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■世界一厳しい53年排ガス規制に一番乗りしたレオーネ
1977(昭和52)年3月31日、スバル(当時は富士重工業)は「スバルレオーネ」のマイナーチェンジで、国内では初となる“昭和53年規制”適合モデルを追加設定しました。
53年排ガス規制は、米国のマスキー法をベースにした、当時世界で最も厳しい排ガス規制でした。
●スタイリッシュなレオーネは人気モデルに
スバルレオーネは、「スバル1000」の後継として1971年にデビューしました。スバル1000は、国産初の水平対向エンジンやデュアルラジエターなど最新の技術を盛り込んだ個性的なモデルでしたが、当時デビューした「カローラ」や「サニー」の陰に埋もれてしまい、存在感は薄れてしまいました。
レオーネは、最初にクーペスタイルの1400がデビュー。流麗なロングノーズとサッシュレスのドア、カットインのリアコンビランプが特徴。パワートレインは、1.4L直4水平対向エンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はFFでした。
翌年には、国産初のフルオープン・サッシュレスドアを採用した4ドアセダン。その2ヵ月後には、2ドアセダンとスーパーツーリング、エステートバン、1100シリーズバンなどを追加して、多彩なモデル展開によって地味なスバルのイメージを一新しました。これにより、レオーネシリーズは順調に販売を増やし、スバルの中核モデルへと成長したのです。
●スバル独自のSEEC-Tシステムで53年規制をクリア
1970年に入ると、米国のマスキー法の影響で、日本でも排ガス規制の動きが活発化します。1973年から段階的に排ガス規制が強化され、1978年には当時、世界で最も厳しい「昭和53年規制」が施行されることになりました。
スバルは、この排ガス規制の強化に対して、1973年に独自開発した排ガス低減技術SEEC(スバル排ガス抑制システム)を発表。エンジン冷却水を利用して吸気温を上げて、混合気を薄くするシステムです。
そして、レオーネは1977年のマイナーチェンジで、世界でも最も厳しいと言われた53年規制に、SEEC-T(スバル排ガス抑制空気導入式燃焼制御システム)にEGR(排気ガス再循環)を組み合わせた排ガスシステムで適合。SEEC-Tは、排気管内の負圧によって作動するバルブで、排気マニホールドとシリンダーに新気(2次空気)を導入して燃焼を活性化し、排ガスを低減するシステムです。
排ガスで先行したレオーネですが、他社からも続々と53年規制に適合した人気モデルが登場し、レオーネの人気も徐々に右肩下がりになってしまいました。
●1970年代の日本の排ガス規制の歴史
米国のマスキー法に倣って実施された日本の排ガス規制は、昭和48年、50年、52年、53年と、4つの段階を踏んで強化されました。
具体的な規制値は、以下の通りです。
・昭和48年:2.94g/km(HC)、18.4g/km(CO)、2.18g/km(NOx)
・昭和50年:0.25g/km(HC)、2.10g/km(CO)、1.20g/km(NOx)
・昭和51年:0.25g/km(HC)、2.10g/km(CO)、0.60g/km(NOx)
・昭和53年:0.25g/km(HC)、2.10g/km(CO)、0.25g/km(NOx)
5年の間に、各規制値が約1/10まで低減、53年規制がいかに厳しい規制かどうかが分かりますね。
53年規制を乗り切るために、日本のメーカーは様々な排ガス低減手法を考え出して乗り切りました。その結果、日本の技術が世界に認められ、日本車が世界で大躍進する原動力となったのです。レオーネの排ガスシステムの技術は、その先陣を切っていたということです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)