BEVの「Audi RS Q e-tron」でダカールラリーに挑むアウディ。2024年に向けてサウジアラビアでテストを実施

■14回の表彰台を獲得も、過酷な条件下でのテストで解決策を見出す

アウディは、2022年からバッテリーEVである「Audi RS Q e-tron」でダカールラリーに参戦しています。名手カルロス・サインツにより、EVで初となるステージ優勝を成し遂げるなど、初年度から上々といえる結果を残しています。

「Audi RS Q e-tron」によるサウジアラビアでのテストの様子
「Audi RS Q e-tron」によるサウジアラビアでのテストの様子

そして、2023年のダカールラリーでも「Team Audi Sport」は「Audi RS Q e-tron」で参戦。15日間の同ラリーで合計14回のステージトップ記録を獲得した一方で、様々なトラブルに遭遇しています。

タイヤの問題もテストされた
タイヤの問題もテストされた

電気ドライブコンセプトが完璧に機能した一方で、タイヤの問題によりマティアス・エクストローム/エミール・ベリークヴィスト、ステファン・ペテランセル/エドゥアール・ブーランジェ、カルロス・サインツ/ルーカス・クルスの各チームは、上位争いから後退してしまいました。

そこでチームは、2023年1月から行ってきた分析に加え、5月にサウジアラビアでテストを実施し、原因の調査を完了したそうです。

「Audi RS Q e-tron」の電動ドライブトレーンは高い信頼性を確認
「Audi RS Q e-tron」の電動ドライブトレーンは高い信頼性を確認

Audi Motorsportの責任者であるロルフ ミヒェルは、「私たちのテクノロジー、チーム、ドライバーとコ・ドライバーは、優勝争いに参加できるポテンシャルを秘めています。各ステージにおける結果は、それを証明しています。そのため、タイヤのパンクやその他の小さなトラブルによって、順位が後退してしまったことはとても残念です。解決策を見つける必要があり、テストで理論的な分析を行い、来年に向けての重要なステップとなりました」と振り返っています。

テストの様子
テストの様子

アウディのダカールラリー参戦パートナー「Team Q Motorsport」、マティアス・エクストローム、カルロス・サインツ、ステファン ・ペテランセルの3人のドライバーは、解決策を探るため、5月の第3週にサウジアラビアで数日間にわたって行われたテストに参加していました。

チームは、公式タイヤサプライヤーであるBF Goodrichの2種類のタイヤを使ってパフォーマンスを比較し、1月のレースで発生した状況を再現するために、様々なテストコースで走行を実施。

エンジニアは、グラベル(砂利)と砂を含む約13kmの高速コースでパフォーマンス面の調査を行い、石の多い約11kmのコースでは耐久性とダメージの種類に重点をおいてテストを実施。

シャーシは、荒れた路面でも安定して動作する必要があるため、ショックアブソーバーにも焦点が当てられ、シャーシに設置された荷重と加速度の測定センサーが分析をサポートしたそうです。

サウジアラビアを駆ける「Audi RS Q e-tron」
サウジアラビアを駆ける「Audi RS Q e-tron」

サウジアラビアで行われたこのテストは、最高42度の気温と度重なる強風もあり、厳しい条件下で行われました。「Audi RS Q e-tron」は、問題なくテストを完了。2568kmにわたって高い信頼性を示し、革新的なコンセプトの成熟度を示しただけでなく、厳しい日程の中でプログラムを終えています。

テストでは、技術的な調査から得られた成果に加えて、意思決定やドライビングスタイルの面でも貴重な知見を得ることができたそう。アウディとQ Motorsportは、2024年のダカールラリー参戦と制覇に向け、次のステップの準備に取り組んでいます。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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