トヨタ「マークII」4代目デビュー。高性能化と上質化でハイソカーブームの火付け役に【今日は何の日?10月1日】

■スポーティなピラードレスハードトップが特徴の高級セダン

マークII
マークII

1980(昭和55)年10日1日、トヨタから4代目「コロナマークII」が発売されました。

1980年にデビューした4代目マークII
1980年にデビューした4代目マークII

1968年に「コロナ」と「クラウン」の中間層をターゲットに誕生したコロナマークIIですが、徐々に高級化にシフトして、1980年代にはスポーティな高級車ブーム「ハイソカー」を牽引。

4代目マークIIは、そのブームの火付け役となったのです。


●コロナの最上級モデルとして誕生したコロナマークII

コロナの最上級モデルとして、フルモデルチェンジの代わりに1968年に誕生したのが、「コロナ」と「クラウン」の中間層をターゲットにしたコロナマークIIです。

1968年発売の初代マークII、クラウンのワンランク下のアッパーミドルモデル
1968年発売の初代マークII、クラウンのワンランク下のアッパーミドルモデル

基本的なスタイリングはコロナを継承しながらも、ボディを一回り大きくして広い室内空間を持つアッパーミドルの4ドアセダンと2ドアハードトップ、ワゴン、バンと、多彩なバリエーションを用意。それに合わせて、1.6L&1.9L直4 SOHCの2つのエンジンもグレードごとに細かい差別化が行われました。

1976年にデビューした3代目マークII 。ヨーロピアン風のスタイリング
1976年にデビューした3代目マークII 。ヨーロピアン風のスタイリング

着実にシェアを伸ばしたコロナマークIIは、1972年に登場した2代目で大型化・上質化を果たし、1976年の3代目は丸型ヘッドライトと独立したフロントグリルが特徴の、ヨーロピアンな雰囲気の高級セダンに変貌したのです。

●スポーティさも兼ね備えた高級セダンの誕生

4代目マークIIのゴージャスなモケットシート
4代目マークIIのゴージャスなモケットシート

大衆車から徐々に高級車へと舵を切っていったコロナマークII。4代目は、先代のダイナミックな曲線基調のスタイリングから、角型ヘッドライトを組み込んだ直線基調のスタイリングに変わりました。

また、主力はセダンからBピラーをもちつつ、ドアの窓枠のない“ピラードレスハードトップ”に変わり、以降ピラードレスハードトップはマークIIを特徴づけるアピールポイントになりました。当初の搭載エンジンは、1.8L&2.0L直4 SOHC、2.0L直4 DOHC、2.8L 直6 SOHC、2.2L直4ディーゼルと多彩でした。

1984年に登場した5代目マークII
1984年に登場した5代目マークII

その後、2.8L直6 SOHCを搭載した「2800グランデ」、そのターボ仕様の「2800グランデターボ」と強力パワートレインを追加。マークII初のターボエンジンを搭載したグランデターボは、走りでも大きな注目を集めました。

1988年に登場した6代目マークII
1988年に登場した6代目マークII

日本人の上流意識を満足させる高性能アッパーミドルとなった4代目マークIIは、スタイリッシュなピラードレスハードトップとゴージャスな内装が、若者から中年層まで広くのファンを獲得、魅了し、ヒットモデルになりました。

本格的なハイソカーブームを牽引したのは、その後のバブル期に登場した5代目と6代目ですが、4代目こそがハイソカーの下地を作った、火付け役であったことは間違いありません。

●バブル景気とともに誕生したハイソカー

ハイソカーのハイソとは“High Society”の略で、直訳すると上流社会、つまりハイソカーとは上流階級のための車ということになります。しかし、単なる高級車ではなく、1980年代のバブル景気の後押しで誕生したカテゴリーで、若年層からも人気を獲得したスポーティで高級感のあるアッパーミドルセダン、を指すことになっていきます。

1988年に誕生した日産の初代シーマ
1988年に誕生した日産の初代シーマ

ハイソカーに明確な条件があるわけではありませんが、基本的には5ナンバーボディに豪華な内装、ツインカムやターボを装備した高性能エンジンの搭載、特に白いボディカラーとワインレッドの内装色、ピラーレスハードトップ、デジタルメーターなどがハイソカーを印象付けるアイテムでした。

代表的なハイソカーは、「チェイサー」と「クレスタ」を含めたマークII 3兄弟、2代目「ソアラ(Z30型)」、日産自動車では初代「シーマ(FY32型)」、2代目「レパード(F31型)」、6代目「ローレル(C33型)」などです。


ハイソカーは、30年以上も前の流行語で今や死語になった和製英語ですが、当時は自動車メーカーも潤沢な資金を背景に、高性能や高機能、できる限りの贅を尽くした車を作っていました。競うようにハイソカーが出現したことが、結果として自動車技術の発展に貢献したことは確かです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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