日産「GT-R NISMO」ニュルブルクリンクで量産車の世界最速ラップタイムを記録。翌2014年に1501.5万円で販売【今日は何の日?9月30日】

■NISMOチューニングのGT-Rが世界最速を記録

2013年にニュルブルクリンクで量産車最速を記録したGT-R NISMO
2013年にニュルブルクリンクで量産車最速を記録したGT-R NISMO

2013(平成25)年9月30日、日産自動車はNISMOチューニングの超ハイスペックモデル「GT-R NISMO」で、ニュルブルクリンク北コースでタイムアタックを実施しました。4人ドライバーのトリを飾ったミハエル・クルム選手が、量産車最速記録の7分8秒679を叩き出したのです。


●NISMOが手掛けるチューンナップコンプリートカー

NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は、1984年に日産のワークスチームのひとつであった「大森ワークス」を子会社化して設立。日産のワークスチームとして、国内外のモータースポーツに参戦し、数々のタイトルを獲得しました。

最速記録を叩き出したドライバーのミハエル・クルム
最速記録を叩き出したドライバーのミハエル・クルムさん

一方で、そのレースで培った技術とノウハウを生かして、市販用のチューニングパーツとともに、市販車をチューンアップしたコンプリートカーを、日産のNISMOシリーズとして販売。NISMOシリーズは、2013年の「ジュークNISMO」に始まり、その後「マーチNISMO」「ノートNISMO」「フェアレディZ NISMO」と様々な車種に展開されていきます。そして「GT-R NISMO」は第5弾として登場しました。

●ハイスペックモデルGT-R NISMOの性能

量産車世界最速となったGT-R NISMOは、日産が誇るモンスターマシンGT-Rに、NISMOのノウハウを注入した超ハイスペックモデルです。

GT-R NISMO搭載VR38DETT(3.8L V6ツインターボ)エンジン
GT-R NISMO搭載VR38DETT(3.8L V6ツインターボ)エンジン

エクステリアについては、フロントにカーボンバンパーとアンダーカバーのエアストレーキ、リアにはカーボンスポイラーを装着して、これらによって優れた空力性能を達成。インテリアには、人間工学に基づいたレカロ製専用シートが装備されました。

サスペンションは、路面に吸い付くようなグリップや正確なステアリング応答性を実現するため、専用のスプリングとビルシュタインダンプトロニックダンパーを採用し、走行中に3パターンのサスペンションモードが選択可能でした。

搭載された3.8L V6ツインターボエンジン(VR38DETT)には、高効率大容量タービンや気筒ごとの点火時期制御などを盛り込み、最高出力600PS/最大トルク66.5kgmを発揮しました。

GT-R NISMOは、車両価格1501.5万円で翌2014年に市販化され、欧米でも販売されました。ちなみに2013モデルGT-R(ピュアエディション)の価格は875.7万円です。

●さらに進化したGT-R NISMO

GT-R NISMO 2017年モデル
GT-R NISMO 2017年モデル

その後もGT-R NISMOは進化し続けています。

2017年モデルは、外観を変更して車両価格1870万円で2016年に登場。主要な変更点は、強度を高めたカーボンファイバーを幾層にも重ねたフロントバンパー、ナビディスプレイを7インチから8インチに拡大、パドルシフトはステアリングホイール固定タイプに変更したことです。

GT-R NISMO 2020年モデル
GT-R NISMO 2020年モデル

2019年には、車両価格を2420万円にアップした2020年モデルが登場しました。

最大の特徴は、車両重心から遠いルーフ、エンジンフード、フロントフェンダー、バンパー、トランクリッドにカーボン素材を使用し、約10.5kgの軽量化を果たし、コーナリング性能を向上させたことです。

エンジンは、GT3レーシングカーで採用されている新型ターボを採用、同じ出力でレスポンスを約20%改善し、これに合わせて大型ブレーキローターが採用されました。


昨年来(2022年)、車外騒音規制が障壁となり、GT-R存続そのものが危ぶまれていましたが、課題がクリアされてGT-R NISMOの2024年モデルがデビューすることになりました。ピュアエンジンモデルの最高峰GT-R NISMO、一日でも長く生き延びて欲しいですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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