トヨタ「イスト」販売終了。3ナンバー化した2代目は価格159万~215万円に上昇し人気急落【今日は何の日?4月29日】

■初代イストは大ヒット、続く2代目は人気急落し販売を終える

2007年にデビューした2代目イスト。3ナンバー化したことで人気が下降
2007年にデビューした2代目イスト。3ナンバー化したことで人気が下降

2016年(平成28)年の4月29日、トヨタの「イスト(ist)」が販売を終えました。

2002年にデビューした初代イストは、上質な5ドアのハッチバックコンパクトカーとして大ヒットしました。2007年に続いた2代目は、3ナンバー化によって中途半端な位置づけとなり人気が低迷、販売を終えました。


●ワンクラス上のコンパクトカーとして大ヒットした初代イスト

コンパクトカーとして大ヒット、1999年にデビューした初代ヴィッツ
コンパクトカーとして大ヒット、1999年にデビューした初代ヴィッツ

初代イストは、2002年に「ヴィッツ」のプラットフォームをベースに、ヴィッツよりひと回り大きいクロスオーバーSUV風5ドアハッチバックとしてデビューしました。

2002年にデビューし、大ヒットした初代イスト
2002年にデビューし、大ヒットした初代イスト

ボディに合わせて張り出したホイールアーチと大径タイヤが特徴で、パワートレインはVVT-i(可変バルブ機構)を採用した1.3L&1.5L直4 DOHCエンンジンと4速ATの組み合わせ。

駆動方式は、FFとフルタイム4WDが用意され、さらに進化版の衝突安全ボディGOAや、歩行者障害軽減ボディなどを採用して、環境性能と安全性能にバランスの取れたモデルでした。

SUVテイストあふれる個性的なフォルムと広い室内空間、充実した装備の割には、割安な価格設定118万~165万円だったので、たちまち人気モデルに。発売1ヶ月で約4万2000台の受注を獲得する大ヒットを記録したのです。

●北米を重視してボディを拡大した2代目は人気低迷

人気のイストは、2007年にモデルチェンジして2代目に移行。初代の途中から北米でも販売されるようになり、2代目は当初から北米を重視して開発、スタイリングはダイナミックなスカルプチャーデザインとなり、1695mmだった全幅が1725mmに拡大して、3ナンバーサイズとなったことが特徴です。

2012年にマイナーチェンジした最後のイスト
2012年にマイナーチェンジした最後のイスト

エンジンも、ボディの拡大に合わせて1.3Lから1.5L/1.8L 直4 DOHCエンンジンに変更、1.5LにはCVT、1.8Lには北米を意識して4速ATが組み合わされました。駆動方式はFFが基本ですが、SUVテイストを意識して1.5Lには4WDも用意されました。

2代目イストは、車両価格も159万~215万円に上昇して世界戦略車と位置付けられ、北米では「サイオンxD」、欧州では「アーバンクルーザー」の車名で販売。しかし、2代目の人気は急落して2016年に販売を終えたのです。

●3ナンバー化によって価格が上昇し、中途な半端な存在に

2代目が日本で評価されなかった理由は、米国を意識してボディが大きくなって3ナンバー化されたことに尽きます。日本では、3ナンバー車は、大きくて高級車というイメージがあります。

コンパクトカーでデビューしたのに3ナンバーに変わり、価格が上昇、しかも排気量が1.8Lとなり税制的にも不利になったことが、多くのユーザーには許容できなかったと予想されます。また、コンパクトカーとSUVの中間的な位置づけが中途半端になり、人気を落とした要因ではないでしょうか。


コンパクトカーといえど、北米重視のグローバルモデルになると、日本市場ではやや大きすぎてターゲットにズレが生じて、人気が獲得できないということはよくあることです。2代目イストも、グローバル化が日本市場で命取りとなったと思われます。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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