■スバルディーラーチームとしてTEAM Takutyから参戦する2台のBRZ
3月20日(月)、東京三鷹のSTIギャラリーにて、東京スバル、千葉スバル、TEAM Takutyによる合同発表会が行われました。
その内容は東京スバル、千葉スバルが井口卓人選手率いるTEAM Takutyと組んで、GR86/BRZ CUPへ参戦するというもの。
井口卓人選手と言えば、スーパーGTで61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTのドライバーとして、またスーパー耐久シリーズでは、ST-Qクラスのカーボンニュートラル燃料を使ったレーシングカーである61号車Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptで活躍する、いわばスバルワークスドライバーです。
そしてGR86/BRZ CUPとは、トヨタのGR86とスバルのBRZが兄弟車ということで、この2車種を使ったワンメイクレース。
改造範囲が大変に狭く、公道走行可能なナンバー付き車両で行われるレースで、タイヤもレース向きに開発されているとはいえ、公道で走行することも念頭に置かれての製造となり、車検も取得しなければならないのです。
そのため、運転技術での戦いがよりピュアに行われるということで、出場者も大変に多く、プロフェッショナルクラスとクラブマンクラスの2クラスに分かれてのレースとなる上に、クラブマンクラスでは予選通過できなかったチームを対象に、コンソレーションレースが行われるほどの人気シリーズです。
その井口選手が率いるTEAM TakutyがGR86/BRZ CUPに、東京スバルと千葉スバルとジョイントして2台体制で参戦することになりました。
井口選手は東京スバルの社名が入ったマシンを使用。久保凛太郎選手は千葉スバルの社名が入ったマシンを使用します。
久保選手はスーパーGTやスーパー耐久でも活躍した経験もあり、また最近では、全日本ラリー選手権にも参戦。そして2020年の86/BRZレースのチャンピオンでもあります。
同じTEAM Takutyから参戦する2台ですが、それぞれのディーラーの名前を背負っての参戦となるために、お互いが切磋琢磨し、この2台で表彰台の1位と2位を狙っていくとの意気込みです。
●ディーラーチームとして参戦の意味
実は2022年からシリーズ名称が変わったGR86/BRZ CUPですが、スバルディーラーとしての参戦チームはありませんでした。そこに、このディーラー2社が殴り込んでいくということになります。
ただレースをするのが目的ということではなく、このGR86/BRZ CUPへの参戦は、2社のディーラーにとって大きな意味を持ちます。
この2台のマシンをメンテナンスするメカニックは、それぞれのディーラーから2名ずつと、全国のディーラーから1名ずつ、1台につき3名が毎戦交代で担当します。この3名はレースウィークの木曜日からメンテナンスを始め、4日間にわたるレースメカニックとしての経験を得ます。
ディーラーメカニックの方々は、その経験などをディーラーでの仕事にフィードバックしていくということになり、この経験を得ることで、ディーラーメカニックの育成に生かすことにもつながります。
ディーラーメカニックの方々の指導役として、スーパーGTなど国内トップカテゴリーの現役メカニック、エンジニアとして大活躍の佐野泰弘さん(通称:組長)が担当。ディーラーメカニックの方々にとっては、かなり濃い内容を体験することができるでしょう。
また、この2社がそれぞれメンテナンスをする2台のマシンがお互いに戦い、またGR86勢とも戦う姿を見せることで、それぞれのディーラーにファンをつけることができるという狙いもあり、その相乗効果はリクルーティングにも生かせるものとしています。
レースが無い週末はディーラーの店舗に参戦マシンを展示したり、というようなイベントも企画されており、またこの参戦と関連性のある限定コンプリートカーも発売していきたいというお話も、両社の社長から飛び出してきました。
レースというエンターテインメントだけではなく、育成と採用までを視野に入れたビジネスプロジェクト。今後の展開が楽しみです。
(写真・文:松永 和浩)