■150kW急速充電に対応するキット(サービス)を無償で提供
バッテリーEV(BEV)ユーザーにとって、重要な関心事なのが充電環境といえるでしょう。
アウディ ジャパンは、BEVの「Audi e-tron」専用の150kW急速充電「レトロフィットキット」を、2023年6月初旬から全国のアウディe-tron店を通じて、対象車両に装着するサービスを開始しました。
アウディ初のBEVである「Audi e-tron」「Audi e-tron Sportback」は、同ブランドの電動化戦略である「Vorsprung 2030」の象徴的なモデルとして、世界で約16万台(2022年末時点)を販売しているヒット作です。
日本には、2020年9月に「Audi e-tron Sportback1st edition」として上陸し、その後「55」が設定されています。2021年1月に、「Audi e-tron 50 quattro」「Audi e-tron Sportback 50 quattro」が発表されています。当時では急速となる50kW充電器対応モデルとして販売をスタートしています。
これらの中の対象モデルに150kW急速充電の「レトロフィットキット」を装着することで、「Audi e-tron 55 quattro」「Audi e-tron Sportback 55 quattro」「Audi e-tron S」が150kW急速充電に対応することになります。「Audi e-tron 50」は、120kW急速充電に対応となります。
150kW急速充電器が設置される全国のe-tron店やアウディ ジャパンが、ポルシェ ジャパン、フォルクスワーゲン ジャパンと事業展開している「Premium Charging Alliance(PCA)」 のサービスで利用できる150kW急速充電器の性能をフルに享受できるようになります。加えて、公共の150kW急速充電器でも充電時間を大幅に短縮することが可能になり、利便性が大きく向上します。
今回の充電能力を最大150kWにまで引き上げるサービスは、2023年6月初旬より順次対象モデルを拡大しながら、対象のユーザーにアウディe-tron店から連絡が入るそうです。同サービスは無償で提供され、すでに市場に投入されているモデルの商品力改善、残存価値向上に寄与するとしています。
先述したように、BEVを所有する上で重要な充電性能の向上が図られることになります。
急速充電を繰り返すことは、バッテリー性能の維持にとって賢明とはいえません。普段は自宅などでの普通充電を基本としつつも、専用の150kW急速充電「レトロフィットキット」により、Audi e-tron、Audi e-tron Sportbackは、ロングドライブなどでの利便性が向上することは間違いないでしょう。
(塚田 勝弘)