トヨタ「クラウン」9代目の進化。全車3ナンバーボディとなり、上級に独立モデルの「マジェスタ」が設定【今日は何の日?10月11日】

■全車4ドアハードトップの3ナンバーボディに変貌

9代目クラウンの上級シリーズのクラウン・マジェスタ
9代目クラウンの上級シリーズのクラウン・マジェスタ

1991(平成3)年10月11日、トヨタの9代目「クラウン」がデビューしました。セダンとワゴンは8代目のマイナーチェンジで販売が継続されたため、9代目は4ドアハードトップのみの設定となり、同時に全車3ナンバーボディとなりました。

そして「ロイヤルシリーズ」と呼ばれる仕様に加えて、上級シリーズとして「マジェスタ」が設定されました。


●初代クラウン誕生とその後の軌跡

初代クラウン「トヨペットクラウン」は、1955年に完全オリジナルの純国産車として誕生。当時製造されていた車は、国産車と言っても名ばかりで、外国製部品と技術を使って組み立てるだけの車でしたが、トヨタのクラウンはすべての部品まで純国産として、乗用車として世界に通用する上質感と信頼性にこだわった歴史的に大きな意味を持った車でした。

1955年に誕生した初代クラウン(トヨペットクラウン)。日本初の純国産車
1955年に誕生した初代クラウン(トヨペットクラウン)。日本初の純国産車

2代目(1962年~)は、ヨーロピアンスタイルに変わり、国産乗用車初のV型8気筒エンジンを搭載した「クラウンエイト」がデビュー。3代目(1967年~)は、静粛性や乗り心地を改良し、公用車だけでなく高級自家用車を意識した車に、4代目(1971年~)は“クジラ”と呼ばれた個性的すぎるスタイルが不評で、3年の短命で終了しました。

1983年”いつかはクラウン”の 7代目クラウン
1983年”いつかはクラウン”の 7代目クラウン

5代目(1974年~)は、不評だった4代目の反省を受け、重厚さと安定感を強調したスタイルに回帰。6代目(1979年~)は、厳しい排出ガス規制をクリアしながら、クラウン初の直列6気筒ターボエンジン搭載。7代目(1983年~)は、機能を充実させて“いつかは、クラウン”という名キャッチコピーとともに、誰もに所有欲を誘う衝撃のデビューを飾りました。

バブル絶頂期に登場した8代目(1987年~)は、空前の贅沢装備と最新技術を採用し、最も販売台数を伸ばしたクラウンでした。

●3ナンバーのハードトップで新鮮さをアピール

モデルチェンジとなった1991年、セダン/ステーションワゴン/ライトバンは8代目のマイナーチェンジで継続販売されたため、9代目クラウンは4ドアハードトップの「ロイヤルシリーズ」と、その上級シリーズの「マジェスタ」の設定となりました。

クラウンロイヤルサルーンGの豪華なインテリア
クラウンロイヤルサルーンGの豪華なインテリア

同時に全車3ナンバーとなり、スタイリングはラウンディッシュな曲線基調で、先代に対して全長が縮小され全幅と全高は拡大。エンジンは、2.5L直6 DOHC&3.0L直 DOHC&2.4L直4ディーゼルターボの3種類と、4速/5速ATの組み合わせが用意されました。

足回りは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがセミトレーリングアーム式の4輪独輪懸架、上級グレードには4輪ABSやTRC(トラクションコントロール)、SRSエアバッグなど高級車らしい先進技術が装備され、車両価格は4ドアハードトップが280万~442万円、マジェスタは434万~598万円。ちなみに当時の大卒の初任給は、17.5万円(現在は約23万円)程度でした。

9代目クラウンは、3ナンバーボディの採用によって欧州の高級車に負けないレベルの高級車でしたが、バブル崩壊の影響を受けて当初の販売は苦しみました。

●欧州車に負けないワールドクラスのマジェスタを設定

9代目クラウンの上級シリーズのクラウン・マジェスタ
9代目クラウンの上級シリーズのクラウン・マジェスタ

クラウンには、先代からワイドボディのロイヤルサルーンが設定されていましたが、9代目で独立モデルとして登場した新シリーズのマジェスタは、その先代のワイド版クラウンを一新したモデルです。

最高出力260PS最大トルク36.0kgmを発揮する4.0L V8 DOHCエンジン
最高出力260PS最大トルク36.0kgmを発揮する4.0L V8 DOHCエンジン

マジェスタは、ロイヤルよりもホイールベースが100mm長く、50mmワイド、20mm車高が低く、欧州車に負けない堂々とした高級サルーンでした。特徴的なのは、ロイヤルが伝統的なフレーム構造を採用していましたが、マジェスタは軽量で強靭なモノコック構造のボディを採用、そのため大型化したにもかかわらず車重はロイヤルと同等でした。

マジェスタに搭載されたエンジンは、「セルシオ」と同じ最高出力260PS/最大トルク36.0kgmを発揮する4.0L V8 DOHCエンジン、そのほかは3.0L直6 DOHCを搭載し、ワールドクラスの走りと静粛性が楽しめました。


バブルの勢いで7代目と8代目クラウンが販売を伸ばした一方で、9代目はバブル崩壊の憂き目にあってしまいました。しかし、そこはクラウン、その後のマイナーチェンジで改良を加え、人気は回復しました。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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