■普段乗っていない大型スポーツバイクや電動コミューター「E01」なども人気
ヤマハ発動機の広報グループが発信しているニュースレターは、同社グループの多様な活動が対象になっています。
今回のテーマは、「バイクレンタル」。ヤマハ発動機販売が「ヤマハ バイクレンタル」を開始してから間もなく5年を迎えます。
2023年5月現在、登録会員数は4万人を超え、貸出窓口の加盟店は全国78店に達しています。レンタル専用車として配備する車両も50㏄スクーターの「Vino」をはじめ、大型スポーツバイクの「MT-10」や「YZF-R7」など、ラインナップも拡充されています。
ヤマハ発動機販売でレンタル事業を担当する中居秀仁さんは、
「オートバイの新車購入者のうち、20~30歳代が全体の約20%を占めています。バイクレンタルの利用者は若い人がより多く、約半数が20~30歳代になっています。
二輪業界全体の課題である若年層とのつながり、という点でレンタル事業は有効なアプローチです。過去5年間の運営でユーザーニーズや顧客の好み、またメーカーならではの強みなどが改めて確認できました。
改善や新しい価値を加えながら、顧客にとってより使いやすいシステムでのレンタルの利用を広げたいですね」
と手応えと意気込みを語っています。
販売会社である同社がレンタル事業をスタートさせた背景には、「休眠ライダー」や「断念ライダー」の存在があるそうです。
結婚や出産を境に、愛車を手放すケースの多い30~40代のライダーたちに対し、愛車の所有を問わないかたちで「バイクとのつながり」「ヤマハとのつながり」を持ち続けてもらいたいという提案の意味が込められていたとのこと。
「蓋を開けてみると、我々が想定していた以上にバラエティに富んだ理由、目的でレンタルが活用されています。たとえば、免許は取得したけれども購入はまだという例もあり、操作フィーリングを忘れたくないから、3ヵ月に1度のレンタルツーリングを楽しんでいる、という方もいらっしゃいました」
と中居さんは振り返っています。
さらに興味深いのは、レンタル利用者のうち2人に1人は、すでにオートバイを所有しているというデータ。
「そうした方は、旅先でレンタルをされたり、買い替え前にじっくりと検討したりするために利用されています。特に乗ってみたいという声が多いYZF-R7をはじめ、まだ市販されていない電動コミューターのE01を今春から新たに配備しました。こうしたことができるのも、私たちメーカーの強みだと考えています」
と中居さん。
日本自動車工業会が掲げる「二輪車産業政策ロードマップ2030」の中で実施施策として挙げられている「保有以外の二輪車利用の拡大」。環境の整備や利用者の拡大はもちろん、多様なニーズに応えることで、バイクレンタルの可能性はより広がるはずです。
(塚田 勝弘)