トヨタ「カルディナ」3代目デビュー。レガシィ・ツーリングワゴンに対抗してトヨタが放ったスポーツワゴン【今日は何の日?9月13日】

■GT-FOURも設定され走りも極めたツーリングワゴン

2002年に登場したツーリングワゴンの3代目カルディナ、中でも最高峰だったGT-FOUR
2002年に登場したツーリングワゴンの3代目カルディナ、中でも最高峰だったGT-FOUR

2002(平成14)年9月13日、トヨタのカルディナが2度目のモデルチェンジを行い、3代目カルディナが登場しました。

カルディナは、1989年にデビューして大ヒットしたスバル「レガシィ・ツーリングワゴン」に対抗して、トヨタが1992年に投入したツーリングワゴンです。

●トヨタが放ったツーリングワゴンのカルディナ

1992年に登場して大ヒットした2代目レガシィ・ツーリングワゴン
1992年に登場して大ヒットした2代目レガシィ・ツーリングワゴン

1989年にデビューしたスバルのレガシィ・ツーリングワゴンは、スタイリッシュな外観とスポーティな走り、それでいて広い荷室をもつ実用性の高さがアクティブな若者から支持され、ツーリング(ステーション)ワゴンブームを起こしました。

この成功を受けて、トヨタが放ったツーリングワゴンが、1992年に登場したカルディナです。

初代のカルディナは、コロナをベースにしたラウンディッシュな面で構成された伸びやかなフォルムの、扱いやすい5ナンバーサイズのスポーティなワゴンでした。ただし、基本的には同じスタイルの商用車カルディナバンも同時にデビューさせたことで、逆に新鮮な印象は薄れてしまいました。

1992年にデビューした初代カルディナ
1992年にデビューした初代カルディナ

パワートレインは、1.8L&2.0L直4 DOHCエンジンの2種エンジンと、4速ATおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDでした。

カルディナは、爽快な走りと安定した乗り心地、広い荷室スペースを持ったワゴンとして堅調な販売を続けましたが、残念ながら絶好調となった2代目レガシィ・ツーリングワゴンの人気には対抗できませんでした。

●よりスポーティさを追求した3代目も販売は低調

2002年のこの日、2回目のモデルチェンジで3代目カルディナが登場。3代目はすべてを一新して、先代のスポーツ路線をさらに加速させ、フロントからロングルーフにのびる流線型に、切り落としたようなテールエンドが特徴のビュレット(砲弾)フォルムが採用されました。

3代目カルディナのビュレットフォルム
3代目カルディナのビュレットフォルム

パワートレインは、1.8L&2.0L のDOHC 16Vエンジン、260PSを発揮するパワフルな2.0L DOHCターボエンジンの3機種と、4ATの組み合わせ、駆動方式はFFとフルタイム4WDを用意。

注目は、305.55万円で設定された2.0Lターボエンジン+4WDのトップグレード「GT-FOUR」でした。ちなみに当時の大卒の初任給は、19.7万円(現在は約23万円)程度でした。

しかし、技術の高さに反して販売は思うように振るいませんでした。いくら速くても、ツーリングワゴンの特徴であった荷室スペースがさほど広くなかったこと(先代よりも縮小)が不満となったようです。

●3代目カルディナは「GT-FOUR」を名乗った最後のモデルに

1986年に登場したセリカ・GT-FOUR(弊社刊ニューモデル速報第47弾セリカGT-FOURのすべてより)
1986年に登場したセリカ・GT-FOUR(弊社刊ニューモデル速報第47弾セリカGT-FOURのすべてより)

GT-FOURは、WRCを席巻した「セリカ」が名乗った栄光のネーミングです。セリカではすでに消えていましたが、3代目カルディナがGT-FOURを復活させ、またGT-FOURを名乗った最後のモデルでもあります。その速さは、開発段階で「スープラ」よりも速い記録をマークしたほどでした。

GT-FOURは、ビスカスカップリングのセンターデフと、トルセンLSDを採用したリアデフを組み合わせたフルタイム4WD。また、強力なトルクを確実に路面に伝えるために、フロントサスペンションはスーパーストラット、リアはデュアルリンク式ストラットが設定されました。


カルディナは、結局3代目を最後に2007年に生産を終えました。打倒レガシィ・ツーリングワゴンで3代登場しましたが、その目的は果たせませんでした。

似通った商用バンと併用したため、鮮烈なデビューができなかったこと、実用性を犠牲にして走りにこだわり過ぎたことで、ツーリングワゴンブームから若干コンセプトが逸れてしまったことが、その理由ではないでしょうか。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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