■前後アクスルにモーターを備えた4WDモデルで、航続距離は528km
各自動車メーカー、ブランドは、一斉に電動化に舵を切っています。中でも電気自動車(バッテリーEV/BEV)への傾倒ぶりは、各国、各地域の政策などもあり、「CASE」の中でも「E」の進捗度は数年前よりも急になっている感があります。
メルセデス・ベンツも例に漏れず、日本の自動車メーカーよりもBEVのラインナップを急速に充実化させています。
そんな中、一充電あたりの航続距離528kmに達するメルセデス・ベンツ「EQE SUV」が2023年8月25日(金)に発表されました。EQE SUVには、ヒートポンプが標準装備化されています。これは、空調のみならず、寒冷地でバッテリーを温めるなど、車両システム全体に利用されることで、航続距離を最大10%伸長することに貢献しているといいます。
「EQ」は、メルセデス・ベンツのBEVシリーズで、先に最上級の「EQS(セダン)」、「EQS SUV」、「EQE(セダン)」などが日本に上陸を果たしています。なお、日本には、すでに6モデルのBEVが登場していて、先述したように、日本で買えるブランドの中でもトップクラスの充実ぶり。プレス発表会で上野金太郎社長は、横浜に電動モデル専用のショールームを開き、さらに東京の青山にもBEV専用ショールームを開くと明らかにしました。
ボディサイズは、全長4880×全幅2030×全高1670mm、ホイールベースは3030mm。前後アクスルにモーターである電動パワートレーン(eATS)が搭載された4WDモデルになります。
なお、リヤアクスルステアリングの装着により(後輪は最大10度ステアする)、最小回転半径は脅威の4.8m。コンパクトカー並みの数値というから驚きです。ボディサイズは小柄とはいえませんが、最上級のEQS SUVよりも日本の道路、駐車場事情にマッチしているのは間違いありません。
BEV専用プラットフォームをベースに、先述したように、前後アクスルに電動パワートレイン(eATS)を搭載。モーターは、永久磁石同期モーター(PSM)で、このPSMは、ACモーターのローター(回転子)に永久磁石が取り付けられているため、ローターには通電の必要がない利点があります。モーターは、三相の巻線を2つ備える六相式が採用され、最高出力292PS(215kW)、最大トルクは765Nmというハイスペックを実現。
また、トルクシフト機能によってフロントとリヤのモーター間で駆動トルクの連続可変配分が行われ、前後駆動力配分は常に効率的かつ最適化されます。
さらに、日本仕様の特別な機能として、EQE SUVから車外に電力を供給できる双方向充電が可能になっています。家庭の太陽光発電システムで発電された電気の貯蔵装置にもなるほか、停電した場合などに、電気を家庭に送る予備電源としても利用できます。なお、給電は「MBUX」設定画面より、バッテリー残容量10%〜50%まで10%単位で設定可能です。
また、ユニークなのは、オンラインプラットフォームである「Mercedes me Store」で、希望のタイミングで機能を追加したり、サービスを購入したりすることも可能。たとえば、「ビギナードライバーモード」は、より安全に運転ができるよう、急加速を抑制したり、最高速度を約120km/hに制限できたりするほか、ESPを常にオンにし、ドライブモード「Sports」の使用を制限します。
「バレーサービスモード」も追加できます。ホテルなどの「バレーパーキング」を使用することを想定されたモードで、特性は「ビギナードライバーモード」に似ています。最高速度を約80km/hに制限できるほか、個人プロフィールデータは許可なくアクセスできないよう保護されます。
そのほか、安心のEVカーライフ「EQ ケア」と充電サービス「Mercedes me Charge」、テレマティクスサービス「Mercedes me connect」のほか、最新の先進安全装備なども完備されています。
●価格
「EQE 350 4MATIC SUV ローンチエディション」:1369万7000円
「メルセデス AMG EQE 53 4MATIC+ SUV ローンチエディション」:1707万円
(文・写真:塚田 勝弘)