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■ピット作業の早さでトップになったASTEMO NSX-GT
9月16日(土)、17日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催の2023 AUTOBACS SUPER GT第6戦「SUGO GT 300km RACE」。17日(日)には決勝レースが行われました。
午後1時30分より、宮城県警察の白バイとパトカーの先導による交通安全啓発のパレードからフォーメーションラップ、そして84周の決勝のスタートが切られました。
朝から空には雲がかかっており、多少の小雨が降ってきてはいましたが、路面を明らかに濡らしていくほどではなくドライコンディションは保たれ、スリックタイヤによるレースとなりました。
ポールポジションの8号車 ARTA MUGEN NSX-GTは順調にホールショット。勢いに乗りながらリードを広げ、30周までに2番手の23号車 MOTUL AUTECH Zに10秒ほどのアドヴァンテージを確保しながら32周目にピットイン。ドライバーは野尻智紀選手から大湯都史樹選手に交代します。
予選3番手の17号車 Astemo NSX-GTは、順位を守りながら33周目にピットイン。この時のピット作業が32.7秒!というとんでもない早さでマシンを送り出し、8号車 ARTA MUGEN NSX-GTの前でコースに復帰。実質のトップでコースに戻ることに成功しました。
2位となってしまった8号車 ARTA MUGEN NSX-GTはAstemo NSX-GTを追いかけますが、36周目に1コーナーでGT300の96号車 K-tunes RC F GT3と接触。これにより、差を広げられてしまうことになります。
38周目に入ったところで、100号車 STANLEY NSX-GTが、ピットロード進入路の入り口でGT300の56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rと接触。STANLEY NSX-GTはスピンからアウト側のガードレールにクラッシュを喫してしまいます。
ドライブしていた山本尚貴選手はドクターヘリで病院へ運ばれますが、意識ははっきりしているとのことで、骨折等の大きな外傷も無く17日の夜には退院したとのこと。ただし、9月19日(火)に発行されたTEAM KUNIMITSUのチームリリースでは、大事をとって別の病院で精密検査を受けるため入院をしたとのことです。
このアクシデントにより、39周目からセーフティカーが導入され、また、ドライバーの救護とコース施設の修復のため、40周目には赤旗が提示されてレースは一時中断となりました。
●逆転トップから再度抜かれた8号車。しかし再車検で優勝を手にする
レースは午後3時20分にセーフティカー(SC)の先導で走行が再開し、44周目にSC解除。45周目からレース再開となります。
上位は17号車、8号車、23号車の3台によるトップ争いで、それもアドヴァンテージが完全になくなった状態からの再開のため、かなり激しい接近戦が展開されました。
52周目の1コーナーでついに8号車 ARTA MUGEN NSX-GTはAstemo NSX-GTのインから抜いていきます。さらにこの周では、まだピットに入っていないためにトップとなっていた39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraがピット入り、8号車 ARTA MUGEN NSX-GTは再び完全なトップとなります。
ここまでピットインを引っ張ったDENSO KOBELCO SARD GR Supraは4番手でコースに復帰します。
トップを奪い返した8号車 ARTA MUGEN NSX-GTはAstemo NSX-GTに対して60周目までに3秒以上の差を広げて行きます。しかし61周目に入ると、Astemo NSX-GTが追い上げていき、64周目までにはその差は0.3秒にまで縮まります。
そこから激しく追い上げるAstemo NSX-GTに対して、8号車 ARTA MUGEN NSX-GTの防戦が続きますが、76周終わりのホームストレートで、ついにAstemo NSX-GTは8号車 ARTA MUGEN NSX-GTを抜いてトップに立ちます。
そのままAstemo NSX-GTは8号車 ARTA MUGEN NSX-GTに対して差を広げて行き、トップでチェッカーを受け表彰台のトップに立ちます。その後ろでは8号車 ARTA MUGEN NSX-GTが3番手の23号車 MOTUL AUTECH Zを必死に抑えて2番手でチェッカーを受けることになります。
●Astemo NSX-GTは再車検で規定違反が判明、失格
しかしAstemo NSX-GTは、その後の再車検でスキッドブロックの規定違反が判明。これはスキッドブロックが走行中に削れ過ぎて既定の厚さに満たないことが違反となるもので、前戦鈴鹿の2位チェッカーから失格となったMOTUL AUTECH Zと同じペナルティとして、Astemo NSX-GTは失格となってしまいました。
これで優勝は8号車 ARTA MUGEN NSX-GTとなりました。大湯選手は初優勝! 前日の初ポールポジション獲得に続き、初優勝もSUGOで手に入れることになりました。
また、ARTAは前戦鈴鹿では16号車が勝ち、今回は8号車が勝利と連勝を飾ります。2位は23号車 MOTUL AUTECH Z。3位は39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraとなります。
この結果、ドライバーランキングは今回9位とポイントを重ねた3号車 Niterra MOTUL Zの千代勝正選手、高星明誠選手組がトップをキープ。ランキング2位の36号車 au TOM’S GR Supraが7位でポイント獲得のため坪井翔選手、宮田莉朋選手組との差はわずか2ポイントにまで縮まります。
また、2位となったMOTUL AUTECH Zの松田次生選手、ロニー・クインタレッリ選手組もランキング3位に浮上。
次戦のオートポリスではNiterra MOTUL Zは燃料リストラクター制限にサクセスウェイト1kg、それ以外のチームは純粋にサクセスウェイトのみということになるため、どちらが有利なのかというところもポイントになりそう。
チャンピオン争いが激化しそうな残り2戦は、絶対に目が離せません。
●スーパーGT2023第6戦 SUGO GT500決勝 正式結果
順位 ゼッケン 車名 ドライバー ラップ
1 8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀、大湯 都史樹 84
2 23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生、ロニー・クインタレッリ 84
3 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛、中山 雄一 84
4 1 MARELLI IMPUL Z 平峰 一貴、ベルトラン・バゲット 84
5 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹、平手 晃平 84
6 14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也、山下 健太 83
7 36 au TOM’S GR Supra TOYOTA GR Supra GT500 坪井 翔、宮田 莉朋 83
8 19 WedsSport ADVAN GR Supra 国本 雄資、阪口 晴南 83
9 3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正、高星 明誠 83
10 37 Deloitte TOM’S GR Supra 笹原 右京、ジュリアーノ・アレジ 83
11 64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也、太田 格之進 83
12 16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺、大津 弘樹 82
リタイア 100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴、牧野 任祐 36
リタイア 38 ZENT CERUMO GR Supra 立川 祐路、石浦 宏明 35
17 Astemo NSX-GT 塚越 広大、松下 信治 失格
(文:松永 和浩 /写真:吉見 幸夫)