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■上級感と快適性を追求した高級ミニバンのパイオニア
1997年(平成9年)5月19日、日産自動車から高級ミニバン「エルグランド」が発売されました。
目指したのは、ファーストクラスのミニバン。上級感と快適性を追求した室内に、高級装備を満載した高級ミニバンのパイオニアとして大ヒットしました。
●日産から国内最上級ミニバンが誕生
1990年代は、RVとともに、ちょうどミニバンブームにも火がついた頃で、日産がターゲットにしたのはファーストクラスのミニバンでした。
上級感と快適性を追求した室内に、2列目は回転対座シート、3列目は横に跳ね上げる方式とし、7人/8人乗りに対応できる様々なシートアレンジを用意。パワートレインは、3.2L 直4ディーゼルターボ、および3.3L V6ガソリンエンジンンと4ATの組み合わせ。駆動方式はFRと4WDが設定されました。
さらに装備についても、ナビとTVが楽しめるツインナビゲーションやスーパーサウンドシステム、オゾンセーフフル・オートデュアルエアコンなどで高級感を演出。車両価格は、FRのハイグレードが359.8万円、4WDのハイグレードが389.8万円でした。
高級ミニバンという新しいジャンルを開拓したエルグランドは、発売開始から19ヶ月で累計台数10万台を突破する大ヒットを記録。ところが、2002年にトヨタからライバル車「アルファード」が発売されると、エルグランドは徐々に失速し始めます。
●ライバルとして立ちはだかったアルファード
エルグランドから遅れること5年、2002年にトヨタのアルファードがデビューしました。
落ち着いた気品あるデザインと、木目やメッキパーツなどを多用したゴージャスなインテリア、さらに豊富なシートアレンジの3列シートによって、最上級の快適性と高級感を実現。パワートレインは、2.4L直4DOHCと4速AT、および3.0L V6 DOHCエンジンと5速ATの組み合わせを用意し、翌年にはエルグランドにはないハイブリッド仕様が追加されました。
アルファードの特徴は、FRベースのエルグランドとは異なるFFベースのミニバンであること。FFプラットフォームを利用した圧倒的な室内空間と豪華な装備によって、発売直後から大ヒット、あっという間に高級ミニバントップの座をエルグランドから奪取したのです。
●FF化で巻き返しを図るも、アルファードには届かず
2002年にモデルチェンジした2代目エルグランドも、初代のようには販売は伸びず。
挽回のためにアルファードと同じFFに変更して2010年に登場したのが3代目です。
FF化によって、床下にプロペラシャフトを通す必要がなくなり、低床化と全高の低下が可能となり、スマートなフォルムと低重心で安定した走りが実現。また、フロントウインドウに遮音ガラス、天井には吸音材、フロアには防振材が多用され、静粛性も大きくレベルアップしました。
機能を高めた3代目は、高級ミニバンバンブームの勢いで堅調な販売を続けましたが、結局ライバルのアルファードの勢いを止めることはできず、その後もアルファードの後塵を拝することになったのです。
高級ミニバンのパイオニアとして大ヒットした初代エルグランドですが、3代目誕生から13年経過した今冬(2023年)頃にモデルチェンジが計画されているようです。4代目は、日産の切り札である「VC(可変圧縮比)ターボ+e-POWER」搭載が有力とされており、打倒アルファード/ヴェルファイアなるか、楽しみですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)