高級車トヨタ「ソアラ(Z30系)」3代目、481万円でデビュー。「レクサスSC」として北米進出、国内での人気は減速【今日は何の日?5月7日】

■レクサスSCとして北米に進出し次なる方向性

3代目ソアラの後ろ外観。初代、2代目とは異なる丸みを帯びたフォルム
3代目ソアラの後ろ外観。初代、2代目とは異なる丸みを帯びたフォルム

1991(平成3)年5月7日、1980年代にハイソカーとして一世を風靡した初代、2代目「ソアラ」に続いて、3代目がデビューしました。

3代目は「レクサスSC」として北米に進出して人気モデルとなりました。しかし、日本では初代や2代目のようなヒットモデルにはなりませんでした。


●先端技術を結集してハイソカーの火付け役となった初代

日本がバブル景気に向かっていた1981年、トヨタから高級スペシャリティカーの初代ソアラ(Z10系)がデビューしました。

1981年に誕生した初代ソアラ。ハイソカーの火付け役として大ヒット
1981年に誕生した初代ソアラ。ハイソカーの火付け役として大ヒット

クリーンノッチバックと呼ばれたシャープなエッジを持った上品かつスポーティなフォルムと、多彩なエレクトリック技術を採用した豪華なインテリアが、大きな注目を集めました。

搭載エンジンは2種あり、新開発の国内最高出力170PSを誇る2.8L直6 DOHCと2.0L直6 SOHCエンジン。さらに足回りについても、コイルスプリングを用いた4輪独立懸架、4輪ディスクブレーキなどが採用され、優れた走りと上質な乗り心地が自慢でした。

1996年にデビューした2代目ソアラ 。バブルの勢いで大ヒットモデルに
1996年にデビューした2代目ソアラ 。バブルの勢いで大ヒットモデルに

高級車ながらスポーティなイメージが強調されたソアラは、多くの若者にも支持され、特にスーパーホワイトと呼ばれた白いソアラは大人気となり、一大旋風を巻き起こしました。

1986年に登場した2代目(Z20系)は、バブル景気の勢いに乗ってハイソカーブームをけん引。初代のキープコンセプトながら、より洗練されたスタイリングで圧倒的なパーフォーマンスを発揮しました。

2代目ソアラは、バブル期と重なったこともあり、販売台数は初代を超え、400万円を超える最上級モデルが飛ぶように売れたのです。

●グローバルモデルとなった3代目は、国内では人気が低迷

そして1991年に登場した3代目ソアラ(Z30系)は、初代と2代目が採用した直線基調のフォルムを、曲面で構成されたフォルムに一新。また、3代目からは「レクサスSC」という車名で北米に進出、グローバルモデルとなりました。

エンジンは、2.5L直6 DOHCツインターボと4.0L V8 DOHCエンジンのパワフルな2機種に変更。そのほかにも、4輪ダブルウィッシュボーン、世界初のアクティブ4WS、さらに最上級モデルにはアクティブサスペンションなど新しい技術や装備を満載し、先代にも増して高級感をアピールしたのです。

レクサスSCは、北米で人気モデルとなり、レクサスブランドの知名度アップに一役買いましたが、日本では初代や2代目のようなヒットにはなりませんでした。輸入車に比べれば481万円というリーズナブルな価格でしたが、バブルの崩壊や高級パーソナルクーペの低迷など、飛ぶように高級車が売れた時代が終焉した最悪のタイミングでの登場だったのです。

●4代目ソアラを最後に名車ソアラの歴史が終焉

2001年に登場した4代目(Z40系)ソアラは、3代目の流れを引き継いで北米をはじめとする海外市場を重視した高級クーペとなりました。

2001年に登場したコンバーチブルの4代目ソアラ
2001年に登場したコンバーチブルの4代目ソアラ

流線型のフォルムに、当時のトヨタのフラグシップ「セルシオ」と同じ最高出力280PSの4.3L V8 DOHCエンジンと電子5速ATを組み合わせたパワートレインを搭載。最大のアピールポイントは、電動で開閉できる「電動格納式メタル(アルミ)トップ」の採用でした。

しかし、この4代目を最後に名車ソアラの名前は消滅、2005年に「レクサスSC(コンバーチブル)」へ一本化されましたが、そのレクサスSCも2010年に生産を終了しました。


3代目ソアラは、バブルの崩壊や高級パーソナルクーペの低迷など、飛ぶように高級車が売れた時代が終焉した最悪のタイミングでの登場でした。バブルが崩壊した1990年代は、一世を風靡した多くの高級セダンが一気に沈み込んだ時代だったのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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