マツダ「CX-60」の安全デバイス「i-ACTIVSENSE」を使ってみたら、メーター内の状態表示に「へぇ〜」となった【新車リアル試乗 8-5 マツダCX-60 i-ACTIVSENSE・実践編】

■CX-60のi-ACTIVSENSE機能を見る

i-ACTIVSENSEの表示が凝っているぞ!
i-ACTIVSENSEの表示が凝っているぞ!

CX-60のi-ACTIVSENSEの実践編。

数多(あまた)あるCX-60の安全デバイスのうち、一部を除いたi-ACTIVSENSE機能の使用感を述べていきます。

●豊富なセンサーのフル稼働で働くi-ACTIVSENSE!

i-ACTIVSENSEの概要イラスト
i-ACTIVSENSEの概要イラスト

前回のおさらいで、ここでもういちどCX-60に与えられている安全デバイス・i-ACTIVSENSEの内訳を並べておきます。

1.ハイ・ビーム・コントロールシステム(HBC)
2.アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)
3.車線逸脱警報システム
4.ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)
5.交通標識認識システム(TSR)
6.ディスタンス&スピード・アラート(DSA)
7.前側方接近車両認知(FCTA)
8.後側方接近車両認知(RCTA)
9.360°ビューモニター
10.ドライバー・アテンション・アラート(DAA)
11.ドライバー・モニタリング
12.マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)
13.クルージング&トラフィック・サポート(CTS)
14.レーンキープ・アシスト・システム(LAS)
15.緊急時車線維持支援(ELK)
16.スマート・ブレーキ・サポート(SBS)
17.AT誤発進抑制制御
18.ドライバー異常時対応システム(DEA)
19.衝突二次被害軽減システム

・・・とまあ、CX-60のi-ACTIVSENSEの機能は19にも上るわけですが、それだけにこれらを働かせるのに必要なセンサーもそれなりの数だけ必要で、カメラにレーダーセンサーに超音波センサーの3種類。

i-ACTIVSENSE稼働に必要なフロントまわりのセンサー
i-ACTIVSENSE稼働に必要なフロントまわりのセンサー
リヤまわりセンサー
リヤまわりセンサー

点数はさらに多く、フロント側はフォワードセンシングカメラ(FSC)と呼ばれるフロントガラス上部のカメラがひとつ。レーダーセンサーは奮発していて、普通ならフロントグリルのブランドマーク裏にひとつだけなのが通例のところ、CX-60ではマツダマーク裏のほか、バンパー両脇裏にも内蔵しています。超音波センサーはバンパー両脇に2つ、グリル内に2つ。グリル内といっても、通常ならバンパーになるはずのところにまでグリルが食い込んでいるだけなので、バンパーに4つあるのと同じです。

リヤにまわってレーダーセンサーがバンパー両脇にも大サービス! 加えて超音波センサーがバンパー内に4つ。

カメラはFSCのほか、360度ビューモニター用として、フロントマツダマーク下にひとつ、左右ドアミラーにひとつずつ、バックドアのライセンスプレート上にひとつの計4つ。FSCを含めると全部で5つ、電子の目の玉が設置されていることになります・・・クルマの値段が高くなるわけだ。

試したのは次の機能です。

1.マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)
2.クルージング&トラフィック・サポート(CTS)
3.レーンキープ・アシスト・システム(LAS)
4.車線逸脱警報システム(LAS)
5.ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)
6.交通標識認識システム(TSR)
7.前側方接近車両認知(FCTA)
8.後側方接近車両認知(RCTA)

これら試した機能を、都合上、多少順序を変えながら解説していきます。

1.マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)
2.クルージング&トラフィック・サポート(CTS)

もはや一般名詞となったアダプティブクルーズコントロール(ACC)は、マツダ呼称では「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」となります。このMRCCに「クルージング&トラフィック・サポート(CTS)」・・・このふたつ、呼び名もスイッチもわざわざ別個にしているので、機能も違うと考えそうになるのがややこしいところですが、クルマに車線維持も行わせながらMRCC走行したい場合、それはCTS走行となります。つまりCTSはMRCCを包含しており、CTSを働かせてMRCC走行したい場合は、直接CTSスイッチを押せばMRCCとCTSが同時にONになるというすんぽうです。

したがって、筆者は常にCTSで走行していました。

MRCCの設定操作は、

1.ブレーキペダルを踏んでいないとき。
2.車速が0km/h以上のとき。
3.ヒルディセントコントロールが作動していないとき。

の3条件が揃っているときに行うことができ、CTSを設定するなら、ここに4つめの、

4.MRCCが使用可能なとき。

が加わった4条件をすべて満たしているときにセッティング操作が可能となります。

いずれにしても、事実上は走っているときにボタンを押せば即起動というわけです。

セットすると緑色に変わる
セットすると緑色に変わる
メーンスイッチを押すとMRCCランプが点くが、CTSをいきなり押すと、ステアリングアシスト併用のMRCCとなり、ランプも同時につく。待機状態が白で、
メーンスイッチを押すとMRCCランプが点くが、CTSをいきなり押すと、ステアリングアシスト併用のMRCCとなり、ランプも同時につく。待機状態が白で、

スイッチはハンドル右スポークにあり、走行中、車線維持機能不要のMRCC走行に切り替えたいときは、車両&メーターマークのスイッチを、車線維持機能を併用したい場合は車線マーク入り車両スイッチを追加で押すか、直接押せばシステム起動&待機に。同時に、それまでアナログ表示だったメーターがi-ACTIVSENSE画面に変わり、MRCC起動ならその表示灯が、CTS併用ならステアリングアシスト(ハンドルマーク)の表示灯がが白色で点灯します。

先行車をキャッチして追従走行を始めるとMRCCマークが緑に変化。

ステアリングアシスト灯も、

・両側白線(黄線)を安定して検知している状態で車線センター付近を走っているとき、または先行車を自車の正面で安定して検知している状態で、約50km/h未満で走っているとき。
・ハンドルを大きく操作していないとき。
・ターンシグナルを使用していないとき。

の3条件をすべて満たしているときに緑に変わり、ステアリングアシストが作動します。

車速セットや車速上昇・下降はその上のシーソースイッチで行い、上下の「SET/+」「SET/-」チョン押しでその速度を上限とするMRCC走行セット。セット後のチョンチョンの短押しで1km/h刻み、長押しで10km/hステップで、車速が上昇・下降します。

先行車をキャッチしているときのi-ACTIVSENSE表示
先行車をキャッチしているときのi-ACTIVSENSE表示

CX-60は、前車が停止すればこちらも自動停止する全車速追従機能付きで、前車発進の「RES」押しかアクセルペダルのチョイ踏みで自動発進・・・新車を買えば必ずACCがついてくるという時代になり、造り慣れたもので、機能の働きやクルマの挙動に何ら唐突な点も不便な点も見当たらず、特段書かなければいけないようなことはありません。

CX-60は自動停止するとそのままブレーキ維持するようになっていますが、アダプティブ走行&自動停止を備えていても、数秒後にはブレーキ解除し、制動をドライバーに促すクルマもあります。停止維持の有無はメーカー個々の考え方で異なるので、慣れないうちは注意が必要です。ただし筆者は、いずれはどのクルマも停止維持するようになっていくと予測しています。

ひとつだけ「ん?」と思ったのは操作方法についてで、通常、何かの新技術が投入されてそれが他社にまで広がり、時間の経過でその技術が進歩していくと、操作方法もだいたいひととおりに集約されていくものなのですが、どういったものか、ことACCに関しては機能の進展とともに、スイッチ構成は各社ばらつきが出来てきました。

従来、「+」と一体だった「RES(RESUME:復帰)」が、このクルマでは分離して押し操作になっているため、いったん解除「CANCEL」からの復帰操作ではまちがえて上向き「SET/+」を押してしまい、何度も車速セットのしなおしをすることになりました。

MRCC、CTS操作のためのステアリングスイッチ
MRCC、CTS操作のためのステアリングスイッチ

そのスイッチの並びは写真のとおり。

ほんとうは左側スポークも含め、この部分はホーンボタンにしてほしいというのが筆者の主張ですが、それを忘れることにしてMRCC関連の操作性だけを見れば、パーツ間を詰めた面一にしていない形状であるぶん、見なくても指先で形を読み取ることができ、使いにくいことはありませんでした。

ただ、現状では車間距離設定スイッチにある「CANCEL」はいまの「RES」位置に移し、上に「RES/+」、下に「SET/-」にしたほうが戸惑いがなくていいのではないかといまでも思っています。

CX-60のMRCCないしCTSは、右白線に近づきたがる。これは360°ビュー・モニターのシースルー画面
CX-60のMRCCないしCTSは、右白線に近づきたがる。これは360°ビュー・モニターのシースルー画面
これはフロント画面。画面上の車幅線と路上の右ラインの間隔が、左ラインとの間隔に比べてせまいのがわかるだろうか
これはフロント画面。画面上の車幅線と路上の右ラインの間隔が、左ラインとの間隔に比べてせまいのがわかるだろうか

フロントガラス上部センターに設けられたカメラは周囲状況をよく判断し、先行車との距離を設定に応じて保つ、または巧みに間を長短させながら走りますが、ことCTSによるレーン収束は、全体的には中央に収めようとするものの、ときにヘンな癖を見せることがあり、なぜか右白線(黄線)側に寄りたがるシーンもままありました。

ドアミラーを見ても、右と左とでは鏡内に見る車体とラインの間隔が、右のほうがせまいことがわかる・・・気づいたのがたまたま首都高速中央環状線、山手通りの地下に伸びるトンネル区間を走っているときだったので、暗いのが影響しているのかと思い、その後昼夜注意深く観察してみたのですが、周囲の明るさとは関係ないことがわかりました。

これはマツダに報告しましたが、同じ声が届いており、開発側も承知しているとのことだったので、じき改善されるでしょう。既存の販売済み車両に対してもプログラム改修を行ってほしいものです。

ところでこのCTSは、車線に沿ったステアリング操作をするほか、車線を検知していない場合は先行車の軌跡をたどることもしてくれます。首都高のノロノロ渋滞の中で試そうと思ったのですが、急ぎたいときには渋滞しているくせに、何かのテストで渋滞を望むときにはスイスイ流れていたのと、CX-60さんのフロントカメラの視力がよく、常にレーンを検知していたため、本当に先行車の道すじをなぞってくれるかどうかは、残念ながら確認できませんでした。

さて、「へぇ〜」と感心したのはi-ACTIVSENSE画面の表示。高精細液晶の状態表示はめずらしくなくなりましたが、CX-60ほど凝った表示もないでしょう。

進行先が左カーブなら、メーター上でも左カーブを描く
進行先が左カーブなら、メーター上でも左カーブを描く

カメラが捉えた進行先のカーブをきちんとメーターにも表示していることがまず最初の「へぇ・・・」。これが他社なら、自車+アルファ程度のレーンを直線で示して終わっているところです。先が右カーブなら右に、左カーブなら左に、液晶上のレーンの先がきちんとカーブを描いています。

実際の様子。多少時間遅れがあるが、まあまあ位置関係は合っている
実際の様子。多少時間遅れがあるが、まあまあ位置関係は合っている
白い四角はざぶとんではなく、自車周囲のクルマ
白い四角はざぶとんではなく、自車周囲のクルマ

次の「へぇ・・・」が、車両脇の白い四角。何やらベルトコンベアー上を流れるざぶとんに見えますが、これは別にざぶとんではなく、お隣り車線を流れる周囲車両を示しています。自車の右だけ、左だけを表示するかと思いきや、自車が3車線の中央レーンにいるときは、液晶内では自車の両脇をざぶとんが流れていきました・・・だからといって、自分が最左または最右車線にあるとき、右2車線(左2車線)までは示してくれませんが、2代目CX-60ではきっと表示してくれるようになるでしょう。

ちょっと進んでしまっているが、ね、バイクでしょ
ちょっと進んでしまっているが、ね、バイクでしょ
先行車がバイクなら、メーターにもバイクを描く
先行車がバイクなら、メーターにもバイクを描く

また、先行車をクルマの絵にするのはめずらしくありませんが、先行車がバイクなら液晶でもバイクを示すほどになっています。ならば2代目CX-60では、ざぶとんがクルマのマークになるばかりか、トラックやバスまで描くようになることでしょう。実際、路線によって、時間によっては乗用車よりトラック、バスのほうが多いことがあるものです。

なお、メーターはドライブモード(NORMAL、SPORT、OFF ROAD)によって表示が変わり、任意にもうひとつ画面変更できると第3回で書きましたが、それがこのi-ACTIVSENSE画面のことで、マツダコネクトの設定画面で、このi-ACTIVSENSE表示に固定することもできます。つまりMRCC未使用時でも常時この画面表示にもできるというわけ。実質的には4種類になります。

全面液晶だからといって遊んでいないとも第3回で書きました。実際、よく考えて造ったものだと思いますが、情報過多であると思わなくもありません。

こんな感じ(これは筆者が画像加工して作ったもの。あくまでも提案です)
こんな感じ(これは筆者が画像加工して作ったもの。あくまでも提案です)

高速道路を淡々と走るときのために、「高速モード」があるといいでしょう。速度計と燃料計(と、距離計と航続可能距離も)以外の表示はすべて消し、最低限の表示だけにする。MRCC走行なら、その情報もシンプルに、控えめに表す。昔のクラウンやデボネアのデジタルメーター付車にありましたが、全面液晶ならそのへんはなお自在にできるでしょう。これも2代目CX-60でぜひ!

3.車線逸脱警報システム(LAS)

車線に寄ったりまたいだりすると、i-ACTIVSENSE内のレーン色がオレンジに変わる
車線に寄ったりまたいだりすると、i-ACTIVSENSE内のレーン色がオレンジに変わる

CTSと同じじゃないのといわれそうですが、あちらはMRCCと併用で機能するもの。自らアダプティブ走行するクルマが自分からレーン逸脱「しそう」になることさえあるはずはありません。

こちらはMRCCを使わない自前走行のシーンで、ドライバーミスなどでクルマが車線から外れそうになったとき、逸脱回避のためにクルマがハンドルをアシストしてくれるものです。

走り出してレーンを認識すると、液晶内の自車脇白線が緑色に変化。認識までの時間も短く、ドライバー肉眼では認識しづらい、古くなってかすれた白線もきちんと把握するのに感心。意図的にレーンをまたぎ気味にするとそれまで平和な緑だった液晶表示がオレンジ色になると同時にブザー警告します。このへんも造り慣れているだけにお手のもので、取り立てて述べる点はありません。

4.ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)

後方車両の接近を各種表示や警告音でドライバーに知らせる装置。

作動条件は次のとおりです。

1.車速約15km/h以上のとき。
2.システムが接近車両を検知しているとき。

接近車両を把握すると、ドアミラー内の接近表示灯とメーター表示、アクティブ・ドライビング・ディスプレイ(フロントガラス内の投影表示)への表示でドライバーに報知、接近車を検知している側にターンシグナルを灯すと警報ブザーとメーター表示で危険を知らせてきます。

これはどのクルマにも共通する、致し方ない点ですが、ミラー内に灯るランプが運転視界の中に入りません。ワイド車幅のCX-60なら特に左ドアミラーが遠くなるため、なおのこと点灯してもわからない。メーターにも表示されるからわかりはするとはいうものの、フロントピラー根元か、このクルマの場合はスピーカー(ツイーター)が備わっている、ドアガラス前方の三角パネル部にあると目につきやすくていいと思いますが、どうかな。

5.交通標識認識システム(TSR)

これもよく考えられています。

作動条件は、標識内容によって異なります。

【最高速度】
1.認識した標識を自車が通過したとき。
2.走行中、ナビ地図に収録されている最高速度標識をシステムが認識したとき。

のいずれかを満たしたとき。

【車両進入禁止】
・車両進入禁止標識を認識したとき。

【一時停止標識】
・一定速度以下で走行しているときに一時停止標識を認識したとき。

【追い越しのための右側部分はみ出し禁止標識】
・追い越しのための右側部分はみ出し禁止標識(長い!)をシステムが認識し、自車がその標識を通過したとき。

速度標識の数字を超える速度になると警告もされ、この警告は「表示のみ」「表示+ブザー」から選ぶことができます(もちろん機能自体OFFにもできる)。全体の流れに合わせて走ろうとすれば、実際には制限速度以上になるのが普通ですが、そうなるとブザー付きは常時鳴り続けてしまうので、一般的には「表示のみ」がいいでしょう。

「追い越しのための右側部分はみ出し禁止標識」も表示されるとにぎやかになる
「追い越しのための右側部分はみ出し禁止標識」も表示されるとにぎやかになる
制限速度が変わる標識までの距離とその数字が示される
制限速度が変わる標識までの距離とその数字が示される

また、ナビ付き車に限りますが、先々制限速度の切り替わりをナビ地図データから把握できている場合は、その最高速度と切り替わり地点までの残距離が表示されるのはちょっとしつこいと思いました。初め何のことかわからず、取扱説明書を見て意味を知りました。

よく考えられているというか、やむを得ず(?)速度超過すると、アナログ速度メーターのプロッティングに赤い帯が加わります。全面液晶メーターを活かしているなと思ったところで、やっぱりこのメーターは遊んでないヤ! ただ、制限速度を越えると標識マークのまわりにオレンジ色の点滅が加わるのもちょっとしつこいかな。

6.前側方接近車両認知(FCTA)
7.後側方接近車両認知(RCTA)

FCTAは発進時の前方の、RCTAは後退時のそれぞれ死角エリアからの接近車両の存在を報知しますが、その作動条件は以下のとおりです。

【前側方接近車両認知(FCTA)】
以下のすべての条件を満たしているときに作動。

1.車速が約10km/h未満のとき。
2.セレクトレバーがDのとき。
3.自車前側方から約5km/h以上で接近する車両をシステムが認識したとき。

【後側方接近車両認知(RCTA)】
以下のすべての条件を満たしたときに作動。

1.車両を後退させようとしているとき
2.システムが接近車両を検知しているとき

死角エリアからやってくる車両などを捉えたとき、メーターやアクティブ・ドライビング・ディスプレイ、360°ビューモニターに、二重の「く」の字のマークで警告します。その表示のようすは写真のとおり。

車体前後のデザインやバンパーがいくらかラウンドしているにしろ、各センサーは、全体的には真ん前・真後ろを向いているのに、FCTAもRCTAも、よくもまあこんな見えない側方の向こうの向こうまで捉えるものだと感心します。

見通しの悪い交差点ないしT字路でのFCTAは特に有効で、6気筒縦置きエンジン車でフードがなお長いCX-60でこそありがたみは大きいといえます。

ひとつ注文が。

車庫から出て幹線路に至るまで、見通しの悪い交差点がふたつみっつ連続する住宅街に住んでいる気の毒なひとも多いでしょう。筆者もそのクチですが、そのようなひとがモニターで死角の向こうを見たい場合、その都度スイッチを押して切り替えなければなりません。ナビ&360°モニター付車に限り、常用する死角交差点をユーザー任意で地点登録できるようにし、その地点に近づいたら自動で前方サイド表示に切り替えるといった機能を入れれば毎日の出勤・帰宅時の助けになり、「マツダってやさしい会社だね」となるでしょう。

ライト性能は「夜間走行」編、360°ビューモニターは「車庫入れ」編にあとまわし。

それ以外のi-ACTIVSENSE機能は、周囲に迷惑をかけるのと、万一の誤作動でクルマを損傷させる可能性が捨てきれないので、テストコースではない公道で試すことはしませんでした。

というわけで、話は次回「夜間走行」編に続けます。

(文・写真:山口尚志 図版:マツダ)

【試乗車主要諸元】

■マツダCX-60 XD-HYBRID Exclusive Modern〔3CA-KH3R3P型・2022(令和4)年8月型・4WD・8AT・ロジウムホワイトプレミアムメタリック〕

★メーカーオプション
・ドライバー・パーソナライゼーション・システムパッケージ 5万5000円(消費税込み)
・パノラマサンルーフ 12万1000円(同)
・ロジウムホワイトプレミアムメタリック特別塗装色 5万5000円(同)

●全長×全幅×全高:4740×1890×1685mm ●ホイールベース:2870mm ●トレッド 前/後:1640/1645mm ●最低地上高:180mm ●車両重量:1940kg ●乗車定員:5名 ●最小回転半径:5.4m ●タイヤサイズ:235/50R20 ●エンジン:T3-VPTH型(水冷直列6気筒DOHC24バルブ直噴ターボ) ●総排気量:3283cc ●圧縮比:15.2 ●最高出力:254ps/3750rpm ●最大トルク:56.1kgm/1500~2400rpm ●燃料供給装置:電子式(コモンレール) ●燃料タンク容量:58L(軽油) ●モーター:MR型 ●最高出力:16.3ps/900rpm ●最大トルク:15.6kgm/200rpm ●動力用電池(個数/容量):リチウムイオン電池 ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):21.0/18.0/21.2/22.4km/L ●JC08燃料消費率:- ●サスペンション 前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク ●車両本体価格505万4500円(消費税込み・除くメーカーオプション)