日産「フェアレディZ(Z33型)」デビュー。日産リバイバルプランで2年ぶりに復活したフラッグシップスポーツ【今日は何の日?7月30日】

■日産リバイバルプランの目玉として復活したフェアレディZ

2002年にデビューした5代目(Z33型)フェアレディZ
2002年にデビューした5代目(Z33型)フェアレディZ

2002年(平成24)7月30日のこの日、日産を代表するフラッグシップスポーツ「フェアレディZ」の5代目(Z33型)が発売されました。

4代目フェアレディZ(Z32型)は2000年に一旦生産を終了しましたが、当時日産が進めた日産リバイバルプランの車種展開によって、2年ぶりに復活を果たしたのです。


●初代フェアレディZ(S30型)は、トヨタ2000GTに対抗して誕生

初代フェアレディZは日産自動車のブランドイメージ向上のため、また「トヨタ2000GT」に対抗する低価格なスポーツカーとして、1969年10月にデビューしました。米国を中心とする海外市場がメインターゲットで、ロングノーズ&ショートデッキの美しいフォルムが、大きな注目を集めました。

1969年にデビューした典型的なロングノーズ・ショートデッキの初代フェアレディZ
1969年にデビューした典型的なロングノーズ・ショートデッキの初代フェアレディZ

2.0L直6 SOHCおよびハイグレードのDOHCエンジンが用意され、ハイグレードは最高出力160PS/最大トルク18.0kgmを発揮し、最高速は210km/hを誇りました。コクピットには眼前に2つ、センターコンソールに3つのメーターを配置するという凝りようでした。

スポーツカーらしい流麗なスタイリングとパワフルな走り、リーズナブルな価格によって日米で大ヒット、歴史を飾るスポーツカーが誕生したのです。

●2代目~4代目までのフェアレディZ

1983年にデビューした3代目(Z31型)フェアレディZ
1983年にデビューした3代目(Z31型)フェアレディZ
1978年にデビューした2代目(S130型)フェアレディZ
1978年にデビューした2代目(S130型)フェアレディZ

初代の後を継いで1978年に登場した2代目(S130型)は、キープコンセプトでボディをやや大型化して室内スペースを拡大し、より快適で使いやすいスポーツカーに進化。

1983年に登場した3代目(Z31型)は、エンジンを直6から新世代V6に変更、リトラクタブルヘッドライトを纏った精悍なフロントマスクで、“較べることの無意味さを教えてあげよう”の名台詞が有名になりました。

1989年にデビューした4代目(Z32型)フェアレディZ
1989年にデビューした4代目(Z32型)フェアレディZ

そして、初代誕生から20年目の1989年に登場した4代目(Z32型)は、超スラントヘッドランプやショートオーバーハングなど、洗練されたスタイリングが特徴でした。

2シーターと4人乗りの2by2が設定され、エンジンは3.0L V6 DOHC(VG30)でNA(無過給)とツインターボの2機種が用意され、国産初の出力自主規制値280PSに達成したことで知られています。

ところが、1990年代後半は日産が経営危機となり、1999年にはルノーと提携といった荒波の中、4代目は2000年8月に生産終了となり、フェアレディZの名前は一旦途絶えました。

●日産再生の象徴として2年ぶりに復活した5代目フェアレディZ

生産が途絶えたフェアレディZでしたが、日産を代表するスポーツカーの存続を求める声が多かったこともあり、日産リバイバルプランの車種展開の中で2002年7月30日に復活を果たしました。

5代目フェアレディZのリアビュー
5代目フェアレディZのリアビュー

復活した5代目(Z33型)フェアレディZは、2by2をやめて2シーターのみをラインナップし、クラストップの空力性能を持つ、流れるようなスカルプチャーデザインを採用。パワートレインは、出力規制値280PSを発揮する3.5L V6エンジン(VQ35DE)と6速MTおよび5速ATの組み合わせで、駆動方式は伝統のFRでミッドシップレイアウトです。

車両価格は、ローグレードが300万円(MT)/310万円(AT)~ハイグレードが360万円(MT)。ターボエンジンを搭載していた先代に対して、同じ最高出力ながら大排気量のNA(無過給)を搭載したため、低速トルクが太くスムーズな力強い走りが楽しめる5代目は、ターボとは一味違う大人のスポーツカーに仕上がっているのが特徴でした。

●最高出力405PSで話題を集めた現行フェアレディZ

2008年デビューの6代目(Z34型)では、3.7L V6 DOHC(VQ37VHR)を搭載して最高出力336PS/最大トルク37.2kgmを発生しました。

2022年にデビューした7代目(Z34型)フェアレディZ
2022年にデビューした7代目(RZ34型)フェアレディZ

そして、2022年に登場した現行の7代目(RZ34型)は、最高出力405PS/最大トルク48.4kgmの新開発3.0L V6 DOHCツインターボエンジン(VR30DDTT型)を搭載。フロントマスクやサイドボディなどは、初代フェアレディZをモチーフにしてデザインされ、インテリアのインパネ中央最上部に3連メーターが装着されているのも、フェアレディZの伝統です。

ただし、昨今の半導体不足の影響などもあり現在は受注が滞り、2023年7月現在もなかなか入手できない状態が続いているようです。


低迷した日産がルノーとの提携によって再生を目指した2000年頃、その象徴となったのが5代目フェアレディZでした。日産自動車だけでなく、全世界のスポーツカーファンにとって、5代目の復活は朗報だったのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる