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■さらに車高を下げてスポーティなミニバンをアピールした3代目
2003(平成15)年10月17日、ホンダは人気の「オデッセイ」の3代目を発表、10月24日から発売されました。
1994年にデビューし、背の低い乗用車感覚のミニバンとして大ヒットした初代オデッセイ。3代目は、さらに車高を下げたスポーティなミニバンとなりました。
●車高の低いミニバンブーム旋風を起こした初代オデッセイ
1994年に誕生した初代オッデセイは、それまでの商用車ベースのミニバンとは異なり、乗用車をベースとして車高は低いが、3列シートの広い室内空間を確保した新世代ミニバンです。
乗用車のシャシーやエンジンを使い、車高を可能な限り低くし、3列シート前列/2列/3列で2/2/2人の6人乗りと2/3/2人の7人乗りを設定。後席ドアは、ミニバンの特徴であるスライド式ではなく、乗用車の感覚を大事にしてあえてヒンジ式が採用されました。
パワートレインは、2.2L SOHCエンジンと4速ATの組み合わせ、駆動方式はFFを標準に、デュアルポンプ式4WDの選択も可能でした。また、ボンネット内にエンジンを収めることによって、車高が低くても広々とした車室スペースが確保されたのです。
ミニバンの常識を覆した乗用車感覚の初代オデッセイは、1995年には販売台数12万台を超える空前の大ヒットを記録、新世代のミニバンブームを巻き起こしました。
●キープコンセプトでレベルアップした2代目
1999年に登場した2代目オデッセイは、基本コンセプトを継承しつつ、さらに使い勝手と快適性、走りを向上させました。
パワートレインは、2.3L直4 SOHCエンジンと4速ATの組み合わせを主力に、ハイグレード用に3.0L V6 SOHCエンジンと5速ATの組み合わせの2種があり、駆動方式は先代同様FFと4WDが選択可能でした。
2代目オデッセイは、剛性を向上させたボディやリファインした足回りなどによって、初代を凌ぐ軽快な走りとハンドリング性能を実現。また、室内空間についても、3列目は十分とは言えないまでも、実用上は問題のないレベルで、ファミリー層に歓迎されました。
初代オデッセイは、2代目デビューまでの約5年間で国内販売42万台を達成。2代目オデッセイも、デビュー直後にカローラを上回る販売台数を記録して、人気をさらに加速し、ミニバンブームをさらに堅固なものにしたのです。
●さらに車高を下げてパワーアップした3代目から、人気が徐々に減速
3代目オデッセイは、ミニバン・イノベーションをコンセプトに“速い、美しい、広い”を高次元に融合させる次世代ミニバンを目標に開発されました。具体的には、低い全高、低い重心の流麗なスタイリングと、低床化による高い室内高、優れた乗り心地とハンドリングが特徴でした。
パワートレインは、最高出力200PSを発揮する2.4L直4 DOHC i-VTECエンジンと、7速マニュアルモード付CVTおよび5速ATの組み合わせ、さらにDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)の採用によって、全域でトルクフルかつレスポンスに優れた走りも実現されました。
車両価格220万~282万円で販売された3代目も、当初はまずまずの販売を記録しましたが、後半には売れ行きに陰りが見え始めました。2010年を迎える頃には、あれほど人気があった全高を下げたミニバンの人気は徐々に減速し始めたのです。
●4代目、5代目もキープコンセプトで国内は一旦終了
2008年には、4代目へ移行。基本的には、キープコンセプトで従来の低車高・低重心のスポーティなスタイリングを継承し、先代のブラッシュアップが図られました。
エンジンの改良による燃費低減や走行性能の向上、オッデセイ初となる運転支援システムの採用などが特徴でした。しかし、2010年を迎える頃には、トヨタの2代目「ノア&ヴォクシー」や2代目「アルファード」といった両側スライドドアのボクシーなミニバンの人気が加速し、オデッセイにはさらに逆風となりました。
2013年には、人気復活を目指した5代目が登場。最大の特徴は、上記のミニバン市場の動向を反映して、4代目まで続いたオデッセイの(ヒンジドア+全高を下げた)ミニバンから、流行りの(両側スライドドア+全高を高めた)ミニバンへと方向転換したことです。
それでも、勢いを無くしたオデッセイの人気復活は難しく、2022年9月にいったん日本国内向けモデルは終了することになりました。
エスティマとともにミニバンブームの一翼を担ったオデッセイですが、低重心、走りの良さなどセダンに近いミニバンの国内需要は低下し、5代目でついに日本向けの販売は終了していました。
しかし、今冬に改良モデルが投入されるようです。巻き返しを狙うオデッセイに期待したいですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)