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■YZR-M1にヤマハ純正オイルの特別カラーも投入
2023年も世界最高峰バイクレース「MotoGP」が日本にやってきます。9月29日(金)〜10月1日(日)、栃木県のモビリティリゾートもてぎで第14戦 日本グランプリが開催されます。バイクレースファンには待ち遠しいイベントです。
しかも今回のもてぎ戦は、スペシャルなライダーの参戦も決まりました。なんと、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)のMotoGPマシン「YZR-M1」のテストライダーである「カル・クラッチロー」選手が、ワイルドカードという特別枠で出場することが発表されたのです。
クラッチロー選手といえば、世界最高峰のMotoGPで3回の優勝や19回の表彰台を獲得するなど数々の活躍をみせてきたことで、日本にもいまだに多くのファンがいる有名ライダー。
あのアグレッシブなライディングを、再び日本で観ることができる絶好の機会となりそうです。
●MotoGP引退後もテストやレースで大活躍
クラッチロー選手は、イギリス出身の元レーシングライダー。MotoGPには2011年から参戦し、当時のヤマハ・サテライトチーム「テック3」に所属。ランキング12位を獲得しルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、昔からヤマハとも縁が深い選手です。
また、2015年から2020年まではホンダのサテライトチーム「LCRホンダ」で闘うなど、日本メーカーのマシンでさまざまな活躍を披露。前述の通り、MotoGPで3回の優勝、表彰台19回、4回のポールポジションを獲得するなど、数々の栄光を手にした有名ライダーです。
そんなクラッチロー選手ですが、2021年シーズンからはワークスチーム直下の「Yamaha Factory Racing MotoGP Test Team」に所属。現役を退き、ヤマハMotoGPマシン「YZR-M1」のテストライダーを行っています。
とはいっても、2021年シーズンから2022年シーズンにかけて合計10回、ヤマハYZR-M1でMotoGPに参戦しています。
これは、ヤマハワークス所属のフランコ・モルビデリ選手がケガで欠場したり、当時のヤマハ・サテライトチーム「RNF MotoGP Racing Team」所属のアンドレア・ドビツィオーゾ選手が2022年シーズン途中で引退するなどで、彼らの代役として参戦しました。
●テスト中のニューパーツも投入
一方、今回のMotoGP日本グランプリ参戦は、代役でなく初のワイルドカード出場です。チーム名は「YAMALUBE RS4GP Racing Team」。
ヤマハの純正オイル「YAMALUBE(ヤマルーブ)」の名前を冠しているという点では、2023年8月6日に決勝を迎える「鈴鹿8耐」に出場するヤマハのトップチーム「YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team(以下、YART)」と同様です。
また、クラッチロー選手が乗るYZR-M1には、同じく鈴鹿8耐で出走するYARTのマシン「YZF-R1」と同様のカラーリングが施されるといいます。
このカラーには、YAMALUBEの最高峰エンジンオイルで2023年にリニューアルした「RS4GP(アールエスフォージーピー)」のボトルカラーに合わせた特別なグラフィックを採用。まさに、スペシャルなYZR-M1がもてぎを走るのです。
ちなみに、今回クラッチロー選手が参戦する目的は、ヤマハによると「最高峰クラスのレース用セッティングでプロトタイプ・パーツの分析」を行うことだとか。どうも、クラッチロー選手のマシンには、テスト中のニューパーツもいろいろと搭載されそうですね。
また、ヤマハは「国内最大級のレースのグリッドに、(ワークスチームの)Monster Energy Yamaha MotoGPのファビオ・クアルタラロ選手とフランコ・モルビデリ選手に加えて、クラッチロー選手を並ばせることで、ホームGPにさらなる興奮をもたらし、マシン開発を加速させる」ことが重要なミッションだといっています。
つまり、いまだに日本でも人気があるクラッチロー選手を投入することで、日本グランプリを盛り上げることと、さらに戦闘力を高めるためのマシン開発を進めることを目指しているということですね。
さて、MotoGP日本グランプリで、ヤマハのマシンやライダーたちがどんな活躍をみせてくれるのか? 今からとっても楽しみです。
(文:平塚 直樹)