「CAKE」はスウェーデン生まれの高級電動バイク・ブランド【バイクのコラム】

■「CAKE」は2016年にスウェーデンで設立された

東京モーターサイクルショーでは、そのシンプルでセンスのいいブースが異彩を放っていた。
東京モーターサイクルショーでは、そのシンプルでセンスのいいブースが異彩を放っていた。

北欧スウェーデンといえば、四輪の世界ではボルボやサーブといったブランドを思い浮かべる人が多いでしょうか。一般には、家具やインテリア雑貨のIKEAが知られているかもしれません。

いずれにしても北欧の工業製品には、どこか独特の味わいがあり、固定ファンが多い印象もあります。

そんな北欧好きに注目してほしいのが、プレミアム軽量電動バイクを生み出すべく2016年にスウェーデンで誕生した「CAKE(ケイク)」です。

先ごろ開催された第50回 東京モーターサイクルショーにおいても洒落た雰囲気のブースを展開したことから、バイクファンの間でも認知度が高まっているブランドです。

同社のミッションは『ゼロ・エミッション社会の実現』にあり、そのために『感動と環境への責任を兼ね備えた新しいモビリティ』を生み出すというものです。

アーバンモビリティと位置付けられる「マッカ」には原付相当のグレードも用意される。メーカー希望小売価格は86万9000円
アーバンモビリティと位置付けられる「マッカ」には原付相当のグレードも用意される。メーカー希望小売価格は86万9000円。

ともすれば、電動バイクには未来的なイメージを想像してしまいがちですが、ケイクの電動バイクは違います。

エントリーモデルといえる「Makka(マッカ)」を見ればわかるように、パイプフレームをそのままスタイリングに活かしているエクステリアは非常にユニークなもの。バッテリーなどのメカニズム部分も、おそらくあえてむき出しにすることで、新しい価値観を提案しているといえます。

個人的には、1970年代の原付スクーター・シーンをけん引したホンダ・ロードパル(ラッタッタの愛称で知られるモデル)を思い出してしまったのですが、ケイクはプレミアム電動バイク・ブランドですから、当時6万円弱で販売されたロードパルのような身近さは、残念ながらありません。

●原付相当エントリーモデルの性能は?

無骨なフレームとメカニズムをむき出しにしたかのようなスタイリングが特徴的。
無骨なフレームとメカニズムをむき出しにしたかのようなスタイリングが特徴的。

実際、「マッカ」のラインナップにおいて、原付免許で乗れる「range」グレードのメーカー希望小売価格は86万9000円と、原付クラスの電動バイクとしては高価な部類になっています。

スペックについては、原付扱いとなるため、モーターの定格出力は0.6kWですが、瞬間最高出力は1.0kWと控えめな数値。最高速度は当然のように30km/hで、航続距離は66kmとなっています。

上級グレードの「flex」は定格出力1.55kW、瞬間の最大出力2.8kWで、最高速度は45km/h、航続距離は54kmとなっています。定格出力が1.0kWを超えているので軽二輪扱いとなってしまうため、普通二輪免許を持っている必要があるのは、所有のハードルを上げてしまうかもしれません。メーカー希望小売価格は93万5000円です。

最高出力10kWの軽二輪相当モデル「オッサ」のビジネス仕様。メーカー希望小売価格は235万4000円。
最高出力10kWの軽二輪相当モデル「オッサ」のビジネス仕様。メーカー希望小売価格は235万4000円。

その上のモデルが「オッサ」になります。マッカがインホイールモーターなのに対して、オッサはチェーン駆動になっている点が異なります。

オッサのエントリーモデルといえる「flex」グレードのスペックは、モーターの定格出力が4.0kW、瞬間最高出力が5.0kWで、最高速度45km/h、航続距離は92kmとなっています。メーカー希望小売価格は174万9000円と、性能からすると割高に思える、かなり高価な電動バイクです。

前後に荷物を積むための、ガッシリとしたキャリアを備えた「オッサ+work」グレードにおいては、メーカー希望小売価格は235万4000円です。ただし、こちらは瞬間最高出力が10kWとなり、航続距離も111kmと伸びているので高いだけのことはある…のかもしれません。

●北欧らしいデザインが最大の価値

フラッグシップの「カルク」は林道などオフロードを楽しむための電動バイク。メーカー希望小売価格は291万5000円。
フラッグシップの「カルク」は林道などオフロードを楽しむための電動バイク。メーカー希望小売価格は291万5000円。

ケイクの電動バイクラインナップにおけるフラッグシップであり、二輪ファンからも注目度も高そうなのが「Kalk(カルク)」でしょう。

オフロード系バイクを、ピクトグラムで表現したようなシンプルなシルエットを「乗り物」として具現化したユニークなスタイリングは、まさにケイクというブランドの価値が詰まっています。

ブースに展示されていたのは、同じく北欧ブランドである、オーリンズのサスペンションを搭載した「Kalk OR Race」という最上級グレードでした。まさにオフロードの未来形といったルックスは、手に入れたくなるほどのデザイン力を持っています。

こちらのメーカー希望小売価格は281万6000円。定格出力5.8kW、瞬間最高出力11.0kWで、最高速度90km/h以上というパフォーマンスは、コスパを重視すると微妙かもしれません。しかしながら、軽二輪クラスの電動バイクにおいて75kgという軽量ボディは、林道走行を想定すると魅力です。

こうした設計思想に、北欧の森を駆け抜けるイメージを感じられるのも、ケイクの魅力かもしれません。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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