BMWの提案する都市型電動モビリティに興味津々【バイクのコラム】

■BMWから新しい電動モビリティが誕生

BMWいわく「電動スクーターでも、電動バイクでもない」という。都市型・電動モビリティの新提案スタイルだ。
BMWいわく「電動スクーターでも、電動バイクでもない」という。都市型・電動モビリティの新提案スタイルだ。

BMWの二輪部門といえるBMWモトラッドが、まったく新しいコンセプトの電動モビリティ「CE02.」を発表しました。

ご存知のように、BMWモトラッドの電動バイクとして「CE04.」が存在しています。ネーミングを見ると、同シリーズの進化版と思うかもしれませんが、発表されたオフィシャルフォトを見る限りコンパクトなボディのようで、車格的には弟分といえそうです。

BMWモトラッド的には、従来の電動スクーターや電動バイクとは異なる、都市型の電動モビリティとして開発したとアピールしていますから、CEシリーズのニューモデルではありますが、単なる電動パワートレインを与えられた二輪車という枠組を超えた、まったく新しい”乗り物”としてとらえるべきなのかもしれません。

●14インチタイヤ、シート高750mmは扱いやすそう

リヤは片持ちアーム。キャンバス的に彩られたディスクホイールが目立っている。
リヤは片持ちアーム。キャンバス的に彩られたディスクホイールが目立っている。

完全に新しい電動モビリティをコンセプトに掲げているとはいえ、シート高750mmというフォルムは小径タイヤのミニバイクといった雰囲気です。

そのスタイリングから、ホンダ・グロムのような車格をイメージするかもしれません。しかしながら、グロムのタイヤは前後12インチですが、BMW CE02.のタイヤサイズは、フロント120/80-14、リヤ150/70-14となっています。

こうしたタイヤサイズは、グロムのような原付二種クラスのモデルより、一回り大きいサイズであることがわかります。

画像を見ると、フロントタイヤのサイズは120/80-14となっているようだ。
画像を見ると、フロントタイヤのサイズは120/80-14となっている。

リヤタイヤをワイド気味の設定としているのは、都市に似合うスタイリングを生み出しているポイントといえそうです。

とはいえ、後輪がワイドになっているのは、駆動力を受け止めるためのロジカルな選定ともいえます。

発表されている駆動モーターの最高出力は11kW(15馬力)で、定格出力は6kW(8馬力)。最大トルクは55Nmと軽二輪クラス。最高速度も95km/hとなっているのです。

ちなみに、ドイツでは15歳以上で取得できるというAMクラスの免許所有者向けに、最高出力4kW(5馬力)、定格出力3.2kW(4馬力)、最高速度45km/hのバリエーションも設定するということです。

●車両重量は119kg~132kg。航続距離は90km

彼の地での制度に合わせて最高出力11kW仕様と4kW仕様が用意されるという。
彼の地での制度に合わせて最高出力11kW仕様と4kW仕様が用意されるという。

バイクとしての基本骨格はスチールフレームを採用、フロントを倒立フォークとしているのはオーソドックスな印象もありますが、リヤのスイングアームが片持ちタイプとなっているのは、未来的な印象に繋がっているメカニズムといえるでしょう。

さらにユニークなのは、足を乗せるステップが前後に用意されている点です。2つのライディングポジションを自在に使い分けるという提案を、ユーザーがどのように活用することができるのか、現時点では不明な部分もありますが、この新提案こそ「まったく新しい都市型モビリティ」の特徴となるのかもしれません。

エンジン車のBMWモトラッドにはないミニバイク的キャラクターも新しい。
エンジン車のBMWモトラッドにはないミニバイク的キャラクターも新しい。

なお、一充電の航続距離は最高出力11kW仕様で90km、4kW仕様で45kmとアナウンスされています。

先進安全機能については、フロントにABSを装備。 ASC(自動安定性制御)やRSC(安定制御機能)も備えているといいます。

日本での販売時期については未発表のようですが、今までのBMWにないサイズ感やスタイリングは、日本でも大いに評価されそう。BMWモトラッドに新しいユーザー層を招き入れること確実といえる注目のニューモデルです。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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