日産「シーマ」5代目(HGY51型)デビュー。三菱「ディグニティ」をOEM供給。日産のフラグシップとして735万円で最後のモデルチェンジ【今日は何の日?4月25日】

■5代目は環境性能に配慮したハイブリッド専用モデル

2012年にデビューした5代目シーマ
2012年にデビューした5代目シーマ

2012年(平成24)年4月25日、日産の5代目「シーマ」がデビューしました。初代シーマは、バブル真っただ中の1988年に誕生し、「シーマ現象」という言葉が生まれるほどの爆発的なヒットモデルになりました。5代目シーマの最大の特徴は、ハイブリッド専用モデルになったことです。


●車両価格400万~500万円と高価でありながら、バカ売れした初代

シーマ(FY31型)は、当時の日産の高級車「セドリック/グロリア」のさらなる上級モデルとして1988年に誕生しました。

1988年に誕生した初代シーマ。”シーマ現象”を起こして大ヒット
1988年に誕生した初代シーマ。”シーマ現象”を起こして大ヒット

セドリック/グロリアの重厚な角張ったフォルムを曲面基調にして、ハードトップでスポーティさを強調。エンジンは、当時最高レベルの3.0L V6 DOHCセラミックターボエンジンを搭載、さらに電子制御エアサスペンションの採用など、高級セダンながらパワフルな走りが魅力でした。

シーマが登場した1980年代後半は、日本では空前のバブル景気の真っただ中、信じ難いですが、“高価なモノが売れる、高価でないと売れない”時代でした。400万~500万円と高価格でありながら、何と1年間で36,000台以上が売れ、シーマ現象という言葉が生まれ、トヨタの「マークII」とともにスポーティな高級セダン“ハイソカーブーム”をけん引したのです。

●3代目以降は、インフィニティの高級セダンをシーマとして国内で販売

1991年にモデルチェンジした2代目シーマ(FY32型)は、4.1Lエンジンが追加されるなど、初代のブラッシュアップが図られました。

その2年前1989年に、米国で日産の高級車ブランドであるインフィニティが設立され、最初の大型高級車として「インフィニティQ45」がデビューし、日本でも販売されました。Q45の2代目、3代目は、日本では販売されませんでしたが、それらは日本でそれぞれ3代目シーマ(FY33型、1996年~)、4代目シーマ(F50型、2001年~)として販売されたのです。

1990年誕生したインフィニティQ45
1990年誕生したインフィニティQ45

また伝統的に日産の最高級車として位置づけられてきた「プレジデント」の2003年に登場した4代目プレジデントは、4代目シーマと多くのコンポーネントを同一とする“シーマの上級モデル”という位置付けでしたが、2010年に生産を終え、日産のフラグシップはシーマが引き継ぐ形となりました。

以上のように、3代目以降はインフィニティの高級セダンを国内でシーマとして販売を続けましたが、1992年のバブル崩壊とともに、さすがのシーマの勢いも急減速します。

●5代目でハイブリッド専用車となるが、ついに生産終了

その後2012年に登場した5代目シーマ(HGY51型)は、当時のインフィニティのフラグシップ「インフィニティQ70」のロングホイールモデルで、最大の特徴はハイブリッド専用モデルになったことでした。

2ハイブリッド専用車となって2012年に登場した5代目シーマ
2ハイブリッド専用車となって2012年に登場した5代目シーマ

パワートレインは、それまでの4.5L V8 DOHCエンジンから、3.5L V6 DOHCエンジンとモーターを組み合わせた1モーター2クラッチ方式のFR用ハイブリッドシステムに変更。環境技術への要求が強まるなか、高級FRセダンのシーマも燃費低減に対応したのです。

車両価格は、標準仕様で735万円、VIP仕様787.5万円、VIP G仕様840万円とフラグシップらしく高価でした。

5代目シーマに搭載のハイブリッド(インテリジェントデュアルクラッチコントロール)
5代目シーマに搭載のハイブリッド(インテリジェントデュアルクラッチコントロール)

5代目シーマは、三菱自動車に「ディグニティ」としてOEM供給したり、予防安全技術の強化などによって台数確保を図ります。しかし、2021年の販売台数は100台にも及ばず、ついに2022年8月に生産を終了。同時に、「フーガ」も生産を終了したので、これにより日本国内では、日産のセダンは「スカイライン」だけになってしまいました。


実は、4代目シーマも2010年にいったん生産を終えましたが、復活を要望した多くの声に応えて2年後に5代目が登場したという経緯がありました。さてさて、6代目となるシーマも、クラウンと同じように大きくイメチェンして復活を期待したいですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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