ホンダ「ライフ」2代目デビュー。ハイトワゴンとなって90万~116万円で復活は初代ライフから23年振り【今日は何の日?4月27日】

■ハイトワゴンとして投入されるもわずか1年半で3代目にバトンタッチ

1997年に23年振りに復活した代目ライフ
1997年に23年振りに復活した代目ライフ

1997年(平成9年)4月27日、ホンダから2代目「ライフ」(JA4型)が発売されました。

初代ライフは1971年にデビューし、ヒットしながらも1974年に生産を終了。23年の時を経て待望の復活を果たしたのが2代目ライフです。


●名車N360を源流とする初代ライフ(SA型)デビュー

初代ライフは、今から52年前の1971年に誕生しました。1967年にデビューして大ヒットした名車「N360」を源流とする「NIII360」の後継モデルです。

1971年に誕生した初代ライフ
1971年に誕生した初代ライフ

ライフは、当時の軽規格サイズぎりぎりの四角張った斬新なスタイリングで、エンジンはそれまでの一般的な空冷2気筒ではなく、水冷2気筒エンジンに変更。当時、排ガス規制が厳しくなり、空冷エンジンでは対応できなくなったという背景があります。

爆発的に売れたN360、使いやすい庶民の足を目指したNIII360、それらを引き継いだライフは、居住性を高めたファミリーカーとして人気を集めました。

ところが、1974年に3年余りで生産を終了。1972年にデビューした「シビック」が世界的に大ヒットして、ホンダは小型車へリソースすることを選択。世界戦略を考えるホンダにとっては、収益が高く、世界に通用する小型車への事業転換は、ごく自然な成り行きだったのです。

●2代目ライフ(JA4型)は、RV風ハイトワゴンとして復活

その後、小型車で成功したホンダは、1985年に「トゥデイ」で軽自動車における事業の復活を果たし、ライフも1997年に23年振りに復活しました。

2代目ライフのリアビュー。広い室内と荷室空間を確保
2代目ライフのリアビュー。広い室内と荷室空間を確保

2代目ライフの開発コンセプトは、“セダンとワゴン両方の魅力を合わせ持つクルマ”。高い位置に配備された大型のヘッドライトと、大型のバンパーグリルを装備した、当時ブームとなっていたハイトワゴンでの復活です。

パワートレインは、660ccの3気筒SOHCエンジンと5速MTおよび3ATの組み合わせ、駆動方式はFFです。走行性能や扱いやすさ、広い室内空間など、RV風の雰囲気を持ったハイトワゴンは、車両価格90万~116万円で販売され、一定の評価を受けました。

しかし、2代目の生産は1年半で終えました。1年半後の1998年10月に軽自動車の規格変更(ボディサイズ拡大)が実施されることが分かっていたため、購入が敬遠されて販売が伸びなかったのです。

●5代目(JC1/2型)を最後にN-WGNへバトンタッチ

その後ライフは、3代目、4代目と続き、2008年に登場した5代目が最後のライフとなりました。

2008年に登場した最後の5代目ライフ
2008年に登場した最後の5代目ライフ

5代目は、“デイリー・スマイル・テクノロジー”をコンセプトに掲げ、ユーザーの誰もが毎日笑顔で過ごせるパートナーを目指しました。特にこだわったのは、視界の良さ、快適さ、運転しやすさ、安全性で、なんと言っても女性にやさしい装備が満載でした。

5代目ライフも堅調な販売を続けましたが、2014年にデビューしたN-WGNにバトンを渡して生産を終了。そのNシリーズは、スーパーハイトワゴン「N-BOX(2011年~)」、セダン「N-ONE(2012年~)」、ハイトワゴン「N-WGN(2014~)」、商用車「N-VAN(2018年~)」と、現在も絶大な人気を博しています。


2代目ライフは大ヒットとはいきませんでしたが、ホンダの伝統である“MM思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム:人のスペースは最大に、メカニズムは最小に)”を継承していきます。それが現在のNシリーズで花開いたと言えるのではないでしょうか。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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