スーパーGT第6戦SUGO300kmでK-tunes RC F GT3の高木選手がGT300のポール最多記録に再び並ぶ【スーパーGT 2023 GT300】

■天候が運命を決めた予選Q1

9月16日(土)、17日(日)に宮城県の鈴スポーツランドSUGOで開催の2023 AUTOBACS SUPER GT第6戦「SUGO GT 300km RACE」。9月16日には公式予選が行われました。

K-tunes RC F GT3
K-tunes RC F GT3

予選日となる16日土曜日の天候は朝方まで雨が残り、午前中に行われた公式練習走行(フリー走行)でもウェットな路面が残っていました。そんなフリー走行でマシンを仕上げ午後の予選に繋げたいと思うのはすべてのチームが思うことです。しかしフリー走行の中でGT300クラスの48号車 植毛ケーズフロンティア GT-Rがヘアピンから続くS字コーナーの出口でタイヤバリアに激突、フリー走行は赤旗中断となってしまいます。

植毛ケーズフロンティア GT-R
植毛ケーズフロンティア GT-R

フリー走行はGT300クラスの占有走行から再開されますが、この中で31号車 apr LC500h GTがSPコーナーでフロント、そしてリアの大半を失う大クラッシュを喫してしまいます。

apr LC500h GT
apr LC500h GT

この2台のマシンは懸命な修復をしていきますが予選には間に合わず、未出走のまま予選が行われることとなりました。

apr LC500h GT
apr LC500h GT

14時40分に始まった予選Q1のA組の走行。この予選の直前に雨が降り出します。A組の予選はウェット宣言がなされ、出走マシンはレインタイヤを履いての走行となります。なおA組は本来13台が出走予定でしたが、クラッシュの2台がA組からの出走予定であったため11台での走行となります。

LEON PYRAMID AMG
LEON PYRAMID AMG

雨は走行が始まると3分もかからずに上がってしまい、レインタイヤを装着したマシンにとっては路面が乾いてくるとタイムが落ちてしまうことになります。そこでコースインから2周目でタイムアタックをした65号車 LEON PYRAMID AMGが1分25秒565というタイムを記録。次第に路面が乾いてくる状況で、ライバルはこのタイムを上回ることができずに走行時間が終了しLEON PYRAMID AMGがトップタイムでQ2に進出します。

muta Racing GR86 GT
muta Racing GR86 GT

そして予選Q1のB組の走行が14時58分に始まります。この走行が始まるころには陽が差してきており、路面が乾いてくる速度も一気に早くなってきます。そこでレインタイヤでコースインしたマシンはすぐさまピットイン、スリックタイヤに履き替えて再びコースインをしていきます。

結論から言うと、このスリックタイヤへの交換を決断するのが早かったチームほど好タイムを出すことになります。なぜならば、きっちりとタイヤのウォームアップをしてからタイムアタックに臨めるから、という事なのです。ここで判断が遅かったのは2号車 muta Racing GR86 GTで、本領発揮することなくQ1敗退となってしまいます。

UPGARAGE NSX GT3
UPGARAGE NSX GT3

最初からスリックタイヤでコースインしていた第5戦 鈴鹿450kmの覇者、18号車 UPGARAGE NSX GT3はサクセスウェイトが最大の100kgとなっていながら終盤で1分18秒449を出してトップでQ2進出を決めました。

●最多ポールポジション記録を奪い合ったK-tunesとSUBARU

GT500クラスの予選Q1を挟んで、15時33分から開始された予選Q2。路面は完全にドライとなって全車スリックタイヤでの走行となりました。

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

入念なウォームアップから残り時間3分ほどで各マシンがタイムアタックに入っていきます。ここで61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTの山内英輝選手が1分17秒855でトップに立ちます。これに対して気合を見せたのが、第5戦鈴鹿で山内選手がポールポジションを獲得したことにより通算ポールポジション記録が2位となってしまったK-tunes RC F GT3の高木真一選手。終盤に1分17秒098を叩き出しトップタイムとなります。

K-tunes RC F GT3
K-tunes RC F GT3

そして、SUBARU BRZ R&D SPORTのタイムを上回ってきたマシンがもう一台。20号車 シェイドレーシング GR86 GTの清水英志郎が1分17秒792を出しての2番手に浮上。61号車はその後のタイムアタックをやめてピットインし、決勝では3番手スタートとなります。

シェイドレーシング GR86 GT
シェイドレーシング GR86 GT

自身のポールポジション通算記録を14回としてトップの山内選手と並んだ高木選手。このポールポジション通算記録の争いはまだまだ続いていきそうです。

ポールポジションのK-tunes RC F GT3 新田守男選手、影山正彦監督、高木真一選手
ポールポジションのK-tunes RC F GT3 新田守男選手、影山正彦監督、高木真一選手

予選の上位3台はすべてダンロップタイヤで、第5戦鈴鹿に続いてダンロップ勢がGT300のフロントローを占めることとなりました。

グッドスマイル 初音ミク AMG
グッドスマイル 初音ミク AMG

なお、4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGはコースインの際にピット出口のホワイトラインカットでベストタイム抹消というペナルティにより、セカンドベストが採用され、決勝は10番グリッドからのスタートとなります。

ポールポジションを喜ぶレースクイーン
ポールポジションを喜ぶレースクイーン

魔物が棲むというスポーツランドSUGOですが、予選日から魔物が大活躍。17日の決勝レースでは波乱が起きないことを祈ります。

●スーパーGT 2023第5戦 鈴鹿 GT300予選結果

1 #96 K-tunes RC F GT3 新田 守男、高木 真一 1’17.098
2 #20 シェイドレーシング GR86 GT 平中 克幸、清水 英志郎 1’17.768
3 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人、山内 英輝 1’17.855
4 #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田 広樹、川合 孝汰 1’17.867
5 #56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R J.P.デ・オリベイラ、名取 鉄平 1’18.426
6 #18 UPGARAGE NSX GT3 小林 崇志、小出 峻 1’18.472
7 #6 DOBOT Audi R8 LMS 片山 義章、R.メリ・ムンタン 1’18.482
8 #10 PONOS GAINER GT-R 安田 裕信、大草 りき 1’18.561
9 #27 Yogibo NSX GT3 岩澤 優吾、伊東 黎明 1’18.602
10 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口 信輝、片岡 龍也 1’18.739
11 #87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 松浦 孝亮、坂口 夏月 1’18.767
12 #11 GAINER TANAX GT-R 富田 竜一郎、石川 京侍 1’18.782
13 #360 RUNUP RIVAUX GT-R 青木 孝行、大滝 拓也 1’19.123
14 #65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥、篠原 拓朗 1’19.126
15 #5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 冨林 勇佑、松井 孝允 1’19.454
16 #7 Studie BMW M4 荒 聖治、ブルーノ・スペングラー 1’19.909
17 #2 muta Racing GR86 GT 堤 優威、平良 響 1’19.848
18 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 吉本 大樹、河野 駿佑 1’28.164
19 #88 JLOC ランボルギーニ GT3 小暮 卓史、元嶋 佑弥 1’20.754
20 #50 ANEST IWATA Racing RC F GT3 I.オオムラ・フラガ、古谷 悠河 1’28.514
21 #9 PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG 阪口 良平、リアン・ジャトン 1’26.400
22 #22 アールキューズ AMG GT3 和田 久、城内 政樹、加納 政樹 1’31.660
23 #30 apr GR86 GT 永井 宏明、織戸 学 1’30.048
24 #31 apr LC500h GT 嵯峨 宏紀、小高 一斗 未出走|D.N.S
25 #48 植毛ケーズフロンティア GT-R 井田 太陽、田中 優暉 未出走|D.N.S

(文:松永 和浩/写真:吉見幸夫、松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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