日産「ムラーノ」予約開始。ハリアーの対抗馬として米国生まれのプレミアムSUVが日本上陸【今日は何の日?7月29日】

■米国で人気を獲得したラージサイズのクロスオーバーSUVを日本に投入

2004年にデビューしたクロスオーバーSUV「ムラーノ」
2004年にデビューしたクロスオーバーSUV「ムラーノ」

2004(平成16)年7月29日、日産自動車は9月2日発売のクロスオーバーSUV「ムラーノ」の受注を開始しました。

2年前の2002年から北米で販売を始めて、ダイナミックなデザインと力強い走りで好評を博していたムラーノを、日本でもデビューさせたのです。


●都会派プレミアムSUVというジャンルを開拓したハリアー

ムラーノ誕生5年前の1997年に登場して、都会派のプレミアムSUVというジャンルを開拓したのが、トヨタの「ハリアー」です。

1997年にデビューしたハリアー。高級SUVというジャンルを開拓
1997年にデビューしたハリアー。高級SUVというジャンルを開拓

ハリアーは、「カムリ」をベースにモノコックボディの流麗なスタイリングと、セダンにも負けない広々した快適な室内空間によって、高級感を演出。

装備についても、ワイドマルチディスプレイ、オプティトロメーター、キーレスエントリーなどを標準化し、高級車の定番である本革シートも用意されました。

高級セダンと4WDのいいとこ取りした高級SUVのハリアーは大ヒット、翌年には米国でレクサス「RX」として発売して海外でも大ヒットを記録。

これを受け、ハリアーに続いてBMW「X5(2000年)」やポルシェ「カイエン(2002年)」、VW「トアレグ(2002年)」など、世界中の高級ブランドからプレミアムSUVが続々と登場。

ムラーノも世界戦略車のプレミアムSUVとして、まずは2002年11月に北米でデビューしたのです。

●ハリアーに対抗して登場したムラーノ

曲面基調のムラーノのリアビュー
曲面基調のムラーノのリアビュー

北米でデビューしたムラーノはダイナミックなスタイリングと力強い走りで人気モデルになり、それを受けてハリアーの対抗馬として日本でも発売されました。

ムラーノは、日産のアッパーミドルクラスの乗用車に使われているFF-Lプラットフォームを採用。ボリューム感のある曲面構成のボディに、太い格子のメッキグリルとシャープなヘッドライトで構成される個性的なフロントマスクが特徴でした。

インテリアは、円型メーターが収められたメータークラスターやスポーツシートなどで、開放的かつスポーティな雰囲気が演出されました。

ムラーノのプレミアムインテリア
ムラーノのプレミアムインテリア

パワートレインは、パワフルな3.5L V6 DOHCと日常重視の2.5L直4 DOHCの2種類のエンジンと、4速ATおよび電子制御CVTの組み合わせ、駆動方式はFFとオンデマンド式フルタイム4WDを用意。車両価格は、285.6万円(AT)/342.4万円(CVT)でした。

●大きすぎるボディが国内では敬遠されて販売は伸びず

グローバルでは人気を博したムラーノでしたが、日本では残念ながらヒットモデルにはなりませんでした。

北米ではジャストサイズでも、当時の日本のSUVの中では圧倒的に大きかったため扱いにくく、燃費もあまり良くなかったことが、販売が伸びなかった理由でした。

2019年にデビューした4代目RAV4。初代に比べると、全長・全幅とも100mm以上大型化している
2019年にデビューした4代目RAV4。初代に比べると、全長・全幅とも100mm以上大型化している

ちなみにムラーノのボディサイズは全長4,770mm×全幅1,880mm×全高1,685mmで、ライバルのハリアーも2003年にデビューした2代目で大きくなりましたが、それでも全長4735mm×全幅1,845mm×全高1,670-1680mmで、ムラーノはハリアーよりひと回り大きいことが分かります。

世界戦略車として開発されたクルマが、必ずしも日本の狭い道路環境や駐車環境に合ったクルマにならないことが、メーカーにとっては悩みの種かもしれません。


大きすぎて扱い難いため売れなかったムラーノですが、ここ10年ぐらいは当初はコンパクトSUVとしてヒットした「RAV4」も随分大きくなり、新型ハリアーもマツダ「CX-5」もムラーノに引けをとらないくらい大きいSUVです。

そう考えると、ムラーノの登場は、10年早すぎたのかもしれません。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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