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■日本グランプリでの活躍にも期待
世界最高峰2輪レース「MotoGP(FIMロードレース世界選手権)」の最高峰クラスに、日本人で唯一参戦している中上貴晶選手が、2024年シーズンもホンダのサテライトチーム「LCR Honda IDEMITSU(エルシーアール・ホンダ・イデミツ)」から継続参戦することが決定しました。
MotoGPといえば、欧州をはじめとする各国から一流ライダーと有名2輪メーカーが参戦し、その速さを競う2輪最高峰のロードレース。そのクラスに2018年から参戦している中上選手は、2024年シーズンで7年目。現在、日本人唯一のMotoGPライダーとして活躍中です。
2023年10月1日には、MotoGPの日本グランプリ決勝がモビリティリゾートもてぎ(栃木県)で開催されます。
2024年シーズンも最高峰クラスへの参戦が決まった中上選手には、ぜひ日本のファンに素晴らしい走りを披露してもらいたいものです。
●苦戦するホンダ勢の中で安定した走りを披露
MotoGP2023年シーズンのホンダ勢は、ワークスマシン「RC213V」の戦闘力不足が指摘されており、かなり苦戦を強いられているといえます。
特に、ワークスチーム「レプソルホンダ(Repsol Honda Team)」のエース「マルク・マルケス」選手はリタイヤするレースも多数。
また、スズキのワークスチームから移籍した同じレプソルホンダの「ジョアン・ミル」選手も同様で、ケガによる欠場やリタイヤするレースが続きます。
加えて、中上選手のチームメイトであるLCRホンダの「アレックス・リンス」選手は、第3戦アメリカズGPで優勝したものの、その後に大きなケガを負って現在は欠場中。しかも、2024年シーズンはヤマハワークスへ移籍することも決まっており、ホンダにとっては、なかなか結果が出せないだけでなく、あまりいい話が出ない状況が続いています。
そんな中、中上選手は、なかなか上位にこそ入れないものの、ほとんどのレースで完走し、ホンダ勢でトップでフィニッシュする大会も数多いことで、安定した走りをみせているといえます。
おそらく、今回の契約更新は、そんな中上選手の奮闘や、6度のMotoGP王者に輝くマルケス選手でさえ思うように走れないマシンを駆り、なんとか完走している実力や経験が評価されたのでしょうね。
中上選手は、サテライトチーム所属ながら、最近はホンダが開発中のニューパーツをテストする機会も多いようですから、ホンダ側にとっても、かなり頼れる存在であるのかもしれません。
●母国グランプリの意気込みは?
中上選手のプロフィールを簡単に紹介しておきましょう。
出身は千葉県で、1992年2月9日生まれの31歳。ロードレース世界選手権では、MotoGPの下位クラス「Moto2」に2012年に初参戦。2014年からは、ホンダが進めている世界で活躍するアジア人ライダーを育成するプロジェクトの一環として、「IDEMITSU Honda Team Asia(イデミツ・ホンダ・チーム・アジア)」に加入します。
2018年にLCR Honda IDEMITSUへ所属し、最高峰クラスMotoGPへ昇格。2021年アラゴンGPでは、日本人ライダーとして最多のグランプリ通算200戦出走を達成しており、前述の通り、現在も日本人唯一のMotoGPライダーとして活躍中です。
なお、現在のポイントランキングは17位(2023年9月10日 第12戦サンマリノGP終了時点)。低迷を続けるホンダ勢の中では、15位のリンス選手に次ぐ順位で、ワークスのレプソルホンダに所属する19位のマルケス選手、26位のミル選手よりも上のポジションにつけています。
中上選手は、今回の契約更新について、
「ここまで大変厳しい状況が続いており、納得がいく結果を残せておらず、応援いただいているファンの皆様に申し訳ない限りでしたが、この(契約更新の)報告を皆様にできたことは、自分自身にとってもうれしい限りです」とコメント。
また、「来週(2023年9月29日~10月1日)は日本グランプリが開催されますので、ファンの皆様のご声援をエネルギーに変え全力で挑みたいと思います。少しでも上位でフィニッシュし、それをきっかけに、来シーズンにつなげられたらと思っています」と、母国グランプリでの意気込みを語っています。
ともあれ、日本人で唯一のMotoGPライダーである中上選手が、日本グランプリはもちろん、2024年シーズンもさらに活躍し、ぜひ表彰台中央へ日の丸の旗を掲げてもらいたいものです。
(文:平塚 直樹)