スバル「アルシオーネSVX」デビュー。スペシャリティカー「アルシオーネ」2代目のオーバー近未来的な完成度とは【今日は何の日?9月16日】

■バブル景気を背景に最新技術満載の高級スペシャリティカー

1991年に登場したアルシオーネSVX。デザインのベースはジウジアーロ
1991年に登場したアルシオーネSVX。デザインのベースはジウジアーロ

1991(平成3)年9月16日、富士重工業(現、SUBARU)から「アルシオーネSVX」がデビューしました。

1985年に誕生したスバル初のスペシャリティカー「アルシオーネ」の後継として、ジウジアーロデザインの流麗なスタイリングと先進技術満載のスペシャリティカーがやってきたのです。


●スバル初となるスペシャリティカーのアルシオーネ誕生

日本がバブル景気に向かい始めた1985年、スバル初のスペシャリティカーのアルシオーネがデビューしました。当時は、トヨタの「ソアラ」や「マークII」が牽引したハイソカーブームやスペシャリティカーが市場を席巻していましたが、そこへスバルはフラグシップとしてアルシオーネを投入してきたのです。

1985年にデビューしたアルシオーネ。スバル初のスペシャリティカー
1985年にデビューしたアルシオーネ。スバル初のスペシャリティカー

車名は、スバル六連星の中で最も輝く星の「アルキオネ」に由来したもの。リトラクタブルヘッドライトを装備したウェッジシェイプ(くさび形)の2ドアクーペは大きな注目を集めました。インテリアもステアリングはもちろん、各所が斬新で、一言でいうと車というより航空機のコクピットのようでした。

パワートレインは、1.8L直4水平対向 SOHCターボと、3速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式は、状況に応じてリアルタイムでトルク配分を最適化する、アクティブ・トルクスプリット方式のフルタイム4WDです。

米国ではある程度の人気を獲得しましたが、奇抜すぎととらえられもしたスタイリングは好き嫌いが分かれ、日本での販売は低調でした。

●流麗なデザインと先進技術満載のアルシオーネSVX

アルシオーネの予想外の不振を受け、2代目として“遠くへ、美しく”のキャッチコピーで、アルシオーネSVXが1991年にデビューしました。SVXは、SUBARU Vehicle Xの略で、Xは最高を意味します。

ルーフを除くすべてのキャビンをガラスで覆った“ミッドフレーム・ウィンドウ“採用のアルシオーネAVX
ルーフを除くすべてのキャビンをガラスで覆った“ミッドフレーム・ウィンドウ“採用のアルシオーネSVX

先代で一部には不評だったスタイリングについては、イタリア人デザイナーのジウジアーロに依頼して大幅に見直され、曲面を多用した躍動感のある美しいスタイリングへと生まれ変わりました。

さらに、ルーフを除くすべてのキャビンをガラスで覆った“ミッドフレーム・ウィンドウ“で形成された開放感溢れた室内は、近未来的な雰囲気がありました。

パワートレインは、最高出力240PS/最大トルク31.5kgmを発揮する3.3L V6水平対向DOHCエンジンと、4速ATの組み合わせ、駆動方式は先代同様、アクティブ・トルクスプリット方式のフルタイム4WDでした。

スバル伝統のシンメトリカルAWD(高性能水平対向エンジン+4WD)の他にも、4センサー4チャンネルABS、4WS、SRSエアバッグなど、フラッグシップらしく多くの先進技術が採用されました。

●スバル最初で最後のスペシャリティカーは不発に終わる

華麗なスタイリングとスバル伝統のシンメトリカルAWD、さらに先進技術満載のアルシオーネSVXでしたが、初代のアルシオーネで受けた販売不振を打破することは叶いませんでした。

車両価格は、標準仕様のグレードEが333.3万円、高級バージョンEが399.5万円でした。ちなみに、日産自動車「フェアレディZ 300ZX」が345万円、トヨタ「スープラ 2500GTツインターボ」が379.6万と、ライバルと同等でしたが、残念ながらブランド力では見劣りしてしまったとでもいうのでしょうか。ちなみに当時の大卒の初任給は、17.5万円(現在は約23万円)程度でした。

さらに、発売時期はちょうどバブルが崩壊したタイミングの悪さ。人気が出ないまま1996年に生産を終えました。


スバル車には、何といっても運転の楽しさを実現する優れた走行性能の魅力がありますが、意外にもバブル期には市場の流れに乗ってスペシャリティカーも投入されていました。バブリーなスペシャリティカーにも、スバルの魅力は潜んでいたはずですが、近未来的素晴らしさゆえに早すぎて、上手く伝わらなかったようです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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