今夏にトヨタ「C-HR」の国内生産を終了。 手に入れるなら今のうち!?

■カムリに続き「C-HR」が海外専用車に

トヨタ「C-HR」のエクステリア
トヨタ「C-HR」のエクステリア

トヨタ自動車が推進するラインナップの整理に伴い、先日同社のセダン「カムリ」が海外専用車になる話題をお伝えしましたが、実は他にも国内販売が終了する車種が存在します。

それは2016年12月に、斬新なデザインと走りに徹底的に拘ったSUVとして国内発売された「C-HR」。

同社は先頃、C-HRのホームページ上に“生産終了のお知らせ”を掲載。

トヨタ「C-HR」のパワートレーン
トヨタ「C-HR」のパワートレーン

そこには「C-HRについて2023年7月下旬をもって生産終了いたします。長い間たくさんのお客様にご愛顧いただきました。誠にありがとうございました」と書かれています。

●次期C-HRの国内市場導入を見送った理由は?

トヨタ「C-HR」のサイドビュー
トヨタ「C-HR」のサイドビュー

発売翌年の2017年には、月販目標台数である6,000台を上回る9,775台/月を販売。SUV販売台数で1位になるなど人気を博しますが、その後C-HRの販売台数は徐々に陰りを見せ始めます。

そしてデビューから6年以上が経過した現在は、モデル末期ということもあり、2021年は1,508台/月、昨2022年は984台/月と販売が低迷。

現行トヨタ「ヤリス クロス」
現行トヨタ「ヤリス クロス」

その原因として考えられるのが、キャラクターの似た「ヤリス クロス」や、車格が近い「カローラ クロス」を次々投入した結果、いずれも大ヒット。国内市場が同社のコンパクトSUVで飽和状態になっており、さらには折からの半導体不足や部品不足のあおりを受けて、両モデル共に納車に1年以上を要する状況。

現行トヨタ「カローラ クロス」
現行トヨタ「カローラ クロス」

車両価格面でも、現行C-HR(239.2万円~315.5万円)はヤリス クロス(189.6万円~293.6万円)より高額で、且つカローラ クロス(199.9万円~319.9万円)と価格帯がオーバーラップしており、自社内での“共食い”防止に向けて次期C-HRの国内導入を見送ったものとみられます。

●欧・豪州市場向けにはフルモデルチェンジを予定

参考までに、現行モデルのC-HRユーザーからは以下のような自車レビューが発信されています。

・20km/Lを下回らない安定の低燃費
・Cピラーが太く、左後方の視界が悪い
・閉塞感はあるが、狭くない後席空間
・頭上スペースが少なく、サイドガラスの上下幅も狭い
・ダブルウイッシュボーン式リヤサス採用で操安性良好
・シートが柔らかく、長距離運転時に疲れる
・モーター走行時は静かだが、エンジンが始動すると賑やか
・高速道路でエンジンパワーが不足

次期トヨタ「C-HR」のサイドビュー
次期トヨタ「C-HR」のサイドビュー

今夏のC-HR生産終了は日本市場での話であり、欧州や豪州などの海外向けにはフルモデルチェンジ車の投入が予定されています。

その際、現行車のウイークポイント(上記)を払拭してデビューするものと予想され、昨2022年12月5日にはTME(トヨタモーターヨーロッパ)が2代目となるコンセプトモデル「C-HRプロローグ」をワールドプレミアしました。

BEVコンセプトモデル「Small SUEV」(左)
BEVコンセプトモデル「Small SUEV」(左)

このコンセプトモデルは、2021年12月14日の「バッテリーEV戦略に関する説明会」で公開済みのBEVコンセプトモデル「Small SUEV」をベースにしており、南仏にある同社のED2(欧州デザイン開発本部)がデザインを担当。

ラジエターグリルが追加設定されており、新型プリウスに似た“ハンマーヘッド”デザインを導入。

次期トヨタ「C-HR」
次期トヨタ「C-HR」

車両サイドではダイヤモンドをモチーフにしたレリーフや、張り出し感の強いリヤフェンダーが目を惹くと共に、大径アロイホイール装着などにより、コンパクト・スポーツSUV然とした佇まいになっています。

次期トヨタ「C-HR」のサイドビュー
次期トヨタ「C-HR」のサイドビュー

次期C-HRはトヨタの海外での電動化戦略を強化する役割を担っており、導入当初はHEV(ハイブリッド車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)を設定。

カーボンニュートラル達成と電動化の幅広い選択肢を提供することになり、生産はTMMT(トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・トルコ)工場が担当。

トルコのTMMT工場
トルコのTMMT工場

また豪州トヨタは2023年3月8日、次期C-HRを2024年前半に現地導入すると発表。

次期モデルでは現行モデルにも増して大胆なエクステリア・デザインが採用されており、当初から海外市場向けをターゲットにしていたことを窺わせます。

トヨタ「C-HR」GR SPORT仕様
トヨタ「C-HR」GR SPORT仕様

現行C-HRは僅か一代限りでまもなく日本市場から姿を消すことになるわけですが、2019年10月にはスポーティな「GR SPORT」が追加設定されており、翌2020年8月には一部改良により安全装備が向上しています。

もし現行モデルの購入を考えているなら、“今のうち”になりそうです。

Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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