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■クラシカルなアメ車風から、スタイリッシュなヨーロピアン風に大変身
1962(昭和37)年9月21日、トヨタの「トヨペットクラウン」が初めてのモデルチェンジを行い、2代目が発表されました。
1955年に誕生した初代クラウンは、日本初の純国産乗用車として日本の自動車の発展に重要な役目を果しました。2代目は、初代より大きく、かつスタイリッシュな高級車に変貌したのです。
●日本初の純国産乗用車・トヨペットクラウン誕生
1955年1月7日、完全オリジナルの純国産車の初代クラウン「トヨペットクラウン」が誕生しました。当時は、国産車といっても名ばかりで、GMやフォードの部品と技術を使って組み立てるだけの車でした。そこへ完全オリジナルの純国産車として登場したクラウンは、日本の自動車発展の礎となった歴史的にも重要な役目を果たした車です。
世界レベルを目指したトヨペットクラウンには、乗用車専用シャシーにX型フレーム、日本の道路事情に合わせてフロントサスペンションにはダブルウィッシュボーン/コイルスプリング独立懸架、リアは改良型リジッドリーフ式を採用するなど、多くの新しい技術が投入されました。
丸みを帯びたクラシカルなアメ車風スタイリングに、ドアは後席の乗降性を向上させるために観音開きを採用。パワートレインは、1.5L直4 OHVエンジンと3速MTの組み合わせ、駆動方式はFRでした。
車の出来栄えは、当時の外国部品で組み立てた車よりも優れていたので、まだ一般庶民には手の届かない高級車でしたが、大きな注目を集めました。
●高性能と高級感に磨きをかけた2代目
1962年、トヨペットクラウンは初めてのモデルチェンジによって2代目に移行。ボディが拡大されるとともに、スタイリングとインテリアとも大幅に変更され、ワゴンの他に高性能モデルや豪華モデルも追加されるなど、豊かなバリエーションも特徴のひとつでした。
スタイリングは、丸みを帯びた初代から一転、直線基調のヨーロピアン風のスタイリッシュなフォルムとし、それに合わせて初代の特徴でもあった観音開きのドアを廃止し、一般的なヒンジ式に変更。パワートレインは、1.9L直4 OHVエンジンと3速MTおよび2速ATの組み合わせ、駆動方式は先代と同じFRです。
初代は、タクシーや公務車が中心でしたが、2代目は標準グレードが83万円、デラックスが105万円で販売され、一般ユーザーにも徐々に浸透し、人気高級車として歩み始めました。
ちなみに当時の大卒の初任給は、1.7万円(現在は約23万円)程度、単純計算では現在の価値で標準グレードでも約1100万円に相当します。
●国産初のV型8気筒を搭載したクラウンエイトも登場
ライバルの日産自動車は、1963年に最上級モデル「セドリック」に2.8L直6エンジンを搭載し、大排気量エンジンによる高性能化と高級化を進めました。
セドリックに対抗するために、トヨタは2代目「クラウン」をベースに、全長を110mm、全幅を10mm拡大した最高級乗用車「クラウンエイト」を1964年に投入。注目は、最高出力115PS/最大トルク20kgmを発生する、排気量2.6Lの国内乗用車初のV型8気筒エンジンです。
クラウンエイトはその後のセンチュリー誕生の礎となるのです。
さらに標準装備のパワーウインドウ、夜間に対向車のヘッドライトを感知して自動的にON/OFFするヘッドライト、自動的にドアをロックするマグネットドアロック、熱線吸収ガラス、オプション設定でオートドライブ、パワーシートなど、59年も前の車とは思えない装備の充実ぶりも目を引きました。
車両価格は最高級車に相応しい165万円、これは1966年にデビューした「カローラ」の43.2万円の4倍近い設定です。
誕生以来68年、16代続く日本を代表する高級セダンのクラウンですが、実質的には大衆を意識して大型化・高級化した2代目から始まったと言えるかもしれません。
日本を代表する高級車として君臨し続けているクラウンですが、若返りを狙って最新型では大胆なイメージチェンジを図ってクロスオーバー、スポーツ、エステート、そしてセダンなどバリエーション多彩な車種展開となります。その中でこの秋に発売が予定されているのがセダン、「いつかはクラウン」と憧れの車だったセダンの復活なるか、期待がかかりますね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)