■「全車速車間クルーズ」「レーンキープアシスト」もオプション設定
日産自動車の初代アトラスは、1982年に自社開発・自社生産の中型トラックとしてデビューしました。
日本の自動車メーカーの多くは、商用車の開発・生産から乗用車へと移行している例が多くなっています。第二次世界大戦では軍需を担い、必然的にトラックなどの商用車が多くなります。
現在の日本の大手自動車メーカーは商用部門を切り離したり、トラックなどをOEMに切り換えたりしています。トラックだけでなく、小型のバンなども企画、生産を担うメーカーが収斂されつつあります。
日産の現行アトラスも、いすゞ・エルフのOEM版。2023年9月25日、アトラスがフルモデルチェンジを受け、2.0tクラス(最大積載量2t〜4.6t)の2WD車を2023年10月27日に発売すると発表しました。なお、ほかのラインナップについても順次導入される予定です。
日産アトラスは、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」「ビークルダイナミクスコントロール(VDC)」「車線逸脱警報(LDW)」などの先進安全装備や技術が全車に標準化されるなど、安全性や燃費性能の高さなどが支持されているそうです。
今回の全面改良では、躍動感のあるフロントマスクに一新されるなど、エクステリアを刷新。先進技術や運転支援技術のさらなる強化、充実化が盛り込まれています。
キャビンのエクステリアと構造が一新されるとともに、乗降性や居住性も向上。また、ヘッドランプに可変配光型LEDヘッドランプが標準化され、特徴的なシグネチャーランプが目を惹きます。
そのほか、ウインカーや灯火器類もあわせてLED化され、夜間の視認性の向上に寄与するとともに、ランプの長寿命化も盛り込まれています。また、ボディカラーにカスタムグレード専用色で、上級感のある「ダークカーキメタリック」が新たに設定され、5色の中から選択できます。
内装には、キャビンに合わせた新設計のインパネが用意され、目的別にスイッチの配置が整理されるなど、従来型以上にわかりやすく使いやすいレイアウトを実現しています。新たに搭載された運転支援機能の操作スイッチ、操作頻度の高いスイッチ類がステアリングに配置され、インパネスイッチは、操作性向上のため配置が最適化されています。
また、シートやペダル位置、ステアリングホイールの径、角度、調整幅が見直され、ドライビングポジションが最適化され、様々な体格のドライバーに対応。また、車両前面の視界を向上させるとともに、室内空間の前方、側方の圧迫感を軽減。さらに、オートエアコンを採用し、快適性の向上とともに省電力化も実現しています。
安全装備では、交差点での右左折時に、衝突が避けられない際にブレーキ操作を行う「プリクラッシュブレーキ(PCB)」が、日産車で初めて全車に標準装備されています。さらに「全車速車間クルーズ(FACC)」「レーンキープアシスト(LKA)」を日産の商用車として初めてオプション設定されています。
加えて、専用カメラでドライバーの状態を検知する「ドライバーステータスモニター(DSM)」、異常時に車両の制御から停止まで担う「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」をオプション設定とすることで、重大事故発生の抑制に効果を発揮するはずです。
また、3.0L直列4気筒ディーゼルエンジンに組み合わされるトランスミッションには、9段デュアルクラッチトランスミッションが新規に設定されています。ドライバーの操作に対し、トルク抜けがなく、適切な駆動力が得られるため、スムーズな変速と高い燃費性能に寄与。ATモードでは、勾配判定と走行低減演算が加わり、より最適なギヤが自動判定されます。
トラックに求められる荷台の耐久性向上も図られています。平ボディ完成車の荷台は、品質向上と軽量化のため、床・アオリの合板材質がゴムノキ合板から竹合板に変更。雨水の吸水乾燥による劣化、雨水浸透による接着剤の劣化を抑えることができるなど、高い劣化耐久性を維持できるそうです。
また、市場での二次架装性が考慮され、ダンプ完成車のアオリ高が変更され、二次架装を行っても土砂ダンプとして成立しやすくなったのも朗報です。
●価格:601万7000円(5MT)、623万1500円(9DCT)
(塚田 勝弘)