ホンダが原付一種の電動スクーター「EM1 e:」を正式発表。一般ライダー向けではホンダ国内初のモデル

■市街地などの普段使いに便利な装備も満載

カーボンニュートラル実現に向けた電動化シフトの潮流は4輪車だけでなく2輪車にも徐々に押し寄せてきていて、各メーカーはさまざまな取り組みや新型モデルの開発を行っています。

ホンダ・EM1 e:(デジタルシルバーメタリック)
ホンダ・EM1 e:(デジタルシルバーメタリック)

そんな中、ホンダは原付一種(第一種原動機付自転車)の電動2輪パーソナルコミューター「EM1 e:(イーエムワン イー)」の販売に関する詳細を、2023年5月19日に発表しました。

ホンダでは、従来から「ベンリィ e:」や「ジャイロ e:」「ジャイロキャノピー e:」など、ビジネス向けの電動バイクは販売していましたが、今回発表されたEM1 e:はホンダ国内2輪ラインアップで初となる一般向け電動スクーター。

2023年3月〜4月の大阪・東京・名古屋のモーターサイクルショーでは、市販予定車が国内初お披露目されましたが、いよいよその正式販売モデルが、2023年8月24日より発売を開始するといいます。

●交換式バッテリーのホンダ モバイルパワーパックe:を採用

EM1 e:は、「ちょうどe:(いい)Scooter」を開発コンセプトに、通勤や通学、買い物など、普段使いでの使い勝手を考慮した装備や、電動バイクならではの静粛性や優れた環境性能を持つモデルです。

外観には、シンプルでスリムな直線基調のデザインを採用。特にヘッドライトには、凹凸のないフラッシュサーフェスのシンプルなデザインを用いることで、親しみやすく愛嬌のあるフロントフェイスを演出しています。

ホンダ・EM1 e:(パールサンビームホワイト)
ホンダ・EM1 e:(パールサンビームホワイト)

車体サイズは、全長1795mm×全高680mm×全幅1080mm、ホイールベース1300mで、車両重量は92kg。

小柄で軽量な車体やシート高740mmによる良好な足着き性などで、幅広いユーザーが扱いやすいボディとなっています。

パワートレインには、後輪に内蔵したコンパクトなインホイールモーターを採用。最高出力1.7kW(2.3ps)/540rpm、最大トルク90N・m(9.2kgf-m)/25rpmを発揮する定格出力0.58kWのモーターは、一充電あたりの走行距離53km(30km/h定地走行テスト値)を実現。市街地などの近距離走行であれば、十分な航続距離を確保しています。

ホンダ モバイルパワーパックe:(右)と専用充電器のホンダ パワーパックチャージe:(左)
ホンダ モバイルパワーパックe:(右)と専用充電器のホンダ パワーパックチャージe:(左)

動力源となるバッテリーには、ホンダが開発した交換式の「ホンダ モバイルパワーパックe:(Honda Mobile Power Pack e:)」を1個搭載。前述のベンリィ e:やジャイロ e:、ジャイロキャノピー e:などの電動ビジネスバイクと同様のバッテリーをシート下に装備します。

車体から取り外したホンダ モバイルパワーパックe:を、外部電源と繋いだ専用充電器「ホンダ パワーパックチャージe:(Honda Power Pack Charger e:)」と接続することで充電できます。ゼロの状態から満充電までは約6時間です。

●シート下にはラゲッジボックスも装備

EM1 e:では、普段使いに便利な数々の装備を持つことも注目です。まず、シート下には、バッテリー搭載スペースのほかに、グローブなど小物の収納が可能なラゲッジボックスを確保。また、降車時に便利なヘルメットホルダーも装備します。

ホンダ・EM1 e:(パールサンビームホワイト)
ホンダ・EM1 e:(パールサンビームホワイト)

フロント部の内部には、500mLのペットボトルも入るフロントインナーラックや、スマホなどの充電に便利なUSB Type-Aソケットを標準装備しています。さらに、買い物袋などが掛けられるコンビニフックも備えることで、高い利便性を誇ります。

ほかにも、フロント12インチ、リヤ10インチのホイールを採用することで安定した走行性能を発揮。ブレーキシステムには、前・後輪に適切な割合で制動力を配分する独自のコンビブレーキ(前・後輪連動ブレーキ)を装備し、制動時の高い安全性などに貢献します。

車体色は、シンプルでクリーンなイメージの「パールサンビームホワイト」と、クールで都会的なイメージの「デジタルシルバーメタリック」の計2色を設定。価格(税込)は29万9200円です。

ホンダが初めて一般向けに販売する原付一種の電動スクーターが、どんな乗り味などを持つのか? 発売が開始されたら、ぜひ一度試乗してみたいものです。

(文:平塚直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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