目次
■レクサスLXやランクルに近いサイズ感
メルセデス・ベンツ日本は、2023年5月29日(月)に新型車「EQS SUV」の国内販売をスタートしました。
ラインナップは出力違いの2グレードで、「480 4MATIC」が1542万円、「580 4MATIC Sports」が1999万円という価格設定となっています。
EQS SUVは、メルセデス・ベンツでいえばフルサイズSUV「GLS」のポジションに相当するピュアEVモデル。EV専用のプラットフォーム「EVA2」(セダンのEQS、EQEと共有)を最大限に活かしきったルーミーな室内には、3列7座のシートレイアウトを採用しています。
車体寸法は全長5130×全幅2035×全高1725mmで、GLS(全長5210×全幅1955×全高1825mm)よりもわずかに短く、広く、低いボディが与えられています。国産車だと、レクサスLX(全長5100×全幅1990×全高1885mm)やトヨタ・ランドクルーザー(全長4985×全幅1980×全高1925mm)あたりに近いサイズ感といえるでしょう。
●航続距離は最長593km
「450 4MATIC」は最高出力360ps/最大トルク800Nm、「580 4MATIC Sports」は最高出力544ps/最大トルク858Nmを発揮します。参考までに、GLSのV8搭載仕様の最高出力は489ps/5500rpm、最大トルクは700Nm/2000〜4000rpm。
内燃機モデルを余裕で上回る出力・トルクを瞬間的に発生させることができるのは、フル電動モデルならではです。
航続距離は、「450」が593km、「580」が589km。いずれも前後にモーターを備える4WDで、いざとなれば悪路も行ける「オフロード」モードも用意しています。
搭載するリチウムイオンバッテリーの容量は107.8kWhで、6.0kWまでの普通充電と、150kWまでの急速充電(CHAdeMO規格)に対応しています。メルセデス・ベンツの社内検証による充電参考時間は次のとおり。
50kWタイプ
充電時間(10〜80%):100分
30分での充電量(10%から開始):30%
90kWタイプ
充電時間(10〜80%):53分
30分での充電量(10%から開始):49%
150kWタイプ
充電時間(10〜80%):49分
30分での充電量(10%から開始):58%
なお、リチウムイオンバッテリーには、環境に配慮しコバルト含有量を10%削減した、ニッケル:コバルト:マンガンの比率が8:1:1のNMC811を使用しています。
●輸入車では珍しい給電機能付き
日本仕様のEQS SUVで見逃せないポイントといえば、車外への給電機能を有しているという点。国産BEVやPHEVでは「ついてて当たり前」とも思われているV2H/V2Lですが、輸入車で採用しているモデルはそう多くないんです。
BYDやヒョンデといったアジア勢は対応しているものの、ヨーロッパ勢はほぼ未対応。その中で、メルセデス・ベンツはEQS、EQE、そして今回のEQS SUVも含めて、日本仕様には給電機能をしっかりともたせています。ここはメルセデス・ベンツ日本がマーケットの「声」をよくキャッチしている証でしょう。
ダッシュボード一面をガラスディスプレイで覆い尽くした未来感あふれる「MBUXハイパースクリーン」は、「450」にオプション設定、「580」に標準装備。
MBUXハイパースクリーンは、コクピット用(12.3インチ)、センター用(17.7インチ)、助手席用(12.3インチ)の3つの画面を幅1.4mの1枚ガラスで覆ったもの。
それぞれの画面に異なるコンテンツを表示できるのはもちろん、運転席にはカメラを利用した高度な「ブロック機能」を搭載。パッセンジャーが自分の前の画面で映画などを楽しんでいるとき、ドライバーが助手席側ディスプレイの方を見るとカメラが認識し、ディスプレイを減光して見えなくする仕組みになっているんです。
サスペンションはフロントが4リンク式、リヤが5リンク式で、すべての仕様に電子制御式ダンパーと空気ばねが組み合わされた“エアサス”が標準装備されています。また、後輪操舵(最大舵角4.5度)ももれなくついてくるため、最小回転半径は5.1mと、全長5m超えのクルマとは思えない取り回しやすさを実現しています。
●光るスリー・ポインテッドスターを採用!
「そんな小さなことを!」とお叱りを受けるかもしれませんが、個人的に気になったのが“光るスリーポインテッドスター”。
最新のメルセデス・ベンツのフロントグリル内に嵌まっているスリーポインテッドスターは、超音波センサーやカメラ、レーダーなど、運転支援システムに使う様々なセンサー類を内蔵するカバーとしての役割も果たしています。
今回はこのカバー部をバックライト付きとすることで、メルセデスのシンボルであるスリーポインテッドスターが煌々と光り輝く仕組みになっているんです。これはメルセデス・ベンツでは初の試み。
フル電動化でフロントマスクまわりがのっぺりする(=空力性能向上のため)傾向にある昨今、デザインで差を付けるためにライト演出にこだわるメーカーが増えています。
メルセデス・ベンツがいち早く行った“エンブレムそのものを光らせて看板化”するというこの手法、他メーカーからも出てくるような気がしてなりません。
(文:三代やよい)
【関連記事】
- メルセデス「AMG EQE 53 4MATIC+」は「ワープしそうな加速!」と清水和夫もビックリ
https://clicccar.com/2023/05/12/1282356/ - メルセデス・ベンツの2023年が丸わかり!? 新型モデルの計画資料が流出
https://clicccar.com/2023/04/15/1276108/ - 「メルセデス・マイバッハ・コンセプトEQS」の市販型は2200万円か?
https://clicccar.com/2023/04/06/1273584/ - メルセデス「マイバッハ」初のEVクロスオーバーは4月18日公開へ。車名は「EQS 680」に決定
https://clicccar.com/2023/04/05/1273794/