にも、第二種運転免許が必要となります。逆に、同じ自動車を利用していても、たとえば「自家用バスに家族で乗る」「個人タクシーを自家用として利用する」などのパターンでは、第二種免許は必要ありません。
人を運ぶことを業務として行なうための運転試験だけに、第二種免許の試験は、実技試験の合格点が高く設定されており、学科試験には、旅客自動車に関する問題が追加されています。
また、教習所で教習を受けられるのは、第二種大型運転免許まで。大型特殊自動車第二種免許、けん引第二種免許は教習メニューがなく、運転免許試験場での一発試験だけとなるそうです。
(古川教夫)
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