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■ヤマハVR46マスターキャンプで腕を磨く
ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)と、世界的な2輪レース「MotoGP」などで9度の世界王者に輝いた英雄「バレンティーノ・ロッシ」さんがタッグを組んで実施しているのが、若手ライダー育成プログラムの「ヤマハVR46マスターキャンプ(Yamaha VR46 Master Camp)」。
ロッシ選手が主宰し、数々の実力派ライダーを生み出している「VR46ライダーズ・アカデミー(VR46 Riders Academy)」と共に実施するこのプログラムは、2023年で12回目を迎えますが、その参加ライダーに日本の若手ライダー・15歳の山根昇馬選手が選抜されたことが決定。
未来のMotoGPライダーを目指し、イタリアでトレーニングを行うことが発表されました。
●ロッシのプライベートコースで特訓
ヤマハVR46マスターキャンプは、前述の通り、ヤマハとロッシさんが主宰するVR46ライダーズ・アカデミーが共同で行っている若手ライダー育成プログラムです。
例年、世界各地から注目の若手ライダーたちを選抜し、レースをはじめさまざまな分野の専門家によって、ライディング・テクニックやプロライダーとしての意識向上などを目標としたプログラムを実施。
2023年の開催では、ロッシさんが所有するプライベートコース「VR46モーターランチ(VR46 Motor Ranch)」を舞台に、オフロードのフラットトラックやモトクロスコースなどで、ヤマハの市販モトクロッサー「YZ250F」や「YZ125」を使ったトレーニングを行う予定。
また、同じくヤマハの320ccスーパースポーツ「YZF-R3」やミニモトクロッサー「YZ85」を使ったMiniGP、さらにはゴーカートでの走行も体験することになっています。
そして、こうしたセッションのすべてに、ロッシ選手の愛弟子であるVR46ライダーズ・アカデミー所属の先輩ライダーたちが加わって指導を実施。
注目は、Moto2世界選手権に出場中のマニュエル・ゴンザレス選手もサポートしてくれること。MotoGPの登竜門といえるクラスで、実際に体感した経験や知識をライダーたちに伝えるといいます。
●将来のMotoGPライダーを目指して奮闘中
そんなヤマハVR46マスターキャンプに、今回は欧州や南米、アジアから計6名のライダーが参加予定。
エドワルド・バー選手(16歳/ブラジル)、ダビット・ノワク選手(14歳/ポーランド)、マーク・ビック選手(16歳/スペイン)、クリッタパット・ケアンクム選手(18歳/タイ)、トゥラキット・ブアパ選手(19歳/タイ)といったライダーたちに加え、日本からは前述の山根昇馬選手が選出されています。
山根選手は、2022年に「MFJカップ JP250 ナショナルクラス」の年間チャンピオンを獲得した注目株。
2023年は、今回参加するほかのライダーと共に、ヤマハモーターヨーロッパ(Yamaha Motor Europe)の「ヤマハbLU cRUヨーロピアン・チャンピオンシップ(Yamaha bLU cRU European Championship)」に参戦中で、将来のMotoGPライダーを目指して奮闘中です。
●ミニバイクレース時代から激しい走りを披露
ちなみに、筆者は、2020年に、まだ中学1年生だった山根選手の参戦レースを取材したことがあります。当時、元MotoGPライダーの「中野真矢」さんが若手育成を目的に結成したレーシングチーム「56レーシング」に所属し、ミニバイクレースに参戦していました。
彼の走りを見たのは、埼玉県にあるサーキット秋ヶ瀬で開催された「モトチャンプ杯」というミニバイクレースの大会。この大会はバイク雑誌「モトチャンプ(三栄刊)」が後援する歴史あるミニバイクのシリーズ戦です。
舞台となるサーキット秋ヶ瀬はかなりトリッキーなコースで、レースには走り方を熟知した実力派のベテランライダーも数多く参戦していました。
そんな中、中学1年生の山根選手はベテラン勢を押しのけるほど激しいバトルを披露し、トップを狙っていました。ところが、途中で残念ながら転倒。諦めずに再スタートし、なんとか完走はしましたが、成績は今ひとつ。その時の山根選手の悔しそうな顔が、とても印象的でした。
いずれにしろ、当時からかなりアグレッシブな彼の走りは、将来のトップライダーを期待させる才能を十分に感じさせるものでした。
ヤマハと英雄ロッシさんが関わる若手育成プログラムを経験することで、ぜひMotoGPライダーへのステップを着実に歩んでもらいたいと思います。
(文:平塚直樹)