第6戦SUGO300km、優勝は埼玉トヨペットGB GR Supra GT。トップチェッカーのUPGARAGE NSX GT3は再車検で失格【スーパーGT 2023 GT300】

■大接戦の序盤、中盤

9月16日(土)、17日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催された2023 AUTOBACS SUPER GT第6戦「SUGO GT 300km RACE」。17日(日)には決勝レースが行われました。

スタートラップの様子
スタートラップの様子

午後1時30分より、宮城県警察の白バイとパトカーの先導による交通安全啓発のパレードからフォーメーションラップ、そして84周の決勝のスタートが切られました。

朝から空には雲がかかっており、多少の小雨が降ってきてはいましたが、路面を明らかに濡らしていくほどではなくドライコンディションは保たれ、スリックタイヤによるレースとなりました。

序盤のバトル
序盤のバトル

ところで16日(土)午前の公式練習でクラッシュし、公式予選を走れなかった31号車 apr LC500h GTと48号車 植毛ケーズフロンティア GT-Rですが、チームの必死の修復により決勝グリッドの最後尾からスタートしています。

序盤のバトル
序盤のバトル

レースはポールポジションの96号車 K-tunes RC F GT3がホールショット。20号車 シェイドレーシング GR86 GTが続き、少し間を開けて61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTと52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTと、序盤は順位変動はないものの、それぞれが激しいバトルを展開します。

SUBARU BRZ R&D SPORTに襲いかかる埼玉トヨペットGB GR Supra GT
SUBARU BRZ R&D SPORTに襲いかかる埼玉トヨペットGB GR Supra GT

GT500クラスでの21周目、6号車 DOBOT Audi R8 LMSが、第3コーナーで4番手だった埼玉トヨペットGB GR Supra GTを追い抜き、その勢いで61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTをも抜こうとしますが、これは失敗。

再び埼玉トヨペットGB GR Supra GTに抜かれ、その後から来た56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rにも抜かれて6位まで順位を下げてしまいます。

そのリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rは、GT500での22周目の第1コーナーで、SUBARU BRZ R&D SPORTと埼玉トヨペットGB GR Supra GTに仕掛けていきます。埼玉トヨペットGB GR Supra GTは大外から、リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rはインから、挟み撃ちでSUBARU BRZ R&D SPORTを抜いていきます。

序盤のバトル
序盤のバトル

後方でそんな3位争いが展開されていく中、22周目にはシェイドレーシング GR86 GTがK-tunes RC F GT3を抜き、スーパーGT参戦2年目にして初めてトップに躍り出てきます。

SUBARU BRZ R&D SPORTのピットの様子
SUBARU BRZ R&D SPORTのピットの様子

そんな激しいバトルの上位陣の中、GT500での27周目と言う早い段階で、埼玉トヨペットGB GR Supra GTがピットイン。タイヤ交換とドライバー交代を行います。タイヤ交換はリアタイヤのみとしてピット作業時間を短縮してコースに復帰します。その直後からGT300のライバルたちもピットインをしていきます。

リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rのピットの様子
リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rのピットの様子

リアライズ日産メカニックチャレンジGT-RはGT500の39周目にピットインをしようとしますが、そこにGT500マシンがイン側に飛び込んできます。さらに後続のGT500の100号車STANLEY NSX-GTがやって来てリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rは接触してしまいます。

STANLEY NSX-GTはスピンし、アウト側のガードレースに激突。ここでレースは赤旗中断となってしまいます。


●トップがガス欠? ラスト30mほどでトップが入れ代るも再車検で大どんでん返し

レースは15時20分にセーフティカー(SC)先導で再開。SC解除後にピットインしていくチームもあり、一見順位が分かりにくい状態でしたが、実はトップに立っていたのは早めのピット作業をスピーディーに行った埼玉トヨペットGB GR Supra GT。2番手は18号車 UPGARAGE NSX GT3。

埼玉トヨペットGB GR Supra GT
埼玉トヨペットGB GR Supra GT

その後方では、8台が3位争いを展開する混沌の状況で、その混沌から抜け出したシェイドレーシング GR86 GTが3番手、以後DOBOT Audi R8 LMS、SUBARU BRZ R&D SPORTと続きます。

スローダウンした埼玉トヨペットGB GR Supra GTを追い抜くUPGARAGE NSX GT3
スローダウンした埼玉トヨペットGB GR Supra GTを追い抜くUPGARAGE NSX GT3
スローダウンした埼玉トヨペットGB GR Supra GTを追い抜くUPGARAGE NSX GT3
スローダウンした埼玉トヨペットGB GR Supra GTを追い抜くUPGARAGE NSX GT3

トップを行く埼玉トヨペットGB GR Supra GTは追いかけるUPGARAGE NSX GT3に3秒ほどのアドヴァンテージを持って走り、そしてトップのままファイナルラップの最終コーナーを立ち上がります。

ダンロップブリッヂをくぐり抜けフィニッシュラインまで数十mといったところで、埼玉トヨペットGB GR Supra GTは突如スローダウン。その横をUPGARAGE NSX GT3が通りぬけ、先にフィニッシュラインを超えることとなります。

UPGARAGE NSX GT3
UPGARAGE NSX GT3

これでUPGARAGE NSX GT3はドラマチックな2連勝達成か!と思いきや、レース後の再車検でUPGARAGE NSX GT3は最低地上高の違反と判定され、ペナルティとして失格になってしまいました。

埼玉トヨペットGB GR Supra GT
埼玉トヨペットGB GR Supra GT

この結果、No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが、天国から地獄、再び天国へ♪と、大どんでん返しで今シーズンの初優勝となり、ドライバーランキングでもUPGARAGE NSX GT3の小林崇志選手、小出峻選手組を抜いてトップとなりました。

2位となった20号車 シェイドレーシング GR86 GTは、チームにとって初めてのSUPER GTでの表彰台となります。

シェイドレーシング GR86 GT
シェイドレーシング GR86 GT

ドライバーズランキングの3位は7号車 Studie BMW M4の荒聖治選手となります。

DOBOT Audi R8 LMS
DOBOT Audi R8 LMS

次戦オートポリスではサクセスウエイトがポイント×1.5となり、軽くなったことでそれぞれのマシンの強みが如実に表れることとなるでしょう。それによってチャンピオン争いも激しくなり、目が離せない一戦となることは間違いありません。

●スーパーGT2023第5戦 鈴鹿 GT300決勝結果

順位 ゼッケン 車名 ドライバー 周回数
1 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田 広樹、川合 孝汰 79
2 20 シェイドレーシング GR86 GT 平中 克幸、清水 英志郎 78
3 6 DOBOT Audi R8 LMS 片山 義章、R.メリ・ムンタン、神 晴也 78
4 61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人、山内 英輝 78
5 4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口 信輝、片岡 龍也 78
6 55 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥、篠原 拓朗 78
7 50 ANEST IWATA Racing RC F GT3 I.オオムラ・フラガ、古谷 悠河 78
8 96 K-tunes RC F GT3 新田 守男、高木 真一 78
9 10 PONOS GAINER GT-R 安田 裕信、大草 りき 78
10 56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R J.P.デ・オリベイラ、名取 鉄平 78
11 31 apr LC500h GT 嵯峨 宏紀、小高 一斗 77
12 11 GAINER TANAX GT-R 富田 竜一郎、石川 京侍 77
13 7 Studie BMW M4 荒 聖治、ブルーノ・スペングラー  77
14 88 JLOC ランボルギーニ GT3 小暮 卓史、元嶋 佑弥 77
15 360 RUNUP RIVAUX GT-R 青木 孝行、大滝 拓也 77
16 22 アールキューズ AMG GT3 和田 久、城内 政樹  77
17 9 PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG 阪口 良平、リアン・ジャトン 77
18 27 Yogibo NSX GT3 岩澤 優吾、伊東 黎明 77
19 87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 松浦 孝亮、坂口 夏月 77
20 48 植毛ケーズフロンティア GT-R 井田 太陽、田中 優暉 76
21 60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 吉本 大樹、河野 駿佑 76
22 5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 冨林 勇佑、松井 孝允 71
R 30 apr GR86 GT 永井 宏明、織戸 学 54
R 2 muta Racing GR86 GT 堤 優威、平良 響、加藤 寛規 10
R 18 UPGARAGE NSX GT3 小林 崇志、小出 峻 失格

(文:松永 和浩 /写真:吉見 幸夫)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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