トヨタ「セリカLB 2000GT」112万円でデビュー。宿敵スカイライン2000GTは106万円、走りと価格の壮絶バトルが極まる【今日は何の日?4月6日】

■LBの名を冠して登場したセリカのハッチバッククーペ

1973年にデビューしたセリカLB。リフトバックのスタイリッシュなスタイリングが大人気に
1973年にデビューしたセリカLB。リフトバックのスタイリッシュなスタイリングが大人気に

1973(昭和48)年4月6日、一世を風靡したスペシャリティカー「セリカLB(リフトバック)」が発売されました。

セリカLBは、初代セリカのデビュー2年半後に追加されたモデルで、アメ車の雰囲気漂うダイナミックなスタイリングが多くの若者を魅了しました。


●日本初のスペシャリティカーとしてセリカが誕生

1970年、日本初のスペシャリティカーとして「セリカ」がデビューしました。

1970年に誕生した国産初のスペシャリティカーの初代セリカ
1970年に誕生した国産初のスペシャリティカーの初代セリカ

セリカのスタイリングは、ジェット機の翼に採用されている層流翼を意識した断面形状をベースに、ロングノーズのピラーレス・ハードトップのクーペスタイル。

エンジンは、1.4L&1.6L直4 SOHCのシングルキャブ仕様と、1.6Lのツインキャブ仕様の3種。トランスミッションは3速AT、および4速&5速MTが用意されました。

注目されたのは、日本車として初めて採用された“フルチョイスシステム”。これは、エンジンやトランスミッション、ドアハンドルからシフトノブといった用品まで、ユーザーが自由に選ぶことができるシステムで、人気を加速した要因のひとつです。

スポーティなスタイリングと卓越した性能、さらに快適性も重視した先進のスポーツクーペは、若者を魅了して大ヒットモデルになりました。

●ダイナミックなスタイリングのセリカLBが追加

初代セリカのデビューから2年半経った1973年、セリカの人気をさらに爆発させたセリカLBがデビュー。最大の特徴は、なだらかな傾斜を持つ開口可能なテールゲートをヒップアップさせた”リフトバックスタイル”です。

人気の秘密は、デザインだけでなく、優れた走りも評価されました。エンジンは、1.6Lに加えて2.0L直4 SOHCを新設定。特に、2.0L直4 DOHCエンジンを搭載したトップグレード「セリカLB 2000GT」は、当時圧倒的な人気を誇っていた「スカイライン2000GT」と真っ向勝負しても負けない、圧巻の走りをアピールしました。

ちなみに、セリカ2000GTの価格が112万円、スカイライン2000GTが106万円でした。

セリカLBは、スポーツカーによくある流線型ではなく、それまでの日本車にはなかった“和製マスタング”と呼ばれたダイナミックな強いラインで多くの若者を魅了。1970年代を代表するスポーツクーペとして、爆発的な人気を獲得しました。

●セリカの血統を受け継いだスープラは現在も人気のスポーツモデル

1978年に誕生した初代セリカXX。海外ではスープラを名乗る
1978年に誕生した初代セリカXX。海外ではスープラを名乗る

1978年に、セリカの上級派生車として「セリカXX(ダブルエックス)」がデビュー。車名の“X”は、最大のライバルである日産「フェアレディZ」の“Z”を意識したものとされています。

セリカXXは、2代目セリカをベースにしたワンランク上のグランドツーリングカーで、全体的にボディを拡大し、スポーティさと高級感が特徴でした。

2019年に17年振りに復活を果たした新型スープラ
2019年に17年振りに復活を果たした新型スープラ

セリカXXは、北米では「スープラ」を名乗り、1986年のセリカXXの3代目への切り替わりと同時に、日本でもスープラを名乗り、トヨタのフラッグシップスポーツという位置づけになりました。

その後も高級スポーツカーとして人気を博したスープラでしたが、いったん2002年に生産を終了。しかし、2019年に17年ぶりに復活を果たし、現在もトヨタを代表するフラッグシップスポーツとして人気を博しています。


セリカLBは、もともと搭載性を重視したハッチバックモデルでしたが、人気となったのはその搭載性でなく、ダイナミックなデザインでした。その後、ハッチバックスタイルは、スペシャリティカーの定番となり、多くのクルマが採用するようになったのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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