日産「サファリ」3代目デビュー。海外で人気の「パトロール」をサファリとして国内販売【今日は何の日?10月13日】

■新開発のエンジンを搭載し、乗用車イメージを強調したオフローダー

1997年にデビューした3代目。本格オフロードから都会的な雰囲気へ
1997年にデビューした3代目サファリ。本格オフロードから都会的な雰囲気へ

1997(平成9)年10月13日、日産自動車から3代目「サファリ」がデビューしました。

元祖「パトロール」の本格オフロード4WDの伝統を継承しながら、3代目パトロールから国内ではサファリ(初代)を名乗ってきました。

そのサファリの3代目は、国内のRVブームに合わせて乗用車的なイメージを盛り込んできたのです。


●パトロールは、警察予備隊用に開発された最強オフローダー

パトロールの3代目(1980年~)から5代目(1997年~)まで、国内ではサファリの名で販売されました。すなわち、3代目パトロールが、国内初代サファリとなります。

1951年に誕生した本格オフロード4WDの初代パトロール
1951年に誕生した本格オフロード4WDの初代パトロール

一方パトロールの起源は、1951年に自衛隊の前身である警察予備隊が使う制式車両の入札のため、各自動車メーカーが試作した小型4輪駆動車に遡ります。

制式車両に採用されたのは、中日本重工業(現在の三菱重工のルーツのひとつ)の「三菱ジープ」でしたが、そのとき試作競争に参加した日産とトヨタの試作モデルもありました。それらを量産化したのが、日産自動車では「パトロール」、トヨタでは「ランドクルーザー」だったのです。

パトロールは、4L直6エンジンを搭載した頑強なオフロード4WDで、当時としては最強のオフロード車でした。市販化されましたが、当時はレジャー用としての用途は少なく、農林業や建設土木業などの用途に限られました。

●国内用にスマートなオフローダーとなったサファリ

2代目を経て登場した3代目パトロールは、それまでの武骨でボクシーなスタイルから、スマートなオフローダーに一新され、車名も国内ではサファリと名乗りました。

1980年にデビューした初代サファリ(3代目パトロール)
1980年にデビューした初代サファリ(3代目パトロール)

ボディは、3ドアショートボディ・FRPハードトップ(乗用車登録)と、5ドアロングボディ・メタルトップ(貨物登録)の2タイプ。悪路走破性と耐久性を確保するため、車体はラダーフレーム+4輪リジット・リーフ式サスペンションの構成が踏襲されました。

パワートレインは3.2L直6ディーゼルエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はパートタイム4WDで163.0万~180.5万円で販売。ちなみに当時の大卒初任給は19.5万円(現在は約23万円)程度でした。

サファリは、トヨタ「ランドクルーザー」と三菱自動車「パジェロ」とともに人気を獲得、日本のみならず世界のSUV市場を席巻するヒットモデルとなったのです。

●国内用に乗用車イメージを強めるも、2007年に国内販売終了

1987年の2代目(Y60型)サファリを経て、10年振りのモデルチェンジで1997年に、3代目(Y61型)サファリがデビューしました。ボディは、先代同様2ドアのショートと4ドアのロングが用意され、ひと回り大きくなって都会的な雰囲気が特徴でした。

3代目サファリの乗用車感覚のインテリア
3代目サファリの乗用車感覚のインテリア

エンジンは、先代にも搭載されていた2.8L直6 OHCディーゼルターボと4.2L直6 OHVディーゼルターボに、排気量を拡大した4.5L直6 OHVガソリンNA(無過給)の3機種が用意され、トランスミッションは4速ATおよび5速MT、駆動方式はパートタイム4WDが踏襲されました。

3代目サファリ(5代目パトロール)は、海外では引き続き人気を獲得しましたが、国内販売は伸びず、2007年に国内販売を終了しました。

乗用車テイストを強めて264.8万~299.5万円(ショート)/330.8万~399.8万円(ロング)で販売されましたが、パジェロやランクルに比べて武骨さとも言える魅力があったのですが、功をそうすることなく販売に苦しんだのかもしれません。


サファリの国内販売は終わりましたが、パトロールは現在でも中東の富裕層に大変人気があり、北米でも「アルマーダ」や「インフィニティQX80」として活躍しています。国内よりも市場の大きな海外でもありますが、元来からサファリは本格オフローダーでありその血筋は衰えていないことが、今でも証明されているということでしょう。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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