■ダイムラートラック、三菱ふそうトラック・バス、日野自動車、トヨタ自動車が「CASE」対応を加速させる
2022年3月に日野自動車の排出ガス、燃費性能試験の不正問題が表面化し、再建を目指している中、日野自動車と三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)が統合するというニュースが飛び込んできました。MFTBCと日野は、対等な立場で統合するとアナウンスされています。
なお、新会社の名称や所在地、体制や協業範囲や内容は、協議の上で2024年3月期中の最終契約締結、24年中の統合完了を目標として進めるそう。関係者すべてが合意に達し、関連する取締役会、株主、当局の承認のもと進めるとしています。
MFTBCの親会社であるダイムラートラック社、MFTB、日野自動車、トヨタ自動車は、2023年5月30日(火)、MFTBCと日野を統合する基本合意書を締結。
「CASE」技術開発の加速や水素の活用を目指す、という狙いも強調されていますが、日野によるエンジン不正問題がなければ、このタイミングでの統合はなかったのかもしれません。
トヨタの佐藤恒治社長は、CASE技術は広く普及するのが大切で、競争だけでなく力を合わせて4社での協業でCASEの普及を目指すとしています。統合する両社を支えながら、4社が集うことで可能性が高まるとしています。
中でも水素領域では、4社のシナジー効果が高く期待できるとしています。4社は水素モビリティの普及を目指すと表明しています。ダイムラートラックのマーティン・ダウムCEOとは、CASE技術の普及にはスケールが必要であると確認したそうです。
そのダイムラートラックのマーティン・ダウムCEOは、トラック、バスの明日(将来)はゼロエミッションでなくてはならないとしています。すでにeキャンターを発売しているMFTBC。ゼロエミッションを実現するため投資が必要と説明し、水素、安全などの技術開発には、スケールが必要と続け、日本の商用大手3社のうち、2社を統合させ、新会社は、ダイムラートラックのすべての技術にアクセスできるとしています。
MFTBCのカール・デッペン社長兼CEOは、小型トラックのリーダーとして先日、新型eキャンターを発表しましたが、今後のCASE対応には莫大な投資や資源、専門性、知見が必要と強調。単独でできる範囲を超えていて規模が必要であり、専門性をはじめ、インフラや販売ネットワークなどを誇る日野自動車以上に最適なパートナーはいない、と表現。アジア地域におけるリーダーになり得ると期待を寄せています。
この協業により、今でのライバルが対等の立場で手を結ぶことで、すべての関係者にとって「ウィン-ウィン」であることが重要だとしています。トヨタ、日野向けて「ありがとう、ようこそ」と表現しています。
日野自動車の小木曽 聡社長は「認証不正問題を重く受け止め、3つの改革を進めています」とコメント。ユーザーの信頼を取り戻すため、全社を挙げて対応。立て直しを図る中で日野ブランドを守るため、販売会社やユーザーなどから協力が得られているとしています。
100年に一度の大変革期の中、ドライバー不足や交通事故などの課題、カーボンニュートラルなどの対応するため、検討し続けた結果、カーボンニュートラルなどへの環境変化への対応は、日野単独では難しいと悩んできたそうです。4社の枠組みを千載一遇の機会と捉え、移動を支え、社会に貢献したいという想いのもと、将来に向けて前を向く構えです。
三菱ふそうと日野は、東南アジアに早くから進出し、将来もこの協業が必要と強調しています。
ダイムラートラック、MFTBC、日野とトヨタは、グローバルでの「CASE」技術開発、商用車事業の強化を通じたカーボンニュートラルの実現を目指すとしています。先述したように、MFTBCと日野は、対等な立場で統合し、商用車の開発、調達、生産分野で協業し、世界的に競争力のある日本の商用車メーカーを構築するとしています。
また、ダイムラートラックとトヨタは、両社統合の持株会社(上場)の株式を同割合で保有するそうで、現時点では、どちらかが買収するような流れではないようです。
(塚田 勝弘)